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幕間二 元敵国の副将もすべてお見通し(元敵将ゲイン視点)
あー……これは数日かかるやつ
しおりを挟む「それとこれとは話が別です。貴方がガイ将軍に向けていた目は熱がこもっていましたから。立派な浮気です」
「待て待て! お前、かなり離れていただろ? 人の顔がよく見えない距離で、なんでオレの目がどうだなんて分かるんだ?!」
「私の目は、ゲイン様のお顔のみよく見ることができますので。もしゲイン様が星より高く空に昇ったとしても認識できる自信があります」
ゲインを愛らしい姫を愛でるがごとく抱き上げ、ラヒュは歩き出す。
「二度と心が私以外に動くことがないよう、今からその身に教え込みましょう。心から私を想い、悪いと思っているならば嫌とは言いませんよね?」
「……せ、せめて、夜に――」
「駄目です。たくさん啼いて頂いて、皆にも私たちの強固で尊い関係を知ってもらわねば! それに最近は淡白に終わっていましたので、物足りなかったのでは? 微塵も初恋を思い出さぬよう、ゲイン様を満たして差し上げましょう」
「あれで淡白だと?! いつもオレが泣いて懇願するまで焦らして、オレが望んだからと気を失うまで穿つアレのどこが――」
「淡白ですよ。本当はもっとゲイン様をよがらせて、私が促さなくても私が欲しいと強請らせて、自ら私に跨って腰を振って快楽に溺れながら、私を貴方に溺れさせようとするような、甘くて淫乱な獣に成り果てて頂きたいのですが……」
「お前はオレを壊す気か!? ただでさえ最近は腰の奥がずっと穴が開いたような感覚が続いて、お前を挿れたくてたまらなくなっているのに」
「それではまだ足りませんね。ゲイン様、自分から誘って下さいませんし。思わせぶりな視線や、遠回しの言葉じゃ駄目ですから。して欲しいことはちゃんと口に出して言って下さい」
「い、言ってるだろ……夜は」
「私が責めに責めて、五回ほど中で達したぐらいから、やっと恥じらいながら言う程度ですね。足りません。理性がほとんど飛んだ状態じゃなく、素のままで言えるようにならないと」
「オレが素面で言える訳がないだろ!」
「言えるようになって下さい。それぐらい貴方が私に夢中になって下さらないと、浮気の心配をしそうなので――」
自分たちの上に立つ将軍と副将の性事情を聞かされる羽目になった兵や使用人たちは、遠い目をしながら悟る。
((((あー……これは数日かかるやつだ……))))
ゲインとラヒュが付き合ってから、不定期だが頻繁に起きるこの手の痴話喧嘩は屋敷内の日常だった。
彼らは優秀だった。
二人が寝室に消えるまでに寝室を整え、食堂に腐りにくい保存食やパンや果物を用意し、ある者は休暇を取って実家に戻り、ある者は耳栓をして屋敷の主が生活に不自由しないよう動いた。
そんな彼らの気遣いもあり、ゲインはラヒュの甘い罰を何日もかけて心ゆくまで受けることになった――。
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