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十三話 裏切りの常習犯

●両方で裏切られているのに

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   ◇ ◇ ◇

 目覚めても俺は、快楽の底に沈められたままだった。

「ぁぁ……ん、む……っ……ッッ、あっ、ぅ、あぁぁ――」

 ゲームを始める直前は、東郷さんに組み敷かれて喘がされていた途中だった。

 だからセーブをして現実に戻れば、散々あっちの世界で抱き潰された身体を、東郷さんによって暴かれてしまう。

 すぐにローションを後孔に塗られ、柔らかいままの中へ東郷さんの昂りを捩じ込まれ、目覚めて数分も経たずに絶頂を叩きつけられる。

 それで終わるはずもなく、東郷さんの唇は俺の口を執拗に舐めながら、抑えられない嬌声を垂れ流しにしながら奥を揺さぶり続ける。

 あっちのものは現実に来る時に消えてしまう。だから催淫効果のある軟膏や、華侯焔にだされたものは、俺の中には残っていない。

 だが、身体の状態はそのままだ。
 度重なる絶頂で快感しか感じられない、淫らな獣と化した身体。

 東郷さんに四つん這いにされて責められても、力が入らずうつ伏せた状態で深く揺らされても、悦びの声を力尽きるまで漏らす。

 何もかもが緩く、強さの欠片もない者に成り果ている俺を、東郷さんは中を責め続けながらも甘い声をかけ続ける。

「誠人……その姿を、ずっと見たかった……手に入れたかった……愛してる。どれだけ変わり果てても、誠人は、誠人のままだ……」

 俺をこんな身体にした、ひどい人。
 なのに想いは痛いほど伝わってきて、嬉しくて、何をされても悦んでしまう。

 いつしか互いの汗が身体を滑らせ、全身で快楽を掻き集めていく。

 気づくと俺は東郷さんと向き合いながら身体を起こされ、対面で座りながら繋がり合っていた。

 ビクン、ビクン、と突かれる度に中を締め付け、大きな脈動を繰り返し、俺は快感に呆ける。

 力が入らない俺に代わり、東郷さんは俺をしっかりと抱擁し、腰を突き上げ続ける。

 どうしてここまでするのか、何も見えてこない。
 それでも強引に心まで結びつけてこようとする東郷さんが、なぜか痛ましいような気がして、俺はそっと頬を擦り寄せた。

「すき、で……とう、ご……さ……っ……」

 上手く呂律が回らず、声も途切れ途切れ。そんな俺が情けなくも意思を伝えると、東郷さんは力を強めて俺を腕に閉じ込める。

 異世界と現実、両方で俺は裏切られているはずなのに、愛しさがどこまでも募っていく。

 それがおびただしい快楽のせいか、俺への想いだけは間違いなくあると信じられるせいか。今の俺には分からなかった――。

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