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三章 嫌われ将軍、嫌われすぎて童貞処女な現実
邪竜を知る人は娼館に
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◇ ◇ ◇
ある日、ヨルリア山脈が遠くに望む街に立ち寄った時のこと。
「そういえば最近、邪竜に襲われて村を追い出されたって女が娼館にいたぞ」
いつものように邪竜のことを尋ねると、口ひげを蓄えた酒場の店主が快く教えてくれた。
家を失い、食べていくために身を売るしかなかったのだろう。
まだ見ぬ女性の不遇に、ガイはわずかに顔を歪める。そして水を喉に通してから、身を乗り出して店主に尋ねた。
「ぜひ彼女から詳しい話を聞きたい。娼館の場所を教えてくれるか?」
「別に構わないが……そんな言い訳しなくても、行きたいなら素直に言えばいいから。男なんだし」
店主が声を潜めながら冗談めかして告げてくる。
言い訳でもなんでもないのに、なぜそんな風に言われなければいけないんだ?
内心解せないと思うガイを、エリクが覗き込んできた。
「ガイ様、つかぬことをお聞きしますが……娼館に行ったことは?」
「一度もないな。興味がなかったこともあるが、やるべきことが多すぎてそれどころではなかった」
心なしかエリクが安堵したように小さく息をつく。
それから困惑気味の笑みを浮かべた。
「私も行ったことがないので、ちょっと行きづらいといいますか、緊張します」
「もし興味があるなら話を聞いた後、エリクは残っても構わないが――」
「用が済んだら速攻で宿に戻ります! その手のことは興味が一切まったくございませんので!」
被り気味に否定してきたエリクを、ガイは心の中で不思議に感じる。
(興味がないという割には、よく下の立派なものを勃てているのだが?)
朝の寝起きならば男性の誰しもある現象だと分かるが、夜の寝る前でもよく勃っている。さらに言えば就寝時、エリクが寝返りして自分のほうに体をくっつけてしまう時、今にもはち切れそうなものが当たる時もある。
むしろエリクは一度出して楽にしてもらったほうがいいのでは……とガイは本気で思う。
だが、これは繊細な問題。
そんなことを言えばエリクを傷つけてしまうだろう。自分も逆にそんなことを言われたならば不快に思うだろうと考える。それに――。
(……俺も最近溜まっているのか、体の奥が疼いているような……それでも行きたいとは思わないからな)
楽になれるのなら誰でもいい訳ではない。
一人で済ませられるならそれで十分。もしそれで満たされなくても、誰かを使って済ませたいとは思えない。
エリクも自分と同じように考えているのだろうか? とガイが目を向ける。
視線が合った瞬間、エリクは顔を赤くして背を向けてしまう。
椅子に座りながらも若干前屈みな不思議な姿勢。大丈夫なのだろうかとガイは首を傾げるばかりだった。
ある日、ヨルリア山脈が遠くに望む街に立ち寄った時のこと。
「そういえば最近、邪竜に襲われて村を追い出されたって女が娼館にいたぞ」
いつものように邪竜のことを尋ねると、口ひげを蓄えた酒場の店主が快く教えてくれた。
家を失い、食べていくために身を売るしかなかったのだろう。
まだ見ぬ女性の不遇に、ガイはわずかに顔を歪める。そして水を喉に通してから、身を乗り出して店主に尋ねた。
「ぜひ彼女から詳しい話を聞きたい。娼館の場所を教えてくれるか?」
「別に構わないが……そんな言い訳しなくても、行きたいなら素直に言えばいいから。男なんだし」
店主が声を潜めながら冗談めかして告げてくる。
言い訳でもなんでもないのに、なぜそんな風に言われなければいけないんだ?
内心解せないと思うガイを、エリクが覗き込んできた。
「ガイ様、つかぬことをお聞きしますが……娼館に行ったことは?」
「一度もないな。興味がなかったこともあるが、やるべきことが多すぎてそれどころではなかった」
心なしかエリクが安堵したように小さく息をつく。
それから困惑気味の笑みを浮かべた。
「私も行ったことがないので、ちょっと行きづらいといいますか、緊張します」
「もし興味があるなら話を聞いた後、エリクは残っても構わないが――」
「用が済んだら速攻で宿に戻ります! その手のことは興味が一切まったくございませんので!」
被り気味に否定してきたエリクを、ガイは心の中で不思議に感じる。
(興味がないという割には、よく下の立派なものを勃てているのだが?)
朝の寝起きならば男性の誰しもある現象だと分かるが、夜の寝る前でもよく勃っている。さらに言えば就寝時、エリクが寝返りして自分のほうに体をくっつけてしまう時、今にもはち切れそうなものが当たる時もある。
むしろエリクは一度出して楽にしてもらったほうがいいのでは……とガイは本気で思う。
だが、これは繊細な問題。
そんなことを言えばエリクを傷つけてしまうだろう。自分も逆にそんなことを言われたならば不快に思うだろうと考える。それに――。
(……俺も最近溜まっているのか、体の奥が疼いているような……それでも行きたいとは思わないからな)
楽になれるのなら誰でもいい訳ではない。
一人で済ませられるならそれで十分。もしそれで満たされなくても、誰かを使って済ませたいとは思えない。
エリクも自分と同じように考えているのだろうか? とガイが目を向ける。
視線が合った瞬間、エリクは顔を赤くして背を向けてしまう。
椅子に座りながらも若干前屈みな不思議な姿勢。大丈夫なのだろうかとガイは首を傾げるばかりだった。
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