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六話 将の育成は体を張って
連勝の効果
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「この才明、誠人様がこれから勝利を重ね、領土を広げ、いつしかこの世界の覇者になられるよう、全身全霊をかけて参ります」
「あ、ああ、よろしく頼む。俺はこの世界に疎い。色々と教えてくれると助かる」
「ええ、喜んで。では早速これからやるべきことをお伝えしましょう」
才明は顔を上げると、口端をニヤリと大きく引き上げた。
「まずは朗報からお伝えしましょう。誠人様、此度は太史翔から仕掛けられた戦に連勝され、色々と良い流れが生まれております」
「まだ戦力差や領土差は、相手のほうが遙かに大きいと思うんだが……」
「確かに総合力で言えば太史翔には到底及びません。しかし、圧倒的に不利な条件でありながら勝ち続けた……一度だけではまぐれとしか見られないでしょうが、二度も続けはまぐれではない。総合力では測れない何かがあると周りは思うでしょう」
普通に考えればゲームを始めたばかりの弱小領主など、数の暴力で蹂躙できるもの。その予想を裏切ったのだから、周囲が引っかかりを覚えるのは当然だろう。
得心のいく内容に俺が頷くのを見て、才明は話しを続ける。
「今回の連勝ですが、まず領内の民の喜びと誠人様への忠誠心が上がり、兵士たちの士気も盛り上がっています。こんな困難をひっくり返せる領主なのだと、誠人様を強く認め、慕う流れが出てきましたよ」
「そうか。受け入れてもらえているのなら良かった」
「逆に太史翔のほうは格下の相手に連敗したと民や兵の落胆が著しく、登用している武将たちの心が大きく離れました。そのため太史翔から離反し、誠人様に乗り換えようという将も出てきました」
言いながら才明は虚空に指で長方形を描く。
すると――シュッ。俺の目の前に半透明の画面が現れる。そこには数名の武将の名前とパラメーター、簡単な紹介メモが書かれていた。
「もしかしてここに載っている者すべてが、俺につこうとしている将なのか?」
「はい。後で面談し、登用するか否かを決めるといいと思います……おっと、また一人増えましたね。このままだとすぐに登用人数の上限に達してしまいますので、城や城下町の拡大が急務ですね。私が手配しても構わないでしょうか?」
「よろしく頼む。白澤と相談して進めてもらえると助かる」
「畏まりました。白澤殿、お願い致しますね」
話を振られた白澤が、訝しげに「んー……」と唸る。だがすぐに「分かりましたー」とのどかな声で応えた。
「誠人様、私たちに委任して下されば、執政は滞りなくできますからー」
「白澤も頼りにしている。二人で力を合わせてやって欲しい」
俺の願いを聞いて、白澤は全身を使って大きく頷いてくれた。
「あ、ああ、よろしく頼む。俺はこの世界に疎い。色々と教えてくれると助かる」
「ええ、喜んで。では早速これからやるべきことをお伝えしましょう」
才明は顔を上げると、口端をニヤリと大きく引き上げた。
「まずは朗報からお伝えしましょう。誠人様、此度は太史翔から仕掛けられた戦に連勝され、色々と良い流れが生まれております」
「まだ戦力差や領土差は、相手のほうが遙かに大きいと思うんだが……」
「確かに総合力で言えば太史翔には到底及びません。しかし、圧倒的に不利な条件でありながら勝ち続けた……一度だけではまぐれとしか見られないでしょうが、二度も続けはまぐれではない。総合力では測れない何かがあると周りは思うでしょう」
普通に考えればゲームを始めたばかりの弱小領主など、数の暴力で蹂躙できるもの。その予想を裏切ったのだから、周囲が引っかかりを覚えるのは当然だろう。
得心のいく内容に俺が頷くのを見て、才明は話しを続ける。
「今回の連勝ですが、まず領内の民の喜びと誠人様への忠誠心が上がり、兵士たちの士気も盛り上がっています。こんな困難をひっくり返せる領主なのだと、誠人様を強く認め、慕う流れが出てきましたよ」
「そうか。受け入れてもらえているのなら良かった」
「逆に太史翔のほうは格下の相手に連敗したと民や兵の落胆が著しく、登用している武将たちの心が大きく離れました。そのため太史翔から離反し、誠人様に乗り換えようという将も出てきました」
言いながら才明は虚空に指で長方形を描く。
すると――シュッ。俺の目の前に半透明の画面が現れる。そこには数名の武将の名前とパラメーター、簡単な紹介メモが書かれていた。
「もしかしてここに載っている者すべてが、俺につこうとしている将なのか?」
「はい。後で面談し、登用するか否かを決めるといいと思います……おっと、また一人増えましたね。このままだとすぐに登用人数の上限に達してしまいますので、城や城下町の拡大が急務ですね。私が手配しても構わないでしょうか?」
「よろしく頼む。白澤と相談して進めてもらえると助かる」
「畏まりました。白澤殿、お願い致しますね」
話を振られた白澤が、訝しげに「んー……」と唸る。だがすぐに「分かりましたー」とのどかな声で応えた。
「誠人様、私たちに委任して下されば、執政は滞りなくできますからー」
「白澤も頼りにしている。二人で力を合わせてやって欲しい」
俺の願いを聞いて、白澤は全身を使って大きく頷いてくれた。
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