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●五話 平等で甘美な褒美
中断の条件
しおりを挟む「あ……領主様」
目を開けると、俺を覗き込む英正の顔が視界に広がる。
辺りはまだ暗いが白け始めている。こんな夜も明け切らぬ時間に、なぜ英正がいるのだろうかとしばらくぼんやりと考えていると、
「も、申し訳ありません……っ、領主様が寝ている間に、私は――」
英正が今にも泣きそうに顔を歪める。
まさか俺が寝ている間に手を出したのか? いや、でも真面目な英正がそんなことをするとは思えない。
内心首を傾げていると、英正は腰かけていた寝台から勢いよく離れ、床へ平伏した。
「ずっと領主様の寝顔を眺めた挙句、何度か頭を撫でてしまいました……! 領主様の尊いお体に、勝手に触れてしまうなんて……っ」
……華候焔と才明にされたことを思うと健全だと思うが……これはこれで恥ずかしいんだが。
俺はゆっくりと体を起こし、才明に声をかける。
「英正、そんなに俺相手に畏まらなくてもいい。別に怒ってはいないし……頼むから安易にひれ伏さないでくれ」
「許して頂けるのですか? ……なんて慈悲深い」
顔を上げた英正の目がキラキラと輝いている。また一層畏まられてしまいそうな気がしていると、英正が心配げに尋ねてきた。
「ところで領主様、体のお加減はいかがですか?」
「ん? あ、ああ、問題ないが……どうやって寝たのか記憶がない……」
散々あの二人に体を貪られ、延々と啼かされ続け、どこまでも堕とされていったことは覚えている。しかし途中から意識が途切れ途切れになり、どうやって終わったのかまったく分からない。
口元に手を当てて唸っていると、英正が申し訳なさそうに教えてくれた。
「……領主様は、その、華候焔様たちに褒美を与えられている最中、完全に意識を失ってしまって……白澤様が二人にやり過ぎだと怒りながら、回復の術をかけておりました。それから皆で領主様を清め、そのまま眠って頂きました」
……皆で、清め……想像するだけで恥ずかしくなってくるんだが。
なぜか華候焔と才明の二人がかりでやられたことより、抱き潰されて完全に無防備な情けない姿を晒してしまったことのほうが恥ずかしくて耐え難い。
英正がいなければ頭を抱えて悶絶したいし、叫びたくてたまらない。
どうにか羞恥に乱れそうな心をやり過ごしてから、俺は英正に尋ねた。
「経緯は分かったが……なぜ英正はここに? まさか夜通しで?」
「はい。白澤様に回復して頂いたとはいえ、本当に大丈夫なのかと心配で……それに……あの、私が褒美を貰わないと、中断ができない……と白澤様が……」
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