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●五話 平等で甘美な褒美

●導きながら

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 思いのほか硬い唇の感触に、英正の緊張が伝わってくる。
 重ねるばかりで次へ進もうとしない英正が気になり、俺は自分から首を引いてキスを切り上げ、その顔を覗き込む。

「ひとつ尋ねるが……その、こういう経験は?」

「一切ありません。誠人様が初めてです」

 恥ずかしそうにしながら、それでも真っ直ぐ俺を見ながら断言する英正に、俺の意識が遠退きかける。

 ……まさか、俺が進めないといけないのか?

 この短期間に華候焔と才明を受け入れてしまったとはいえ、俺もそれまでは無縁だった。
 二人が手練れのおかげで、行為を知らない俺でもできたようなもの。

 まったく知らぬ英正と、知ったばかりで慣れていない俺。
 このままだと夜が明けてしまい、俺を起こしにきた白澤が英正に嘆きをぶつけてきそうだ。もしくは華候焔が乱入して――。

 ――駄目だ。立て続けに二人同時に相手するなんて、体も心も保たない。

 恐ろしい想像をしてしまい、俺は密かに息を詰まらす。
 ここに華候焔が加わってしまうと、英正が間違った方向に育ってしまいそうな気がしてならない。

 俺は腹を括り、自分から首を伸ばして英正に口付ける。

 たっぷりと濃密に教えられてしまったキスの仕方。
 優しく唇を押し当てたり、舌先で英正の唇に触れたり、突いたり――戯れていく内に、おずおずと英正も動き出す。俺のやり方を真似て、次第に勝手が分かり始めて深いキスへと移っていく。

「ぅ……ん……」

 甘くなっていくキスに俺の体が呆気なく疼き出す。明らかにまだ華候焔たちにされた事後の名残りが抜けていない。

 力が入らなくなった俺に気づいて、英正が俺を押し倒す。
 必死に唇ばかりを貪られ、俺の体は早く他の所も触れと訴えるように強い疼きへ変わっていく。

 羞恥よりも快感を強く望み始めた体。早く鎮めて欲しくて、俺は英正の手を取り、寝間着の懐へ差し入れさせる。

 直に触れて欲しいという懇願。堪えぬキスで離れない英正の唇越しに、ゴクリと唾を飲み込む気配が伝わってきた。

 ぎこちなく俺の胸に英正が手を這わせる。
 何度も止まりながら、これでいいのかと確かめつつの愛撫。

 拙くこそばゆい刺激に笑いそうになってしまう。だが、

「……ぁ……ンッ……」

 軽い火照りを覚えていた乳首を指の腹で撫でられた瞬間、甘い痺れが俺を貫く。

 はっきりと感じてしまった反応に気づかぬほど英正は鈍くはなかった。
 そこがいい所なのだと察し、乳首を指でこねくり回したり、小さく弾いたりして刺激を与えてくる。

 キスされながらやられると、すぐに体がおかしくなる。
 身を捩ってもキスも手も止めてもらえず、俺の中が熱く昂っていく。


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