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一章 細マッチョエルフの受難~転生しても腐れ縁?ありえねぇ……~
ハイかイエスか喜んで!
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なんだか嫌な流れが見える気が……。
内心オレが逃げたくなっていると、クウガが口を開いてきた。
「この里に訪れたのは、旅の途中で高名な占い師から、解呪に繋がる者との出会いがこの村にあると言われたから……私は『呪いの進行を抑える魔力のあるエルフ』を指すと考えている」
「その可能性は大いにあるじゃろう。何せ呪いの内容は、魔物に肉体を奪われる呪い……人間よりもエルフのほうが回復や封印の術に長けておる。我らを頼り、呪いをかけた魔物を探し出して退治する道が一番確実じゃろうて」
呪いなんかかけられるなよ、アホが。お前がそんなヘマをやらかさなかったら、二度と出会うことなんかなかったのに!
二人の話を聞きながら、声に出して責め立てたい衝動を抑えている中、長がオレに目を合わせて告げた。
「我が里で最も強く勇敢で、魔力を有している者はお前じゃのうルカ」
「えっ、ま、まあ、そうですが……」
「どうか里の恩人のために、力を貸してはくれぬかのう?」
ああああああっ、やっぱりそう来たかっ!
言葉遣いは優しいけれど、長の言葉は絶対だ。断れば家族ごと村八分状態になっちまう。
オレひとりだけなら、里を出て気ままに旅をするのもいいと思う。だけど人の良い親父やおふくろを道連れになんてできない。
長に頼まれてしまったら、オレが言えるのは『ハイ』か『イエス』か『喜んで』だけだ。
はぁぁぁ、泣きたい……いや、クウガを正座させて一昼夜かけて説教してやりたい。
込み上げてくる怒りと格闘しながら、オレは全理性を総動員させて外面を維持し続ける。
そしてようやく口を開くことができた。
「分かりました……里を代表して、恩人が一日でも早く解呪されるように全力を尽くします」
オレができる最善策は、さっさとクウガを解呪させて終わらせること。
やっと切れた腐れ縁が修復してしまわないように、一日でも早く別れるに限る。
ギュッと拳を握って決意を固めていると、隣で黙っていたアグードが割り込んできた。
「あのっ、俺もついて行きたいです! 里の恩人とルカ兄の護衛をさせて下さい!」
「アグード、お前も行くとなると、里の護りが心もとなくなってしまうのう……」
「しかし、もし呪いが強まってしまい、クウガ様の肉体に魔物が入ってしまえば、ルカ兄の身が危険に……万が一のために、どうか行かせて下さい!」
熱心なアグードの頼みに、長はしばらく唸り続ける。
それからようやくコクリと頷いてくれた。
「確かにその可能性は無きにしもあらず。よろしいですかのう、クウガ様?」
「私は構わない。むしろ二人の時間をもらうことになって申し訳ない」
クウガは上体を捻ってオレたちに顔をしっかりと向けると、ゆっくり頭を下げた。
「どうか力を貸して欲しい。解呪を終えた後は、一生かけて私の財産を捧げたい」
「いや、捧げないで下さい! これは我らが受けた恩を返すだけ。プラマイゼロです! 一生ここに通われるなんて、たまったもんじゃない……じゃなくて、申し訳なさ過ぎます」
危うく本音を零しそうになったが、どうにか修正する。
マジで来ないで。解呪が終わったら、はいサヨナラーで十分だから。
変に義理堅いところは前世と変わらないな。あと重い。相手からの軽い優しさが、クウガは重く捉えて返してくるからな。
今までどれだけそれで困惑してドン引いたヤツらを見てきたことか――特に女子。モテるのに、重すぎて誰も付き合おうとならなかった残念男子め。
前と変わらない所を見出してしまい、オレの中でどんどん実感してしまう。
クウガとの腐れ縁がまた始まってしまったことを……。
内心オレが逃げたくなっていると、クウガが口を開いてきた。
「この里に訪れたのは、旅の途中で高名な占い師から、解呪に繋がる者との出会いがこの村にあると言われたから……私は『呪いの進行を抑える魔力のあるエルフ』を指すと考えている」
「その可能性は大いにあるじゃろう。何せ呪いの内容は、魔物に肉体を奪われる呪い……人間よりもエルフのほうが回復や封印の術に長けておる。我らを頼り、呪いをかけた魔物を探し出して退治する道が一番確実じゃろうて」
呪いなんかかけられるなよ、アホが。お前がそんなヘマをやらかさなかったら、二度と出会うことなんかなかったのに!
二人の話を聞きながら、声に出して責め立てたい衝動を抑えている中、長がオレに目を合わせて告げた。
「我が里で最も強く勇敢で、魔力を有している者はお前じゃのうルカ」
「えっ、ま、まあ、そうですが……」
「どうか里の恩人のために、力を貸してはくれぬかのう?」
ああああああっ、やっぱりそう来たかっ!
言葉遣いは優しいけれど、長の言葉は絶対だ。断れば家族ごと村八分状態になっちまう。
オレひとりだけなら、里を出て気ままに旅をするのもいいと思う。だけど人の良い親父やおふくろを道連れになんてできない。
長に頼まれてしまったら、オレが言えるのは『ハイ』か『イエス』か『喜んで』だけだ。
はぁぁぁ、泣きたい……いや、クウガを正座させて一昼夜かけて説教してやりたい。
込み上げてくる怒りと格闘しながら、オレは全理性を総動員させて外面を維持し続ける。
そしてようやく口を開くことができた。
「分かりました……里を代表して、恩人が一日でも早く解呪されるように全力を尽くします」
オレができる最善策は、さっさとクウガを解呪させて終わらせること。
やっと切れた腐れ縁が修復してしまわないように、一日でも早く別れるに限る。
ギュッと拳を握って決意を固めていると、隣で黙っていたアグードが割り込んできた。
「あのっ、俺もついて行きたいです! 里の恩人とルカ兄の護衛をさせて下さい!」
「アグード、お前も行くとなると、里の護りが心もとなくなってしまうのう……」
「しかし、もし呪いが強まってしまい、クウガ様の肉体に魔物が入ってしまえば、ルカ兄の身が危険に……万が一のために、どうか行かせて下さい!」
熱心なアグードの頼みに、長はしばらく唸り続ける。
それからようやくコクリと頷いてくれた。
「確かにその可能性は無きにしもあらず。よろしいですかのう、クウガ様?」
「私は構わない。むしろ二人の時間をもらうことになって申し訳ない」
クウガは上体を捻ってオレたちに顔をしっかりと向けると、ゆっくり頭を下げた。
「どうか力を貸して欲しい。解呪を終えた後は、一生かけて私の財産を捧げたい」
「いや、捧げないで下さい! これは我らが受けた恩を返すだけ。プラマイゼロです! 一生ここに通われるなんて、たまったもんじゃない……じゃなくて、申し訳なさ過ぎます」
危うく本音を零しそうになったが、どうにか修正する。
マジで来ないで。解呪が終わったら、はいサヨナラーで十分だから。
変に義理堅いところは前世と変わらないな。あと重い。相手からの軽い優しさが、クウガは重く捉えて返してくるからな。
今までどれだけそれで困惑してドン引いたヤツらを見てきたことか――特に女子。モテるのに、重すぎて誰も付き合おうとならなかった残念男子め。
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