その腐れ縁、異世界転生でリセットOK？～縁は続くよ、どこまでも～

二章 ガチムチ占い師のお導き～お前が占い師なのかよっ！～

懐かしい夢

　暗闇の中、ぼんやりと何かが見える。

　小さな光。それに気づいた瞬間、ぼやけた光が一気に膨らんで、懐かしい景色が広がった。

　アスファルトの道に、家ごとに作られた低木やコンクリブロックの塀。新しくできた住宅と昔からの家が交じり合う、ちょっと雑多感のある町。オレとクウガが最初に出会ってしばらく過ごした町だ。

　空が茜色だ。キレイだなー……と思っているオレを、小さなクウガが手を引いて歩いている。

　ああ、そういえばこんな時もあったっけ。
　公園で遊んでいたら、前の日に降った雨のせいでぬかるんでいる所で転んで、泥だらけになったオレ。

　どうしようって途方に暮れていたら、クウガが来てくれて「うちに来ればいいから」って手を引っ張ってくれたんだよな。

　この時は珍しく反発しなかったな。何も言わずにクウガの手を取って、こうやって引っ張られるままに無言で歩いてた。

　なんて懐かしい……どう考えても夢だな、コレ。
　今のオレは細マッチョなエルフ。こんなガキじゃない。

　ただ、あまりに懐かしくて、胸が温かくて、もう少し見ていたくなる。

　クウガの手はこの時のオレには心強くて、優しくて、嬉しかった――。

「……なんでだろう」

　オレに振り向きながら、小さなクウガが笑いかけてくる。

「ルカがいないと、すごくさみしいんだ……ずっといっしょにいたくなるんだ」

「な、なにいってんだよ……オレ、おまえとケンカしかしてないのに」

「うん。それでもいっしょにいたい」

「……オレはいやだ」

「わかってる。でも――」

　ギュッ、と。小さなクウガはオレの手を強く握った。

「こうやって、ずっとてをつないでいたい――」



「ルカ兄……っ！　良かった、目を覚ましてくれて」

　ゆっくりと目を開けると、視界いっぱいにアグードの顔が広がる。
　辺りは薄暗い洞窟の中。どうやらオレが気絶した後、ここに連れ込まれたらしい。

　しばらくボーッとしてから、オレはアグードに笑いかけた。

「……はよ、アグード。合流できて良かった」

「俺がいない間に襲われたってクウガから聞いた……俺がもっと強かったら、ルカ兄をあんな目に合わせなかったのに……」

　アグードが眉間にシワを寄せて、オレを泣きそうな顔で見下ろしてくる。

　……もしかして、オレがクウガとヤったのバレた？
　だとしたらスゲー気まずいんだけど。いや、あれはサダナックがオレに淫紋をつけたせいで、オレたちは誰も悪くない。不可抗力ってやつだ。

　冷や汗を滲ませていると、洞窟の入り口から足音が聞こえた。

「良かった、目が覚めたのか！」

　鈍い動きで顔を向けると、焚き木を拾ってきたクウガが心底ホッとした顔をしてオレに駆け寄ってきた。