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実は健気なヤツだった?
しおりを挟む「あ……っ……ふ、ぅ……」
俺が頬や首筋、額やまぶたに口づける度に、リクが悩ましい声を漏らす。
普段は何事にも動じません、と宣言しているかのように表情が乏しく、俺とふたりきりじゃなければ感情もあまり出さないようなヤツだ。それなのに俺が少し触ったり、キスしたりするだけで可愛く啼いてくれる。
夢や妄想で、淫らなリクを想像したことは数え切れないほどある。
けれど現実は――俺の想像なんかじゃあ追いつけないほどエロくて、悦んでいるように見えた。
俺で感じまくっているリク……夢じゃないよな? 現実だよな? と逐一確かめたくなる。それと同時に不安もよぎる。
「……なあリク。ひとつ聞いていいか?」
「ン……っ……なに……?」
「お前、もしかして……経験ある? なんか、スゲー感じ慣れてるというか……こういうのって回数重ねて開発していかなくちゃダメだと思ってたんだけど……」
思ってた、というか厳密に言えば、男同士のやり方を調べたら『一朝一夕で気持ち良くなれるものじゃない』と説くサイトが多かったから意識していた。
だからリクが俺で感じてくれているのが嬉しいけれど、心から喜び切れない。
今まで男の相手がいてもおかしくないような外観。そうだと言われても、やっぱりか……と納得するだけで、気持ちが冷めることはないけれど。少しだけ悔しくて辛いとは思うけど。
リクは一気に頬を赤くすると、俺から顔を反らしながら呟いた。
「……だって、俺……ずっと前から雪也のこと、好きだったし……ひとりでする時、お前に触れられたらって考えながらやってたから……」
……マジか……こういうことって面倒くさくてやらなさそうなタイプっぽいのに。
そういえば普通にゴムとローション用意してくれたけど、まさか――。
俺はローションを垂らした指でリクの後ろを弄ってみる。指先で押すと少し硬さはあるが、すぐに解れてぬぷっと呑み込んでしまう。
「は……っ……ぁ……ン……」
「ここ……俺のこと考えながら、自分で開発しちゃったのか? うわあ……スゲー柔らかくなってく。ヒクヒクして……指、あったかくて気持ちいい……」
未知の感触に感動しながら、どんどん奥を解して指で憧れの体を堪能していると、リクが身悶えながら瞳を潤ませた。
「……こんなの……っ、俺っぽくなくて、嫌か……?」
俺は一瞬頭を真っ白にしてから、慌てて首を横に振る。まさかこんなに健気なヤツだと思わなくて、ますます夢心地になっていくけど――。
心配そうにするリクの唇をねっとりと奪ってから、俺は心のままに顔を緩めた。
「嫌なんてまさか……!」
「ン……っ、本当に……?」
「……そういうとこ、好き……」
俺の答えにリクがホッと安堵する。その瞬間に指の腹に当たるしこりみたいなものをグッと押した途端、
「アァ……っ! そこ、待って……ぁ、いや……ァ……っ」
明らかにリクの反応が大きくなって、俺の心臓が大きく脈打つ。
きっとここが良いんだな、と確信を持ちつつ、ちょっと悪戯心が出てきて俺はリクに耳打ちしてみる。
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