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二章 ガチムチ占い師のお導き~お前が占い師なのかよっ!~
触手の親玉を倒したけれど
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「コイツら、どうにかしたほうがいいな。戦えるか、クウガ?」
「ああ。問題ない」
「おそらく本体を倒せば、触手だらけの森じゃなくなるハズだ。探すぞ」
「それなら、もう検討がついている。こっちだ」
クウガがオレに目配せすると、すぐに走り出す。
こういう緊急事態でも、クウガに仕切られると反発しそうになる。
でも今はそれどころじゃない。
オレはグッと堪えてクウガの後に続く。
森を下りながら突っ切り、谷間に出る。するとそこに大きな岩らしきものが谷間に転がっているのが見えた。
一見すれば何の変哲もない岩。
だが魔力持ちのエルフだから分かってしまう。禍々しい気配が漂っていて、これが岩ではないことを感じ取る。
「間違いないな、アイツが本体だ!」
オレは弓を構え、魔力を込めた矢を放つ。
それと同時にクウガが斜面を駆け下り、勢いをつけて岩に迫っていく。
オレの矢が岩に当たりかけた瞬間――パカァァァッ、と岩が大口を開き、大小さまざまな触手を無数に蠢かせる。
こいつはローバーっていう魔物だ。しかも普通のローバーよりも大きい。恐らくこの森の主なのだろう。しかし――。
「はぁぁぁっ!」
オレの矢がローバーの口を貫き、ビタン、ビタン、と悶絶するように触手を暴れさせる。その隙を突いてクウガが剣を振り下ろす。
バシュッ、と鈍い音が聞こえ、ローバーが呆気なく倒れた。
……良い動きしてやがるな、相変わらず。
ふと転生前のクウガを思い出して、オレは小さく笑う。
クウガは運動神経が抜群だった。物心ついた頃からオレよりも早く歩けたし、保育園のクラスで1番の足の速さだったし、その頃よりもさらに昔だって――。
――さらに昔って、前世のそのまた前世? そこからも縁は続いているらしいとは、ガチムチ神に教えてもらったけれど……。
何かが頭に浮かびそうになったけれど、オレは首を振って考えるのをやめる。
それから転がるローバーを見下ろし、武器を手にしたたままのクウガに近づいた。
「これで森の触手は消えるだろ……さあ、アグードを探して合流したら、さっさと山を越えようぜ」
オレが声をかけてもクウガは微動だにしない。
様子がおかしい?
首を傾げながらクウガの肩を叩こうとしたが、
「……まだ、させられないな」
肩に触れる前に、クウガはオレの手を掴んでしまう。
そして振り向いたクウガの顔には、黒い模様が浮かび上がっていた。
「クウガ……じゃないっ! お前は、サダナックなのか!?」
「ハハ、見ての通りだ――我が贄よ」
顔つきが不敵なものに変わったクウガが、ニヤリと笑う。
ニュル――倒されて動かなくなったローバーの触手がオレの手足に絡まり、動きを留めてていた。
「ああ。問題ない」
「おそらく本体を倒せば、触手だらけの森じゃなくなるハズだ。探すぞ」
「それなら、もう検討がついている。こっちだ」
クウガがオレに目配せすると、すぐに走り出す。
こういう緊急事態でも、クウガに仕切られると反発しそうになる。
でも今はそれどころじゃない。
オレはグッと堪えてクウガの後に続く。
森を下りながら突っ切り、谷間に出る。するとそこに大きな岩らしきものが谷間に転がっているのが見えた。
一見すれば何の変哲もない岩。
だが魔力持ちのエルフだから分かってしまう。禍々しい気配が漂っていて、これが岩ではないことを感じ取る。
「間違いないな、アイツが本体だ!」
オレは弓を構え、魔力を込めた矢を放つ。
それと同時にクウガが斜面を駆け下り、勢いをつけて岩に迫っていく。
オレの矢が岩に当たりかけた瞬間――パカァァァッ、と岩が大口を開き、大小さまざまな触手を無数に蠢かせる。
こいつはローバーっていう魔物だ。しかも普通のローバーよりも大きい。恐らくこの森の主なのだろう。しかし――。
「はぁぁぁっ!」
オレの矢がローバーの口を貫き、ビタン、ビタン、と悶絶するように触手を暴れさせる。その隙を突いてクウガが剣を振り下ろす。
バシュッ、と鈍い音が聞こえ、ローバーが呆気なく倒れた。
……良い動きしてやがるな、相変わらず。
ふと転生前のクウガを思い出して、オレは小さく笑う。
クウガは運動神経が抜群だった。物心ついた頃からオレよりも早く歩けたし、保育園のクラスで1番の足の速さだったし、その頃よりもさらに昔だって――。
――さらに昔って、前世のそのまた前世? そこからも縁は続いているらしいとは、ガチムチ神に教えてもらったけれど……。
何かが頭に浮かびそうになったけれど、オレは首を振って考えるのをやめる。
それから転がるローバーを見下ろし、武器を手にしたたままのクウガに近づいた。
「これで森の触手は消えるだろ……さあ、アグードを探して合流したら、さっさと山を越えようぜ」
オレが声をかけてもクウガは微動だにしない。
様子がおかしい?
首を傾げながらクウガの肩を叩こうとしたが、
「……まだ、させられないな」
肩に触れる前に、クウガはオレの手を掴んでしまう。
そして振り向いたクウガの顔には、黒い模様が浮かび上がっていた。
「クウガ……じゃないっ! お前は、サダナックなのか!?」
「ハハ、見ての通りだ――我が贄よ」
顔つきが不敵なものに変わったクウガが、ニヤリと笑う。
ニュル――倒されて動かなくなったローバーの触手がオレの手足に絡まり、動きを留めてていた。
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