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八話 本当の仲間は誰?
足止め
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白澤のことは引っかかるが、今はそれよりも優先したいことがある。
俺は素早く身支度を整えると、白澤に尋ねた。
「今から才明に会いに行く。もし華候焔が来たら足止めしていてもらえないか?」
「それは構いませんけど、なぜですかー?」
「華候焔が乱入してきたら、朝から二人を相手にする羽目になりそうだから……頼む。今はなるべく体を酷使したくないんだ」
白澤に言っていることは決して嘘ではない。
なぜか華候焔は朝からやりたがる。才明は悪ノリする気がある。そんな二人が個室に集まれば、三人で行為をする羽目になるのは目に見えている。
それを一日俺のために仕えてくれる駄賃だと考えれば安いものかもしれない。
しかし今だけは流される訳にはいかない。どうしても才明に確かめたい。
加えて白澤も用心すべき相手となれば、華候焔を足止めしつつ白澤を話し合いの場から外すこともできる。彼らには悪いが、才明とは二人だけで話をしたかった。
部屋から出ようとしたその時、
「よお、誠人。もう着替えたのか……少しでいいから、俺の相手をしてくれないか? 前に言われた通り、今回は手加減してやるから。な?」
案の定、ゲームの再開を察知した華候焔が現れる。朝からやりたいという意志をまったく隠さない言動。ここまでくると清々しいほどだ。
華候焔の手が俺に伸ばされ――ぺしっ、と白澤が尾の部分で叩いた。
「ダメですー! ちょっとは自重して下さいー! 誠人サマはヒマじゃないんですー!」
「うおっ、何でっかくなりやがったんだ毛玉。大きくなっても毛むくじゃらの反物ってどうなんだ? もう少し様になる形態にならねえのか?」
「この格好をバカにしないで下さいー! こう見えても防御力も神通力も格段に跳ねあがったんですよー! サカってばかりの華候焔なんかよりも有能なんですからねー!」
「俺より弱い奴が吠えるな、長毛玉。元々が大したことないやかましい毛玉だったんだ。そんなヤツが強くなったところで大したことないだろうが。余計にやかましさが増して、前より面倒なヤツになったんじゃないのか?」
「これでも立派な神獣ですからー! バカにするほうがバカなんですよー!」
意図してなのか、もはや条件反射なのか、華候焔と白澤が言い合いを始める。
どうして白澤が相手になると華候焔はムキになるのだろうか? 中身は酸いも甘いも知る百戦錬磨の男だというのに。
子供っぽさを覗かせる華候焔と白澤に気づかれぬよう、俺は気配を殺しながら、ゆっくりと彼らから離れていく。
そして十分な距離を取ってから、城内の廊下を走り出した。
俺は素早く身支度を整えると、白澤に尋ねた。
「今から才明に会いに行く。もし華候焔が来たら足止めしていてもらえないか?」
「それは構いませんけど、なぜですかー?」
「華候焔が乱入してきたら、朝から二人を相手にする羽目になりそうだから……頼む。今はなるべく体を酷使したくないんだ」
白澤に言っていることは決して嘘ではない。
なぜか華候焔は朝からやりたがる。才明は悪ノリする気がある。そんな二人が個室に集まれば、三人で行為をする羽目になるのは目に見えている。
それを一日俺のために仕えてくれる駄賃だと考えれば安いものかもしれない。
しかし今だけは流される訳にはいかない。どうしても才明に確かめたい。
加えて白澤も用心すべき相手となれば、華候焔を足止めしつつ白澤を話し合いの場から外すこともできる。彼らには悪いが、才明とは二人だけで話をしたかった。
部屋から出ようとしたその時、
「よお、誠人。もう着替えたのか……少しでいいから、俺の相手をしてくれないか? 前に言われた通り、今回は手加減してやるから。な?」
案の定、ゲームの再開を察知した華候焔が現れる。朝からやりたいという意志をまったく隠さない言動。ここまでくると清々しいほどだ。
華候焔の手が俺に伸ばされ――ぺしっ、と白澤が尾の部分で叩いた。
「ダメですー! ちょっとは自重して下さいー! 誠人サマはヒマじゃないんですー!」
「うおっ、何でっかくなりやがったんだ毛玉。大きくなっても毛むくじゃらの反物ってどうなんだ? もう少し様になる形態にならねえのか?」
「この格好をバカにしないで下さいー! こう見えても防御力も神通力も格段に跳ねあがったんですよー! サカってばかりの華候焔なんかよりも有能なんですからねー!」
「俺より弱い奴が吠えるな、長毛玉。元々が大したことないやかましい毛玉だったんだ。そんなヤツが強くなったところで大したことないだろうが。余計にやかましさが増して、前より面倒なヤツになったんじゃないのか?」
「これでも立派な神獣ですからー! バカにするほうがバカなんですよー!」
意図してなのか、もはや条件反射なのか、華候焔と白澤が言い合いを始める。
どうして白澤が相手になると華候焔はムキになるのだろうか? 中身は酸いも甘いも知る百戦錬磨の男だというのに。
子供っぽさを覗かせる華候焔と白澤に気づかれぬよう、俺は気配を殺しながら、ゆっくりと彼らから離れていく。
そして十分な距離を取ってから、城内の廊下を走り出した。
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