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六話 将の育成は体を張って
●寝起きの情事
しおりを挟む目を開いて真っ先に飛び込んできたのは、ぼやけた人影。
瞳が潤んで相手の顔がよく見えない。しかし気配で誰かはすぐに分かった。
「え、焔……っ? あっ、くぅ……ッ……ぁ……」
「起きたか、誠人……っ……ああ、やっぱり起きていると反応が違うな」
色に熟した声の呟きで、俺に何が起きているのかを察する。
みっちりと中を満たしながら、最奥を揺らす動き。
昂り切った体に汗ばむ肌。互いの間にこもる熱。
夜にあれだけやっておいて、わざわざ朝に忍び込んで寝起きを襲うなんて……。
文句のひとつも言いたいところだが、今にも弾けたくてたまらない体がそれを拒む。
身悶えて喘ぐしかできない。それでもせめて不満を訴えたくて華候焔を睨めば、フッ、と苦笑を漏らす声がした。
「だってなあ……英正のヤツに白状させたら、俺にやらないようなことやってるし……話聞いてムラムラした」
「ン……っ……で、も……英正、初めてで……あぁ……ッ」
「俺にも今度やってくれ……誠人から欲しがる姿を、俺も拝みたい」
「わ、分かったから……ぁぁ……も、う……」
俺は華候焔の腕に指をかけ、カリ、と爪を立てる。
体の中が早く絶頂を迎えて楽になりたがっているのに、寸前のところで動きを止められ、浅い所を攻められたりして、望みを叶えてもらえない。
堪え性がなくなった俺の体を、華候焔は嬉々として最深を突く。
寝起きで感覚が鈍っていてるはずなのに、伝わる感覚が鮮明過ぎて俺の声が快楽で揺らいだ。
「は、ぁっ、あ……ぁ……ッ……あぁぁ……ッッ」
大きく中が弾け、一瞬意識が飛んで夢の中へ戻りそうになる。
しかし華候焔に即座に奥を揺らされ、現実に引き戻された。
これぐらいで満足しない――とっくに学習した俺の中は、悦んでハグするように肉壁を収縮させる。息が詰まるほどの圧迫感に身悶えていると、華候焔が俺に顔を近づけて覗き込む。
「素直でいやらしい体になっちまったなあ……他の男を知って色気に磨きがかかった。良い傾向だ……だが、妬けるな」
「……ッ……っ!」
「もっと俺にハメてやりたいんだがな……やっぱり、他のヤツらに喰われるのは、な……」
「な、ら……どうして、俺を、他の将にも抱かせる……っ……?」
「誠人が俺を、信じすぎないように――」
あまりに小さな囁きが俺にひとつの可能性を教えてくれる。
いつか華候焔が俺を裏切る日が来るかもしれない。
そうなったとしても他の将と情を交わし、ともに立ち向かえと言われている気がした。
無意識に俺は顎を上げ、華候焔に唇を差し出してキスを強請る。
自然に華候焔は俺の唇を食む。
配りたかった心を貰ってくれた気がして、俺の中の快楽がより甘く積み重なった。
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