上 下
42 / 345
三話 逃れられぬ世界

●逆らえない体2

しおりを挟む
「う……っ……ぁ、あ……ッ……」

「ほら、四つん這いになるまで挿れないぞ? せっかくの体力が削られて、執政どころじゃなくなるな」

 耳元で囁かれ、思わず顔を歪めてしまう。

 華候焔は俺が従うまで、この淫らな責めをやめない。
 となれば、このまま俺が堪えるだけ時間の無駄だ。

 自分の羞恥を優先するだけ、俺はこの世界で勝ち抜けなくなる。

 体が熱い。中が疼いてたまらない。
 ……それでもこれは、快感に屈した訳じゃない。

 俺はゆるりと体を起こし、言われた通りの格好になる。

 発情した獣が雄を心待ちにするかのような姿に泣きたくなってしまう。

 だが涙を流すだけ心が負ける。
 いくら体を搾取されようと、俺は華候焔の主だ。惨めだと嘆いて、この気まぐれな猛者の興を冷ましてはいけない。

 俺はわずかに後方を向き、華候焔を見る。

「……これで、いいか? 早く来てくれ……」

 誘い文句にしては色気のない促し。
 だが華候焔は目を色めき立たせ、小さく舌舐めずりした。

「いいなあ、誠人。分かった。望み通りにやってやる」

 おもむろに俺の腰を掴み、華候焔が欲情の塊を挿し込んでくる。

 慣れない異物感に息が詰まる。だが、もう知ってしまったもの。苦しさはあるが恐れは薄い。むしろ――。

「あぁぁ……ッ……ぁ……焔……っ……」

 押さえなけれいけない声が勝手に出てくる。
 奥へ沈む動きに合わせ、俺の背筋がゾクゾクと疼いてたまらない。

 行き止まりへと辿り着けば、腰を大きく緩やかに振り、華候焔は俺の中を堪能する。

 揺さぶりと貫き。戯れに繰り返される刺激に俺は溺れていく。
 動きに合わせて自分からも腰を揺らせば、からだの奥に溜まる一方の疼きを散らし、小刻みの快楽に酔いしれる。

 俺の股間では、興奮し切ったものが寂しく揺れる。
 今日はまったく触っていないそこが、直接触れて欲しいと疼いてたまらない。

 前へ伝わる鮮明な快感は、最奥を抉られた時に股間の底を突き上げ、全身に溜まった疼きを押し上げようとしてくれる。

 出したくてたまらなくて、思わず俺は自分のものを扱こうと手を伸ばす。
 だが華候焔に手の甲から大きな手を重ねられ、許してはくれなかった。

「安心しろ、俺が出させてやる……もっと感じろ。よがれ……っ……俺に、今だけすべてを預けろ」

 身勝手な誘いだが、今の本能に抗えない俺にはありがた過ぎる。

 感じるままに腰や頭を揺らし、華候焔の欲を受け入れ、どこまでも悦びを覚えていく。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。 かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。 その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。 ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。 BLoveさんに先行書き溜め。 なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

愛され末っ子

西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。 リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。 (お知らせは本編で行います。) ******** 上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます! 上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、 上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。 上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的 上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン 上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。 てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。 (特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。 琉架の従者 遼(はる)琉架の10歳上 理斗の従者 蘭(らん)理斗の10歳上 その他の従者は後々出します。 虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。 前半、BL要素少なめです。 この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。 できないな、と悟ったらこの文は消します。 ※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。 皆様にとって最高の作品になりますように。 ※作者の近況状況欄は要チェックです! 西条ネア

処理中です...