187 / 345
十話 至高への一歩
●情愛にまどろむ中で
しおりを挟む
◇ ◇ ◇
温もりの中、ゆっくりと意識が浮上していく。
まだ寝足りない体が俺のまぶたを重くする。
それでもそろそろ起きて朝の支度をせねばと目を開く。
視界に広がった一面の肌色と強靭な胸筋に、俺は思考を止める。
……焔、俺を腕に閉じ込めて寝るんじゃない。
寝起きなのに急激に羞恥の熱が集まり、全身がそわそわと落ち着かなくなる。それは体の奥が覚えてしまった甘い疼きに似すぎていて、思わず俺は身悶えそうになった。
「……っ……ふぅ……」
息を逃がして昂りそうな熱を逃がし、少しずつ華候焔の体から自分を離していく。
もう散々抱かれて前も後ろも秘所を曝け出したというのに。雄であることをやめさせられそうなほどの快楽に啼かされ、悦び、自らも貪欲に求めるほどなのに。今のほうが恥ずかしくてたまらない。
心音が速い。
自分のおかしな様子に泣きたくなっている中、ふと華候焔の寝顔が視界に入る。
完全に気を許し、安らかに眠る顔。昨夜は空が白けそうになる頃まで、俺を抱くことを楽しんだ。ちょっとのことでは起きなさそうだ。
もし今、俺が華候焔を裏切って剣を突き立てれば、きっと何も知らぬまま刃を受け入れてしまうだろう。それだけ無防備な自分を俺に晒してくれている。
……ああ、いつまで経っても俺の頭がおかしいままだ。
俺は離していった体を、わざわざ再び華候焔へ近づけ、首を伸ばして口元にキスを贈る。
起こせばただでは済まないと分かっているのに。
まるで強請りながら起こそうとしているような自分に、ますます顔が熱くなった。
早く離れなければ、と布団から抜け出ようとしたが、もう遅かった。
「……逃げるな。誠人の気持ちは分かったから」
いつの間にか目を覚ました華候焔がニヤリと笑い、俺を腕に閉じ込め直して唇を塞いでくる。
まだ体は昨夜の情事の疲れを残しているというのに。
容赦なく舌を絡め取られて、情愛に満ちた口付けに酔いしれていく。
このままだと昨夜よりも華候焔に溺れてしまう――そんな予感に囚われかけた時だった。
「誠人様、やりました! コンパウンドボウの大量生産、完成しました!」
突然部屋の扉が勢いよく開き、才明が慌ただしく寝台まで駆け寄ってくる。
いきなり甘い空気を壊され、俺も華候焔も唖然となって顔を離す。
普段の才明なら、空気を読んでもっと待っていただろうに。それができないほど興奮していることが分かってしまい、俺は俺は顔を綻ばせる。しかし、
「才明、後にしろ……やっと誠人が積極的になってくれたのに……」
俺を深く抱き込んだかと思えば、低く怒気を孕んだ声で華候焔が才明をけん制する。
いくら才明でも華候焔の怒りを一心に浴びたら手足は震え、そのまま固まってしまうだろう。
しかし切望を叶えた才明に恐れなどなかった。
「昨夜はいっぱい楽しんだでしょう、華候焔殿? 次は私の番です」
才明は糸目をニンマリとさせて胸を張る。
「さあ、朝食を終えたら色々と仕込みますよ。楽しみにしていて下さいね、誠人様」
……いつになく才明が強い。
まったく折れない才明に、俺と華候焔はいうことを聞くしかなかった。
温もりの中、ゆっくりと意識が浮上していく。
まだ寝足りない体が俺のまぶたを重くする。
それでもそろそろ起きて朝の支度をせねばと目を開く。
視界に広がった一面の肌色と強靭な胸筋に、俺は思考を止める。
……焔、俺を腕に閉じ込めて寝るんじゃない。
寝起きなのに急激に羞恥の熱が集まり、全身がそわそわと落ち着かなくなる。それは体の奥が覚えてしまった甘い疼きに似すぎていて、思わず俺は身悶えそうになった。
「……っ……ふぅ……」
息を逃がして昂りそうな熱を逃がし、少しずつ華候焔の体から自分を離していく。
もう散々抱かれて前も後ろも秘所を曝け出したというのに。雄であることをやめさせられそうなほどの快楽に啼かされ、悦び、自らも貪欲に求めるほどなのに。今のほうが恥ずかしくてたまらない。
心音が速い。
自分のおかしな様子に泣きたくなっている中、ふと華候焔の寝顔が視界に入る。
完全に気を許し、安らかに眠る顔。昨夜は空が白けそうになる頃まで、俺を抱くことを楽しんだ。ちょっとのことでは起きなさそうだ。
もし今、俺が華候焔を裏切って剣を突き立てれば、きっと何も知らぬまま刃を受け入れてしまうだろう。それだけ無防備な自分を俺に晒してくれている。
……ああ、いつまで経っても俺の頭がおかしいままだ。
俺は離していった体を、わざわざ再び華候焔へ近づけ、首を伸ばして口元にキスを贈る。
起こせばただでは済まないと分かっているのに。
まるで強請りながら起こそうとしているような自分に、ますます顔が熱くなった。
早く離れなければ、と布団から抜け出ようとしたが、もう遅かった。
「……逃げるな。誠人の気持ちは分かったから」
いつの間にか目を覚ました華候焔がニヤリと笑い、俺を腕に閉じ込め直して唇を塞いでくる。
まだ体は昨夜の情事の疲れを残しているというのに。
容赦なく舌を絡め取られて、情愛に満ちた口付けに酔いしれていく。
このままだと昨夜よりも華候焔に溺れてしまう――そんな予感に囚われかけた時だった。
「誠人様、やりました! コンパウンドボウの大量生産、完成しました!」
突然部屋の扉が勢いよく開き、才明が慌ただしく寝台まで駆け寄ってくる。
いきなり甘い空気を壊され、俺も華候焔も唖然となって顔を離す。
普段の才明なら、空気を読んでもっと待っていただろうに。それができないほど興奮していることが分かってしまい、俺は俺は顔を綻ばせる。しかし、
「才明、後にしろ……やっと誠人が積極的になってくれたのに……」
俺を深く抱き込んだかと思えば、低く怒気を孕んだ声で華候焔が才明をけん制する。
いくら才明でも華候焔の怒りを一心に浴びたら手足は震え、そのまま固まってしまうだろう。
しかし切望を叶えた才明に恐れなどなかった。
「昨夜はいっぱい楽しんだでしょう、華候焔殿? 次は私の番です」
才明は糸目をニンマリとさせて胸を張る。
「さあ、朝食を終えたら色々と仕込みますよ。楽しみにしていて下さいね、誠人様」
……いつになく才明が強い。
まったく折れない才明に、俺と華候焔はいうことを聞くしかなかった。
0
お気に入りに追加
423
あなたにおすすめの小説
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜
古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。
かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。
その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。
ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。
BLoveさんに先行書き溜め。
なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる