俺はVR中華風戦闘SLGで、体を褒美に覇者を目指す

天岸 あおい

文字の大きさ
上 下
311 / 345
十四話 決戦に向けて

●ただ応えたくて

しおりを挟む
 口づけの後はどうなっていくか――教え込まれてしまった身体は安易に熱と疼きを孕み、後孔の奥が物欲しげに脈打つ。

 乱されたい衝動に駆られていると、不意に英正が俺を抱き上げ、寝台へ足早に運んでいく。

 そうして丁寧に俺を寝かせてすぐに、英正は俺に身体を被せてくる。
 だが俺をもどかしげな顔で見下ろすばかりで、先へ進めようとはしない。

「……英正?」

「誠人様……私は何もできませんでした。倒すべき者を倒せず、ただ軽くあしらわれた挙げ句、誠人様の危機に動くこともできず……才明様の力がなければ、すべてが終わっていました」

 英正が絞り出すような声で胸の内を明かしてくれる。
 そんなことはないと告げる間もなく、小さく掠れた声で話は続く。

「何も成せなかった者に、褒美など無用。それでも片翼を失った穴を埋めるために、どうか……あの者の代わりを担わせて下さい」

 俺の心を見てしまっている英正には隠すことができないようだ。
 未だに俺の中には華侯焔がいて、見苦しく諦めまいとしていることを。

 真剣で苦しげな目。その奥に灯る情欲の火の熱さを、無理に押し込めているのが分かってしまう。

 どんな思いで言っているのか見えてしまい、俺は小さく首を横に振る。

「誰かを代わりにする気はない。焔は焔、英正は英正だ」

「……分かりました。差し出がましい真似を――」

 悲しげに顔を歪めながら、英正が俺から離れようとする。

 ギュッ、と。咄嗟に俺は英正の腕を掴み、引き留めた。

「褒美とか、代わりとか、理由はなくていい。このまま続けて欲しい」

「え……よろしいのですか?」

「今は英正に応えたいんだ。頼む……」

 合わせ技を強めるためでも、喪失感を慰めるためでもない。ただ英正を全身で感じたい。

 心は華侯焔に囚われたままでも、英正に手を差し出したくてたまらない。

 自分が消える恐怖よりも、俺のために尽くすことを選び続けた英正に、この世界に生を受けてしまったことを悔いて欲しくなかった。

 俺が許すと、英正の顔がさらに泣きそうに歪む。
 だが口端は引き上がり、歓喜を滲ませていた。

「誠人様――」

 勢いよく唇が奪われる。
 焦らそうという余裕すらなく、英正は俺の口内を舌で激しく掻き回し、落ち着きのない手つきで俺の帯を解きにかかる。

「んっ……ン……ッ」

 早く俺が欲しい気持ちが伝わってきて、俺も英正の帯を解き、服を脱がしにかかる。互いの服が乱れ、はだけた肌から熱が漂い、触れ合った瞬間に小さな痺れが走り抜けた。

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。 かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。 その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。 ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。 BLoveさんに先行書き溜め。 なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

処理中です...