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十二話 真実に近づく時
奇襲
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目的の場所へ到着するなり、白鐸が俺に身体を擦り寄せてきた。
「あー心配です誠人サマー。本当は一緒に行きたいところですが、ワタシはここから出ると消えちゃいますからー。せめて神獣の加護をいっぱいかけますねー」
スリスリ、ぐねぐね、と身体を押し当ててくる様は大型犬のようだ。毛並みもよく、触り心地も悪くない。だが、顔がない。卵型の特大毛玉が甘えるような姿は、やはり珍妙としか思えない。
考えるだけで口には出さずにいたが、華侯焔が俺の心を代弁するかのように呟く。
「本当に加護を与えているのか? どう見ても謎の不気味な毛玉の物体が、奇妙に戯れているだけにしか見えんぞ」
「失礼ですねーアナタは! まあ誠人サマが分かって下されば、それで良いんですけどねー」
……悪いが、本音は華侯焔と同じなんだ。頑張ってくれていることは分かるんだが。
心の中で遠い目をしていると、ようやく白鐸が身体を離してくれる。
そして芭張と目配せし、蔦が生えていない壁の前に立った。
「では参るとするか。俺の一族の里は、そう遠くない。話が上手くまとまれば、昼頃には戻って来れるだろう」
芭張の説明に才明が大きく頷き、それから俺を見た。
「私たちは誠人様の判断に従いますので、どうかお心のままに動かれて下さい」
「ああ、ありがとう。しっかり見極めた上で、迎えたいと思う」
周りを見渡しながら伝えると、華侯焔や英正も快く頷いてくれる。
後は隣の異世界に行って迎えに行くだけ。
一度行ったとはいえ、やはり未知の部分があまりに多い。今回も無事で済むという保証はない。
緊張を覚えながら踵を返し、壁をすり抜けようとしたその時だった。
「そう何度も行かせないよ。ゲームのバグを利用して強くなろうとするなんて、ズルいでしょ?」
突然見知らぬ声が聞こえたかと思えば、俺と芭張の間を赤い光球が横切っていく。
――ボウッ! 蔦がない所だけが赤々と燃え、すぐに火が鎮まる。
燃えた後に現れたのは、他の壁と同じような蔦。まさかと思って壁に手を突いてみれば、通り抜けずに硬い手応えが返ってくるだけだった。
異世界を繋ぐ道を閉ざされた? いったい誰が?
俺たちは辺りを見渡す。
見知った姿以外は誰もいない。
ならば上かと仰げば、木の枝に腰掛けて俺たちを見下ろす男がいた。
この世界の将としては線が細く、筋肉の付き方が弱い体つき。細くサラサラとなびく金の長髪。
顔立ちは中性的できれいな顔だ。鋭い目が笑みで和らぎ、どこか楽しげな色を見せている。
中華映画で見たような袖が広い服をまとい、その手には丸い輝石を付けた杖がある。その杖だけは西洋のもので、この世界からひどく浮いているように見えた。
「あー心配です誠人サマー。本当は一緒に行きたいところですが、ワタシはここから出ると消えちゃいますからー。せめて神獣の加護をいっぱいかけますねー」
スリスリ、ぐねぐね、と身体を押し当ててくる様は大型犬のようだ。毛並みもよく、触り心地も悪くない。だが、顔がない。卵型の特大毛玉が甘えるような姿は、やはり珍妙としか思えない。
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「失礼ですねーアナタは! まあ誠人サマが分かって下されば、それで良いんですけどねー」
……悪いが、本音は華侯焔と同じなんだ。頑張ってくれていることは分かるんだが。
心の中で遠い目をしていると、ようやく白鐸が身体を離してくれる。
そして芭張と目配せし、蔦が生えていない壁の前に立った。
「では参るとするか。俺の一族の里は、そう遠くない。話が上手くまとまれば、昼頃には戻って来れるだろう」
芭張の説明に才明が大きく頷き、それから俺を見た。
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「ああ、ありがとう。しっかり見極めた上で、迎えたいと思う」
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後は隣の異世界に行って迎えに行くだけ。
一度行ったとはいえ、やはり未知の部分があまりに多い。今回も無事で済むという保証はない。
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「そう何度も行かせないよ。ゲームのバグを利用して強くなろうとするなんて、ズルいでしょ?」
突然見知らぬ声が聞こえたかと思えば、俺と芭張の間を赤い光球が横切っていく。
――ボウッ! 蔦がない所だけが赤々と燃え、すぐに火が鎮まる。
燃えた後に現れたのは、他の壁と同じような蔦。まさかと思って壁に手を突いてみれば、通り抜けずに硬い手応えが返ってくるだけだった。
異世界を繋ぐ道を閉ざされた? いったい誰が?
俺たちは辺りを見渡す。
見知った姿以外は誰もいない。
ならば上かと仰げば、木の枝に腰掛けて俺たちを見下ろす男がいた。
この世界の将としては線が細く、筋肉の付き方が弱い体つき。細くサラサラとなびく金の長髪。
顔立ちは中性的できれいな顔だ。鋭い目が笑みで和らぎ、どこか楽しげな色を見せている。
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