俺はVR中華風戦闘SLGで、体を褒美に覇者を目指す

天岸 あおい

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十三話 裏切りの常習犯

吉報

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   ◇ ◇ ◇

 俺たちが澗宇の元から帰還すると、にわかに城下町が騒がしかった。

 領主である俺がここを発っていたことは公にしていない。だから俺が戻ってきたことを歓迎するものではない。

 その理由は城内に戻り、門の前まで出迎えてくれた顔鐡が教えてくれた。

「誠人様、無事にお戻りになられて何よりよかったですな。しかも今しがた、ちょうど羽勳たちも帰還したところです」

「もしや、尊朔を……?」

「はい。今回の遠征で見事に打ち破ったそうで」

 主力ではない戦力で格付け第二位を倒すことができた。
 思いがけない吉報に、俺だけでなく華侯焔や才明も驚きを見せた。

「アイツらだけでよく戦えたな! 才明、何か策を授けていたのか?」

「いくつかは授けましたが……まさかこんなに早く攻略してしまうとは」

 感心しながら呟く才明に、白鐸がその場で何度も跳ねる。

「ワタシの神獣の加護が届いたおかげですー! 成長したおかげで、遠く離れていても全兵ぱわーあっぷしていたんですよー」

 えっへんと胸を張るように楕円形の身体を反らす白鐸を、華侯焔が胡散臭そうに一瞥する。

「そんな話、聞いてないぞ。どうして言わなかった?」

「だって言えばアテにしちゃうでしょー? 油断大敵ですからー」

「本当は成長して間もなかったから、効果があるか分からなくて黙ってたんじゃないのか……?」

「ち、違いますよ! みんなの気が緩まないようにしたかっただけですからー!」

 白鐸から動揺が覗く。おそらく華侯焔の指摘は正しいのだろう。白鐸の言い分も分からなくはないが。

 いつもの二人の言い合いを眺めていると、才明は腕を組んで小首を傾げた。

「神獣の加護……守りはそれで納得できますが、攻撃はまた違うはず。ここまで早く攻略できるほどの圧倒的な力を、どの武将が持ってというのでしょうか?」

 すっきりしない表情ながらも、才明の唇は緩んで明るさが滲み出ている。
 英正も嬉しそうに表情を晴れやかにして、仲間の活躍を心から喜んでいる。

 ただ一人、この吉報に衝撃を受け、顔をしかめる者がいた。

「尊朔を倒した? そんな、まさか……」

 両手首を封魔の縄で縛られ、英正に引かれていた昂命が呆然と言葉を溢す。
 そして今にも消え入りそうな声で呟いた。

「人間じゃないヤツが潜り込んでいるのか? 厄介だな」

 俺の耳はしっかり昂命の声を拾う。

 人間ではない……魔物が俺の配下となり、潜伏しているのか?
 だとすれば誰だ? 姿は『至高英雄』の世界に入れば、魔物も人型に変わってしまう。偽りの姿でも隠せない、人ならざる力を持っている者は――。

 そう考えた時、一人だけ思い当たる者が俺の脳裏に浮かんだ。
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