俺はVR中華風戦闘SLGで、体を褒美に覇者を目指す

天岸 あおい

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十四話 決戦に向けて

愚痴を言いながら

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 俺がずっと行方を探し続けていた名を呼ぶと、白鐸はわずかにうなだれた。

「やっぱり怒っていますよね……ワタシのせいでこのゲームを始めることになって」

 力なく呟く白鐸に、俺ははっきりと大きく頷いた。

「そうだな。怒ってはいる」

「うう……ごめんなさ――」

「どうして相談してくれなかったんだ? こんなこと、ひとりで解決できる問題じゃないだろう」

 色々思うことはあるが、いま一番言いたかったことを白鐸に告げる。
 予期せぬ言葉だったらしく、白鐸は身体をビシッと起こして硬直した。

「あの、誠人サマ? 本気で言ってます?」

「当然だろ。他にも言いたいことはあるが……とにかく生きていて良かった」

 言いながら俺は白鐸に近づくと、手を伸ばし、その体を抱き締める。

 しばらく身を硬くしたままだったが、次第に小さな嗚咽が溢れ、声だけの号泣に変わった。

「ごべんぬぁざい――っ、ワ、ワダジ、自分から言えないよう制限がかけられててっ……ヒック、本当は、ずっと言いたかったんですー!」

 顔がないゆえに涙は出ない白鐸の背を軽く叩いてなだめていると、そこから少しずつ事情を教えてくれた。

 最初は純粋なプレイヤーとして参加していたこと。
 すぐに負けて奴隷同然に扱われていたのを、華侯焔に助けられたこと。その理由が俺と接点があるから、ゲームに引き込めるだろうという目的だったこと――。

「あの人の事情はワタシも知っています。現状をどうにかしたくて、誠人サマに縋ったんだって思っていたんですけどー……裏切るってなんなんですか。理解不能ですー! そもそも出会った時から何を考えているか分からなくて、どれだけ意思疎通に苦労したことか――」

 話すにつれて嗚咽が収まり、白鐸は華侯焔の愚痴を口にし始める。

 思い返せば最初から最強の武人を恐れず、軽快なやり取りをしていたことに少し引っかかりはあった。これが白鐸の性格なのだと思ってすぐに受け入れてしまったが。

 鉄工翁が話していた毛皮をまとった華侯焔というのも、白鐸を連れていたからなのだろう。

 俺を『至高英雄』に巻き込むための準備を、白鐸は一部始終見ていたということだ。現実でも行動をともにすることもあったかもしれない。

 俺が知る中で、もっとも東郷さんを知っている存在。
 今まで見てきたことをすべて教えて欲しい衝動を胸の奥に感じながら、それよりも先に尋ねなければいけないことを口にする。

「白鐸――いや、坪田。どうして人の姿ではないんだ? なぜ神獣なんだ?」

「そ、それは……」

「俺を助けるために、神獣になったんじゃないのか?」
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