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八話 本当の仲間は誰?
何よりも熱くなること
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体は気だるいが、このまま華候焔を相手にしなければいけない流れかと諦める。
だが予想に反して華候焔は上体を起こし、俺を無暗に疼かせずに離れてくれた。
「誠人、まずは先約をこなしてしまえ。あれもこれもと一度に分かろうとしても、頭も心も追いつかないだろう。俺は才明の後でいい」
どうやら華候焔は俺が現実の才明――仲林アナに話を聞きに行きたがっていることを知っているらしい。
分かった上で認めてくれるということは、少なくとも華候焔は才明が足を引っ張る敵ではないと評価している。
一度現実に戻ったら、即座に会いに行こう。
自分の方向性がしっかりと固まり、俺は大きく頷いてみせる。
フッ、といつもの不敵な笑みを零してから、華候焔は話を続ける。
「さてと……俺が今までよりも誠人のために尽くすということを、行動で示さないとな」
「無理に示さなくてもいい。もう焔の心を疑っては――」
「俺がやりたいんだ。好きな相手が気に入る贈り物をしたいと望むのは、当たり前のことだろ? それに、英正には負けられんからな」
冗談めいた口調で言っているが、俺を見下ろす華候焔の目が笑っていない。本気で英正と張り合いたがっているのが分かってしまう。
いったい何を言い出すのだろうかと不安を覚えていると、華候焔は軽く体を前に倒し、俺に顔を近づけて告げてくる。
「そうだな、城をひとつ落とそうか。俺と誠人で」
「他の者は?」
「ここの留守番でもさせていればいい。兵数は二〇〇程度で十分だ。俺と誠で一〇〇ずつ。戦を仕掛ける時、最低でも一将につき一〇〇の兵を連れていかないと将として認められないからな」
城を俺たち二人で陥落させる……そんなことができるのか?
半信半疑な俺に対して華候焔が妖しく微笑む。さっきまでの切実で重い気配はなりを潜め、楽しみたいという高揚心が伝わってくる。
そっと俺の頬に手を添えながら華候焔が告げる。
「言っただろ? 誠人のために本気を出すと……」
「……俺は見ているだけか?」
「二人で、と言ったはずだ。誠人にも動いてもらう。何もしないほうが嫌だろ? 俺とともに戦え」
華候焔と戦える――この最強の男と駆けられる。
どんな褒め言葉よりも、甘く優しい言葉をかけられるよりも、俺の心が熱くなる。
本気の華候焔を見ることができるだけでも胸が高揚するというのに、戦うこともできるなんて。
俺は何も答えなかった。上手く言葉が出せなかった。
だが俺の目の輝きで思いは伝わったようで、華候焔は嬉しげに目を細め、「今から準備する。それまで休んでいろ」と立ち上がる。
去り際、俺の頭を撫でてから華候焔は部屋を出ていく。
たったこれだけで英正のことで抜けていた力が、俺の中へ一気に戻るのを感じていた。
だが予想に反して華候焔は上体を起こし、俺を無暗に疼かせずに離れてくれた。
「誠人、まずは先約をこなしてしまえ。あれもこれもと一度に分かろうとしても、頭も心も追いつかないだろう。俺は才明の後でいい」
どうやら華候焔は俺が現実の才明――仲林アナに話を聞きに行きたがっていることを知っているらしい。
分かった上で認めてくれるということは、少なくとも華候焔は才明が足を引っ張る敵ではないと評価している。
一度現実に戻ったら、即座に会いに行こう。
自分の方向性がしっかりと固まり、俺は大きく頷いてみせる。
フッ、といつもの不敵な笑みを零してから、華候焔は話を続ける。
「さてと……俺が今までよりも誠人のために尽くすということを、行動で示さないとな」
「無理に示さなくてもいい。もう焔の心を疑っては――」
「俺がやりたいんだ。好きな相手が気に入る贈り物をしたいと望むのは、当たり前のことだろ? それに、英正には負けられんからな」
冗談めいた口調で言っているが、俺を見下ろす華候焔の目が笑っていない。本気で英正と張り合いたがっているのが分かってしまう。
いったい何を言い出すのだろうかと不安を覚えていると、華候焔は軽く体を前に倒し、俺に顔を近づけて告げてくる。
「そうだな、城をひとつ落とそうか。俺と誠人で」
「他の者は?」
「ここの留守番でもさせていればいい。兵数は二〇〇程度で十分だ。俺と誠で一〇〇ずつ。戦を仕掛ける時、最低でも一将につき一〇〇の兵を連れていかないと将として認められないからな」
城を俺たち二人で陥落させる……そんなことができるのか?
半信半疑な俺に対して華候焔が妖しく微笑む。さっきまでの切実で重い気配はなりを潜め、楽しみたいという高揚心が伝わってくる。
そっと俺の頬に手を添えながら華候焔が告げる。
「言っただろ? 誠人のために本気を出すと……」
「……俺は見ているだけか?」
「二人で、と言ったはずだ。誠人にも動いてもらう。何もしないほうが嫌だろ? 俺とともに戦え」
華候焔と戦える――この最強の男と駆けられる。
どんな褒め言葉よりも、甘く優しい言葉をかけられるよりも、俺の心が熱くなる。
本気の華候焔を見ることができるだけでも胸が高揚するというのに、戦うこともできるなんて。
俺は何も答えなかった。上手く言葉が出せなかった。
だが俺の目の輝きで思いは伝わったようで、華候焔は嬉しげに目を細め、「今から準備する。それまで休んでいろ」と立ち上がる。
去り際、俺の頭を撫でてから華候焔は部屋を出ていく。
たったこれだけで英正のことで抜けていた力が、俺の中へ一気に戻るのを感じていた。
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