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六話 将の育成は体を張って
●唯一気を許せる相手
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自分の欲では動かない英正だが、俺が切望すれば熱く応えてくれる。
始まりは俺からだったはずなのに、強く望んで始めたのは自分のほうだと俺に言い聞かせようとするような勢い。吐息を絡めながらの口付けに俺が圧倒されていく。
まだ事後の名残りが色濃い双丘の奥に英正が触れた瞬間、俺の中にあった指らしき感触は消える。
しかし一度点いてしまった欲情の火はなくならず、ぬるり、と軟膏のぬめりをまとった英正の指を受け入れる。
「はっ……ぁぁ……」
覚えのある指の感触に、思わず安堵と快感を交えた声を漏らしてしまう。
すんなりと指の根元まで呑み込んでしまった俺に驚いたのか、英正から息を引く音がする。それから物憂げなため息をつき、俺の顔に柔らかキスを何度も落とす。
「誠人様……話は才明から聞いています。表涼に経験を積ませるために、感覚を共有しながら繋がってると。今日も領土を守られるために体を張られていること、誇らしく思います」
「英、正……そう、言ってくれるのか……」
「はい……どれだけ乱れても、貴方が真摯で強くあろうとするお方だという考えは変わりませんから……だから、どうか誠人様から快楽を求めること、我慢しないで下さい」
優しい許しに、俺は思わず英正の背にしがみついて体を密着させる。
きっとこの世界で唯一俺が気を許し、何も考えずに甘えを見せることができる相手。
未だに全貌が分からず、何が真実かも分からないこの世界では、優しい癒しや安堵だけでは生き抜けないことは分かっているが――。
「ありがとう……ぁ……早く、英正と繋が――あぁ……ッ」
俺が強請る最中に英正は指を引き抜き、渇望したものを俺の中へ突き立てる。
華候焔にも才明にも抱き潰され、もういらないと体は懲りたはずなのに、俺の中はこれが欲しかったと歓喜に脈打つ。
自ら腰を動かして英正を奥へと招き、早々に最奥の壁を突かせる。
身も心も蕩かす甘い痺れが俺を壊す。
「アァ……ッッ! あっ、ぁ、英、正……っ……はぁ……っ!」
快楽の味を覚えてしまった体が、貪欲に英正を求めてしまう。
力が抜けながらもたくましい背中にしがみつき、もっと欲しいとせがむようにその背を掻く。
勝手に腰は揺れ、英正の最奥を穿つ動きと合わさり、より鮮やかな快感の痺れを俺に走らせる。
英正の中では、俺はもう快楽なしでは生きられない男に成り果ててしまっているのだろうか?
ほんの少しだけ覚えてしまう悔しさ。だが、それを晴らすように英正は俺に口付け、そっと囁いてくれる。
「誠人様……私の強欲まで招いて下さり、ありがとうございます……っ……貴方が強いから、本来なら叶わぬこの欲が報われる……どうか、このままの誠人様のままで……っ」
どこまでも英正は俺を認めてくれる。
ただ負けたくない一心で、堕ちることを選んだ俺を。
自分の弱さも、愚かさも、すべて英正からの快楽で霞んでいく。
そうして大きく最奥が弾ける瞬間、俺は英正のすべてを抱き締めた――。
始まりは俺からだったはずなのに、強く望んで始めたのは自分のほうだと俺に言い聞かせようとするような勢い。吐息を絡めながらの口付けに俺が圧倒されていく。
まだ事後の名残りが色濃い双丘の奥に英正が触れた瞬間、俺の中にあった指らしき感触は消える。
しかし一度点いてしまった欲情の火はなくならず、ぬるり、と軟膏のぬめりをまとった英正の指を受け入れる。
「はっ……ぁぁ……」
覚えのある指の感触に、思わず安堵と快感を交えた声を漏らしてしまう。
すんなりと指の根元まで呑み込んでしまった俺に驚いたのか、英正から息を引く音がする。それから物憂げなため息をつき、俺の顔に柔らかキスを何度も落とす。
「誠人様……話は才明から聞いています。表涼に経験を積ませるために、感覚を共有しながら繋がってると。今日も領土を守られるために体を張られていること、誇らしく思います」
「英、正……そう、言ってくれるのか……」
「はい……どれだけ乱れても、貴方が真摯で強くあろうとするお方だという考えは変わりませんから……だから、どうか誠人様から快楽を求めること、我慢しないで下さい」
優しい許しに、俺は思わず英正の背にしがみついて体を密着させる。
きっとこの世界で唯一俺が気を許し、何も考えずに甘えを見せることができる相手。
未だに全貌が分からず、何が真実かも分からないこの世界では、優しい癒しや安堵だけでは生き抜けないことは分かっているが――。
「ありがとう……ぁ……早く、英正と繋が――あぁ……ッ」
俺が強請る最中に英正は指を引き抜き、渇望したものを俺の中へ突き立てる。
華候焔にも才明にも抱き潰され、もういらないと体は懲りたはずなのに、俺の中はこれが欲しかったと歓喜に脈打つ。
自ら腰を動かして英正を奥へと招き、早々に最奥の壁を突かせる。
身も心も蕩かす甘い痺れが俺を壊す。
「アァ……ッッ! あっ、ぁ、英、正……っ……はぁ……っ!」
快楽の味を覚えてしまった体が、貪欲に英正を求めてしまう。
力が抜けながらもたくましい背中にしがみつき、もっと欲しいとせがむようにその背を掻く。
勝手に腰は揺れ、英正の最奥を穿つ動きと合わさり、より鮮やかな快感の痺れを俺に走らせる。
英正の中では、俺はもう快楽なしでは生きられない男に成り果ててしまっているのだろうか?
ほんの少しだけ覚えてしまう悔しさ。だが、それを晴らすように英正は俺に口付け、そっと囁いてくれる。
「誠人様……私の強欲まで招いて下さり、ありがとうございます……っ……貴方が強いから、本来なら叶わぬこの欲が報われる……どうか、このままの誠人様のままで……っ」
どこまでも英正は俺を認めてくれる。
ただ負けたくない一心で、堕ちることを選んだ俺を。
自分の弱さも、愚かさも、すべて英正からの快楽で霞んでいく。
そうして大きく最奥が弾ける瞬間、俺は英正のすべてを抱き締めた――。
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