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三話 逃れられぬ世界

●再開は事後の続き

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   * * *

 真っ暗な視界の中、一瞬だけ意識が点滅する。

 気絶してすぐに目覚めたような……。
 なんとも不思議だ。こんなにも意識ははっきりしているのに、眠りの淵へと急降下して浮上しているような感覚だ。

 次第に周りが明るくなってくる。

 初めてゲームをプレイした時には上空から城へ落ちた。
 まさか今回も同じ状況になるのか? 毎度ゲームを開始する時は、あの心臓が壊れそうなほどの恐怖を味合わなければいけないのか?

 サァ……っ、と俺の全身から血の気が引いていく。
 しかし前とは違い、いつまで経っても下から突き上げる風は吹かず、辺りが完全に光で溢れる――。



 ――まぶたを開けると視界が横たわっていた。

 中華風の、品のいい調度品が置かれた見覚えある部屋。
 何度か瞬きして、自分がベッドで横になっていることに気づく。

 そして背中が熱い。腰にずしりと重みがある。
 むわ、と事後の青臭ささや汗のにおいが鼻に届き、俺は現状を理解する。

 ……華候焔に抱かれた日からの続きか……っ。

 俺の体が一気に固まる。
 今、俺の背後で華候焔が寝ている。背中から脚まで肌が密着している感触……お互いに裸のままだ。

 この性欲底なしの怪物は、このまま目覚めれば俺を襲うに違いない。

 どうにか起こさないようベッドを抜け出し、さっさと着替えて肌を隠し、その気を起させないようにしなければ。

 俺は息を殺し、そっと体を離そうと試みる。

 背中からぬくもりが遠のき、これならいけそうだ光明が見えた直後、

「んー……誠人ぉ……」

 華候焔が寝ぼけた声で俺を呼びながら、体から外れかかって腕に力を込め、俺を深く抱き込んでしまう。

 抱き枕にしがみつくかのような扱いに、俺は反射で身を捩ってしまう。
 逃れることなどできないのに。往生際悪く華候焔の腕から抜け出ようとしたが、離れる唯一の好機は完全に消えてしまった。

 ぐるり、と俺の体が仰向けられる。
 そして華候焔は当たり前のように俺へ被さり、眠そうなぼやけた顔のまま笑った。

「やっぱり来たな……よく逃げずに再開した」

 俺のほうが領主で立場が上のはずなのに、華候焔は自分が主であるかのように俺を不敵に見下ろし、ゆっくりと口付ける。

「ん、ふ……む……っ……」

 生々しく絡んでくる肉厚な舌に、俺の体は昨日の情事の疼きを思い出してしまう。

 肌を重ね合い、熱を覚えながら繋がっていく――あの中を満たした感触が欲しくてたまらないと、体は昨日の続きをしたがる。

 だが流される訳にはいかなくて、俺は敵わないと分かりながらも強靭な筋肉を宿した胸を押した。
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感想 12

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