俺はVR中華風戦闘SLGで、体を褒美に覇者を目指す

天岸 あおい

文字の大きさ
上 下
100 / 345
六話 将の育成は体を張って

受け入れられない提案

しおりを挟む
 褒美を分担? ……あれを分担!?

 思わずギョッとなり、俺は華候焔に向かって首を大きく横に振った。

「だ、駄目だ! それだけは絶対に駄目だ!」

「ん? ああ、安心してくれ。俺は誠人様からの褒美しか認めんから、他で済ますことはまずないぞ。男を知ってしまった責任はちゃんと取らんとな」

「その心配はしていない! そうじゃなくて、他の将にあれをやらせるなんて酷い真似はできない!」

「ほう。俺との閨には心配ないとは。信用して下さっているようで、なんとも嬉しい限り」

「信用も何も、あれだけされたら疑いようがない――じゃなくて、将に娼婦の真似事をしろだなんて俺は頼みたくない」

 恥ずかしいことを口走ってしまった気はするが、それよりも今は才明の提案のほうが問題だ。

 わざわざ才明が褒美の分散を提案してくるということは、登用希望の将たちの中に、華候焔と同じ褒美がいいと希望した者が何人もいたのだろう。さすがに全員ではないと思いたいところだが。

 抵抗する俺に、華候焔は息をついて苦笑する。

「誠人様の気持ちは分かる。人に負担させるぐらいなら、自分が苦しんだほうがいいっていう人種だしな。だが、才明はさっき絡んでいた馬騰を登用するつもりでいる」

「十傑に入るほどの者だ。確かに戦力にはなるだろうが……」

「俺もアイツはいけ好かないから嫌なんだが……まあ百歩譲って登用するのは構わん。だがアイツにその体を触らせるのは駄目だ。あれは人を壊し、狂わす」

 スッ、と華候焔が目から笑みを消してしまう。

 顔鐡が距離を詰めて俺たちに告げる。

「もしや華候焔殿は羽勳の噂をご存じで?」

「酒場で耳にしたことはあるな。遊郭で何人もの妓女を相手にして、ほとんどを抱き潰して正気を失わせ、使い物にならなくしてしまったとか……噂なんざ聞かずとも、目の色と気配で分かるがな」

 華候焔がここまで言うということは、それだけ厄介な男ということか。ならば尚更、他の人間を犠牲になどできない。

 俺は顔鐡に顔を向け、軽く頭を下げた。

「すまない顔鐡。手合わせはここまでにする。また今度付き合って欲しい」

「分かりました誠人様。いつでも声をかけて頂ければ、喜んでお相手致しましょうぞ」

 快い返事に顔鐡のありがたみを噛み締めた後、俺は華候焔の手を肩から降ろさせた。

「今から才明の所へ行く。案を考え直してもらわなければ……!」

 駆け出してすぐ「待て」と華候焔の声が飛んできたが、犠牲者を出す訳にはいかないという一心で、俺は立ち止まらずに城内へと向かった。 
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

処理中です...