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十二話 真実に近づく時
言い合いの中身は気になるが
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才明が息を詰め、小さく肩を跳ねさせる。
取り繕うようにすぐ普段の余裕をまとわせると、才明は華侯焔に微笑む。
「私でよろしいのですか? 白鐸と同じく、貴方が強引に相部屋になるものかと――」
「問題がなければそうするつもりだったんだがな」
華侯焔の目が据わり、非難めいた視線を才明にぶつけていく。
問題? この流れからすると才明にあるということなのか?
思い当たることがなく首を傾げていると、才明が眉間を寄せ、苦々しい笑みを唇に作る。
「……お気遣い、感謝します」
「ちゃんとやれよ。ただ一晩ぐっすり寝ました、だけで終わらすんじゃないぞ」
二人だけが理解した様子でやり取りする中、残された俺たちは一様に困惑を覗かせてしまう。それにまったく構うことなく、華侯焔は話を進めていく。
「英正、悪いが今日は才明に譲ってやってくれるか?」
「は、はい。私は異存ありません」
「どこぞのデカ毛玉と比べて、素直で助かる。侶普は……誠人様と相部屋になるなら、潤宇にテメーが浮気したって言ってやるからな」
冗談交じりの軽い牽制に、侶普がわずかに顔をしかめる。
「私をお前の痴情に絡めるな。そもそも潤宇様とはそんな浮ついた関係では――」
「分かってんだからな、俺。だって合わせ技の威力がスゲーし、俺がいた頃から乳繰り合ってるの知ってたし。兄として見ていられなくて、外に出たっていうのもあるんだぞ」
「……っ、そ、それは、潤宇様をお守りするために、必要だったことで……!」
「嘘つけ、口実だっただろうが。お前は最初から潤宇に懸想して、俺がいない所で口説いていたもんなあ」
「違う、私はただあの方をお守りしたい気持ちを伝えただけで――」
華侯焔と侶普の言い合いの中身が気になったが、今はそれよりも才明だ。
俺は収拾がつかなくなっているやり取りを止めるため、華侯焔の腕を軽く叩いた。
「騒がしくして家人に迷惑をかけるものじゃない。皆に異存がなければ、部屋割りは華侯焔の案でいこう」
「ハハ、悪い。侶普の顔を見ると、つい言いたくなってな……じゃあ決まりってことで」
部屋割りが確定して、今は部屋が大きな四人用のほうで待機しようと入りかけた時、家人の男性が「お食事の準備ができました」と呼びに来てくれた。
踵を返して向かおうとした時、才明と目が合う。
「後でまた。せっかくの機会だから、ゆっくり話を聞かせて欲しい」
何か問題を抱えて苦しんでいるのなら力になりたい。支えられてばかりでなく、俺も支えることができれば――。
「……ありがとうございます、誠人様」
口では礼を告げ、顔では嬉しげな笑みを才明は浮かべる。
しかし声に出した瞬間、その響きはどこか悲しげなように聞こえた。
取り繕うようにすぐ普段の余裕をまとわせると、才明は華侯焔に微笑む。
「私でよろしいのですか? 白鐸と同じく、貴方が強引に相部屋になるものかと――」
「問題がなければそうするつもりだったんだがな」
華侯焔の目が据わり、非難めいた視線を才明にぶつけていく。
問題? この流れからすると才明にあるということなのか?
思い当たることがなく首を傾げていると、才明が眉間を寄せ、苦々しい笑みを唇に作る。
「……お気遣い、感謝します」
「ちゃんとやれよ。ただ一晩ぐっすり寝ました、だけで終わらすんじゃないぞ」
二人だけが理解した様子でやり取りする中、残された俺たちは一様に困惑を覗かせてしまう。それにまったく構うことなく、華侯焔は話を進めていく。
「英正、悪いが今日は才明に譲ってやってくれるか?」
「は、はい。私は異存ありません」
「どこぞのデカ毛玉と比べて、素直で助かる。侶普は……誠人様と相部屋になるなら、潤宇にテメーが浮気したって言ってやるからな」
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「私をお前の痴情に絡めるな。そもそも潤宇様とはそんな浮ついた関係では――」
「分かってんだからな、俺。だって合わせ技の威力がスゲーし、俺がいた頃から乳繰り合ってるの知ってたし。兄として見ていられなくて、外に出たっていうのもあるんだぞ」
「……っ、そ、それは、潤宇様をお守りするために、必要だったことで……!」
「嘘つけ、口実だっただろうが。お前は最初から潤宇に懸想して、俺がいない所で口説いていたもんなあ」
「違う、私はただあの方をお守りしたい気持ちを伝えただけで――」
華侯焔と侶普の言い合いの中身が気になったが、今はそれよりも才明だ。
俺は収拾がつかなくなっているやり取りを止めるため、華侯焔の腕を軽く叩いた。
「騒がしくして家人に迷惑をかけるものじゃない。皆に異存がなければ、部屋割りは華侯焔の案でいこう」
「ハハ、悪い。侶普の顔を見ると、つい言いたくなってな……じゃあ決まりってことで」
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踵を返して向かおうとした時、才明と目が合う。
「後でまた。せっかくの機会だから、ゆっくり話を聞かせて欲しい」
何か問題を抱えて苦しんでいるのなら力になりたい。支えられてばかりでなく、俺も支えることができれば――。
「……ありがとうございます、誠人様」
口では礼を告げ、顔では嬉しげな笑みを才明は浮かべる。
しかし声に出した瞬間、その響きはどこか悲しげなように聞こえた。
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