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十三話 裏切りの常習犯

●意識が途絶えても

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「ンンッ、ん……ッッ! ん、あ……んぅ……ッッ」

 目の前が点滅し、意識すら細切れになる。
 隙間なく埋められた感覚が、俺に絶え間ない快楽を与えてくる。

 理性が、心が、麻痺していく。
 強すぎる快感は俺の沈んでいた心を浮かれさせ、歓喜に染め上げてしまう。

 自分を止められない。どこまでも華侯焔と繋がり、快楽の頂きを目指して――脚を巻き付けて、自ら快楽の逃げ道を塞ぐ。

 華侯焔も俺を逃すまいと腰を掴み、身体を前に倒し、最奥のさらに向こうまで揺らし、俺を深く沈めにかかる。

「待ってろ、今、欲しいヤツをくれてやる……零さないよう、ずっと押さえていてやるから……っ……」

「あぁぁぁ――……ッッッ! はっ、ぁぁぁ……っ……ぁ」

 奥に熱が注がれ、俺の中が勢いよく脈動して飲み込もうとしていく。
 絶頂の果てに飛ばされ、浮遊する感覚。だがすぐに身体は重みを取り戻し、暴力的な快楽に溺れさせられる。

 小刻みな抽挿で、宣言通りに放った精を零さないまま華侯焔は俺を続けて穿つ。

 ひと突きごとに達し、色濃くなる快楽に囚われていく。

 絶え間も、終わりも見えない。
 軟膏のせいか、身体が学習してしまったせいか、完全に意識は断たれない。

 気持ちいい、辛い、たまらない――。

 華侯焔の言動に傷ついていたはずなのに、今までの中で一番良すぎて、いつしか頬は涙にまみれていた。

「嬉しいんだな、誠人……俺に壊れて良いんだ。俺が望んだことだから……一緒に壊れてしまおうな……どこまでも、一緒だ――」

 優しい声。想いが籠もった呟き。

 ああ、好きだ。
 他の誰も焔の代わりにはならない。

 焔が望むなら、壊れてしまいたい――。



 いつしか俺の目の前から景色が消える。
 激しい快楽は鳴りを潜めたが、柔らかな心地よさが俺を包み込んでいた。

『セーブしますか?』

 機械的な声。俺は今、華侯焔に抱き潰されて気絶してしまったらしい。

 頭がぼうっとする。何も考えられない。
 はいともいいえとも判断できずにいると、

「戻ってくるんだ、誠人」

 耳元に東郷さんの声が響く。

 身体が疼く。沈んだ意識の中でも、まだ快楽を貪欲に求めてしまう。

 促されるままに、俺はセーブすることを望む。

 ぷつり。
 一瞬だけ、すべての感覚が遮断される。

 そうしてすぐに繋がった意識は――鮮明で強烈な快楽をぶつけられた。
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