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二章 ガチムチ占い師のお導き~お前が占い師なのかよっ!~
なぜ張り合う?
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◇ ◇ ◇
森を出てしばらく歩いた所に、目的の街があった。
西洋風の賑やかな街は人間に溢れていて、オレたちエルフは歩くだけで目立ってしまう。
だからオレとアグードはマントのフードを深く被り、顔を隠して街を歩いた。
「あんまり人のいる所は行かなかったが……人が多くて酔う……」
前世の時はダチと一緒に繁華街で遊んでいたけど、人ごみでもまったく気にならなかった。こんなに人の気配が肌をざわつかせて、息苦しさを覚えるなんて……。
「ルカ兄は森から出なかったから……動けないなら俺が背負うから」
オレに寄り添いながらアグードが囁いてくる。気持ちは嬉しいが、なんかいつになく優しいような――いや、コイツは前からこうだったか? ヤケに距離が近かったし。
……オレのこと、ずっと好きだって言ってたもんな。
今さらだけど恥ずかしくなってきた……あとオレ、鈍かったのな。思い返したら心当たりがありまくりで、なんか申し訳なくなってくる。
でも体の関係を持ったからって、アグードを恋人にするなんて考えられない。
ヤっちまったのは呪われて淫紋が出てしまったせいだし、いわば事故だ。それなのに付き合うだなんて――。
「いや、俺が背負おう。俺のせいでルカに負担をかけさせているんだ。これぐらいさせてくれ」
クウガ、その気遣いはいらない。お前に背負われるくらいなら、公衆の面前でアグードにお姫様抱っこされるほうがまだマシだ。
内心反発していると、アグードが張り合うようにクウガを睨む。
「どうかお気遣いなく。里の恩人に負担をかけさせられない」
「しかし俺のせいでルカにも君にも負担をかけさせている。俺に背負わせて欲しい」
「ルカ兄のことは俺に任せて欲しい。物心ついた時からずっと一緒にいるんだ。他の誰かになんて任せられない」
「君の熱意は分かったが、ここは里の外だ。人間の領域のことは俺のほうが詳しいし、君もルカ同様に負担がかかっているのでは? 必要なら二人とも俺が背負ってみせるが――」
「俺は大丈夫だ。ルカ兄よりも慣れている。頼むから俺たちに構わないでくれ――」
さりげなくオレを左右から支えながら、クウガとアグードの言い争いが続いてしまう。
いつもだったら「オレはそんなにヤワじゃない!」と二人にツッコめるのに。気持ち悪くてツッコむ力が出てこない。
勝手に言うだけなら聞き流せばいいだけ。実害さえなければそれで――。
グイッ。唐突にクウガがオレの腰を抱き、引き寄せてきた。
「あまりルカ兄に近づかないでもらいたい。エルフは人間が苦手なんだ」
何しやがるんだよアグード……まさかクウガ相手に牽制してるのか? やめろ、人前だぞ? オレを憧れの美女的な扱いをしないでくれ!
さすがに注意しようとした矢先――ガッ。クウガが俺の肩を抱いてきた。
「それならなおさら俺に任せてもらいたい。ルカは俺が必ず守る」
なんだよクウガ、そのオレに対しての謎の庇護欲は!? あとさりげなく触ってくるな! 過保護に扱うな、バカ野郎!
二人からベタベタ触られて、体の奥がわずかに疼く。
抱かれる快感を覚えてしまった体が、触られることに敏感になってしまっている……勘弁してくれよ……。
心の中で頭を抱えていると、不意にクウガが薄暗い路地の前で止まった。
森を出てしばらく歩いた所に、目的の街があった。
西洋風の賑やかな街は人間に溢れていて、オレたちエルフは歩くだけで目立ってしまう。
だからオレとアグードはマントのフードを深く被り、顔を隠して街を歩いた。
「あんまり人のいる所は行かなかったが……人が多くて酔う……」
前世の時はダチと一緒に繁華街で遊んでいたけど、人ごみでもまったく気にならなかった。こんなに人の気配が肌をざわつかせて、息苦しさを覚えるなんて……。
「ルカ兄は森から出なかったから……動けないなら俺が背負うから」
オレに寄り添いながらアグードが囁いてくる。気持ちは嬉しいが、なんかいつになく優しいような――いや、コイツは前からこうだったか? ヤケに距離が近かったし。
……オレのこと、ずっと好きだって言ってたもんな。
今さらだけど恥ずかしくなってきた……あとオレ、鈍かったのな。思い返したら心当たりがありまくりで、なんか申し訳なくなってくる。
でも体の関係を持ったからって、アグードを恋人にするなんて考えられない。
ヤっちまったのは呪われて淫紋が出てしまったせいだし、いわば事故だ。それなのに付き合うだなんて――。
「いや、俺が背負おう。俺のせいでルカに負担をかけさせているんだ。これぐらいさせてくれ」
クウガ、その気遣いはいらない。お前に背負われるくらいなら、公衆の面前でアグードにお姫様抱っこされるほうがまだマシだ。
内心反発していると、アグードが張り合うようにクウガを睨む。
「どうかお気遣いなく。里の恩人に負担をかけさせられない」
「しかし俺のせいでルカにも君にも負担をかけさせている。俺に背負わせて欲しい」
「ルカ兄のことは俺に任せて欲しい。物心ついた時からずっと一緒にいるんだ。他の誰かになんて任せられない」
「君の熱意は分かったが、ここは里の外だ。人間の領域のことは俺のほうが詳しいし、君もルカ同様に負担がかかっているのでは? 必要なら二人とも俺が背負ってみせるが――」
「俺は大丈夫だ。ルカ兄よりも慣れている。頼むから俺たちに構わないでくれ――」
さりげなくオレを左右から支えながら、クウガとアグードの言い争いが続いてしまう。
いつもだったら「オレはそんなにヤワじゃない!」と二人にツッコめるのに。気持ち悪くてツッコむ力が出てこない。
勝手に言うだけなら聞き流せばいいだけ。実害さえなければそれで――。
グイッ。唐突にクウガがオレの腰を抱き、引き寄せてきた。
「あまりルカ兄に近づかないでもらいたい。エルフは人間が苦手なんだ」
何しやがるんだよアグード……まさかクウガ相手に牽制してるのか? やめろ、人前だぞ? オレを憧れの美女的な扱いをしないでくれ!
さすがに注意しようとした矢先――ガッ。クウガが俺の肩を抱いてきた。
「それならなおさら俺に任せてもらいたい。ルカは俺が必ず守る」
なんだよクウガ、そのオレに対しての謎の庇護欲は!? あとさりげなく触ってくるな! 過保護に扱うな、バカ野郎!
二人からベタベタ触られて、体の奥がわずかに疼く。
抱かれる快感を覚えてしまった体が、触られることに敏感になってしまっている……勘弁してくれよ……。
心の中で頭を抱えていると、不意にクウガが薄暗い路地の前で止まった。
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