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一話 『至高英雄』に強さを求め
褒美の摘まみ食い2
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ふと唇が自由になり、俺は咄嗟に息を大きく吸い込んで酸素を求める。
完全に意識が呼吸のほうへ向かってしまい、あまりに隙だらけな無防備さを晒してしまう。
――足元から感覚が消える。
華候焔に抱きかかえられたと認識できた時には、もう寝台に座らされ、悦楽に満ちた唇が俺を喰らおうと間近に迫っていた。
ひと思いにトドメをさすかのように、深く唇を奪われる。
やっと取り込めた空気を奪うかのような舌の動きに、頭がぼんやりと霞がかっていく。
体の芯がふにゃりと柔らかくなり、力を加えられても対抗できぬ身に堕とされ、ゆっくりと押し倒される。
もう抗えないことを見通したように、華候焔の口付けが様相を変える。
ゆっくりと唇を重ね、時折戯れに離れて俺の唇を舌先でなぞり、甘くついばみ、舌も吐息も熱すら絡め合わせていく。
胸が不自然な動悸を覚えて痛みが走る。顔も頭の奥底も熱くてたまらない。
こうやって華候焔は人を喰らうのだと痛感し、頭の片隅が小さく凍える。
今まで人が作り上げてきたものを壊し、美味しい部分だけを奪い、精神をぐちゃぐちゃにした挙句に離れていく――完全に身を委ねたら最後、何もかも奪われ、失うのだと気づいてしまう。
人の唇を貪りながら、華候焔が俺の服越しに胸元へ手を置く。
そこから徐々に手を撫で下ろしていき、腹部を通り、鼠径部を刺激し、大腿へと滑り落ちていく。
「……ッ……ぁ……」
小さく漏らしてしまった俺の声に、華候焔がかすかに吹き出す。
「フッ、感度も申し分ないようだな。贅肉がない分、俺の愛撫をよく感じ取ってくれる……仕込み甲斐のある体だ」
おもむろに大腿から臀部へ撫で上げ、軽く持ち上げながら双丘へ華候焔の指が食い込む。
そして鼻先がこすれ合うほどに顔を近づけ、俺の視線を独り占めしながら告げてきた。
「明日はここをもらうぞ。どこまで俺に付き合えるだろうなあ? 快楽に呑まれて潰れるか、俺を飲み込んで化けるか……楽しみだ」
俺は何も言えず、ただ華候焔を見つめ続ける。
明らかに俺が嫌悪する内容のはずなのに、華候焔の瞳から興味の熱が強まっていることが見て取れて、胸が高揚してしまう。
格下であるはずの俺が、この最強の男の興味を引ける――それが無性にたまらない。
俺に嘆きの色がないと察したのか、華候焔が再び人をがんじがらめに捕える口付けを与えてくる。
……現実で誰かとキスを交わしても、こうはならない気がする。
現実よりも生々しく鮮明な口付けは何度も繰り返され、俺へ鮮やかに華候焔が刻まれていった。
完全に意識が呼吸のほうへ向かってしまい、あまりに隙だらけな無防備さを晒してしまう。
――足元から感覚が消える。
華候焔に抱きかかえられたと認識できた時には、もう寝台に座らされ、悦楽に満ちた唇が俺を喰らおうと間近に迫っていた。
ひと思いにトドメをさすかのように、深く唇を奪われる。
やっと取り込めた空気を奪うかのような舌の動きに、頭がぼんやりと霞がかっていく。
体の芯がふにゃりと柔らかくなり、力を加えられても対抗できぬ身に堕とされ、ゆっくりと押し倒される。
もう抗えないことを見通したように、華候焔の口付けが様相を変える。
ゆっくりと唇を重ね、時折戯れに離れて俺の唇を舌先でなぞり、甘くついばみ、舌も吐息も熱すら絡め合わせていく。
胸が不自然な動悸を覚えて痛みが走る。顔も頭の奥底も熱くてたまらない。
こうやって華候焔は人を喰らうのだと痛感し、頭の片隅が小さく凍える。
今まで人が作り上げてきたものを壊し、美味しい部分だけを奪い、精神をぐちゃぐちゃにした挙句に離れていく――完全に身を委ねたら最後、何もかも奪われ、失うのだと気づいてしまう。
人の唇を貪りながら、華候焔が俺の服越しに胸元へ手を置く。
そこから徐々に手を撫で下ろしていき、腹部を通り、鼠径部を刺激し、大腿へと滑り落ちていく。
「……ッ……ぁ……」
小さく漏らしてしまった俺の声に、華候焔がかすかに吹き出す。
「フッ、感度も申し分ないようだな。贅肉がない分、俺の愛撫をよく感じ取ってくれる……仕込み甲斐のある体だ」
おもむろに大腿から臀部へ撫で上げ、軽く持ち上げながら双丘へ華候焔の指が食い込む。
そして鼻先がこすれ合うほどに顔を近づけ、俺の視線を独り占めしながら告げてきた。
「明日はここをもらうぞ。どこまで俺に付き合えるだろうなあ? 快楽に呑まれて潰れるか、俺を飲み込んで化けるか……楽しみだ」
俺は何も言えず、ただ華候焔を見つめ続ける。
明らかに俺が嫌悪する内容のはずなのに、華候焔の瞳から興味の熱が強まっていることが見て取れて、胸が高揚してしまう。
格下であるはずの俺が、この最強の男の興味を引ける――それが無性にたまらない。
俺に嘆きの色がないと察したのか、華候焔が再び人をがんじがらめに捕える口付けを与えてくる。
……現実で誰かとキスを交わしても、こうはならない気がする。
現実よりも生々しく鮮明な口付けは何度も繰り返され、俺へ鮮やかに華候焔が刻まれていった。
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