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俺は嫌じゃないし

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 ……え? 暴れないのか?
 このままだと調子に乗って最後までやっちまいそうんだけど。

 唇柔らけーなー、舌入れてみてーなー……って、それはさすがに嫌われるだろ。
 これでおしまい。良い思い出ができたって思えば……っ。

 嫌われたかなあ……と心配しつつ唇を離してみると、リクはきょとんとした顔で俺を見上げるばかりだった。

「わ、悪い……っ、その……えっと……」

「雪也、やっぱり俺のこと好きだったのか……」

 うわあああ……バレバレだったのかよぉぉ……。
 誤魔化せる状態じゃないと観念して、俺はこっくりと頷く。

「あー……うん……好き。マジで好き」

「もしかして、俺のこと抱ける?」

「ヨユーで抱ける。むしろ抱かせて下さいって、真っ昼間のスクランブル交差点のど真ん中で土下座できる。でも……リクは嫌だろ? 俺、リクを抱きたいけれど……傷つけるのは嫌だ」

 嘘じゃない。これが俺の本心。
 リクは俺をジッと見つめてから、薄っすらと笑った。

「……本当に嫌だと思ってる?」

 あまりにその顔がいやらしくて、俺は思わず生唾を呑んでしまう。
 どうしよう……やっぱり体目当てですって思われそうなんだけど。

 いや、違うんだ! リクの嫌なことしたくないけど、許されるならメチャクチャにしたい。どれだけ俺がリクのこと好きで、我慢に我慢を重ねてきたか知ってもらいたいし、ずっと溜め込んで重くなったモンを受け取ってもらいたい。

 これ以上煽られたらもう止まれない。頼むから軽はずみにからかわないでくれ……と願いがながら、俺が限界なのを知って欲しくて訴える。

「嫌に決まってるだろ! ずっと好きだったんだぞ? いくら抱きたくても、嫌がったり痛がったりする顔を延々と見るような真似なんかしたくないし、リクにそんな嫌な思いをさせるぐらいなら、下半身が溜まりに溜まって爆発したほうがマシだ」

 押し倒したまま言っても、説得力ないな……。でも、これが本心なんだ。

 力説しながら凝視し続けていると、リクはプッと大きく吹き出して笑った。
 そして手を伸ばし、俺の頬へ触れてきた。

「そこまで言うならやってみろよ」

「リ、リク、だから――」

「俺は嫌じゃないし、傷つきもしないから……じゃあ、ちょっとシャワー浴びてくるな」

 むくりと体を起こしたと思ったら、リクから俺に躊躇なくキスをしてくる。

 思考停止。俺の現実が固まる。
 立ち上がってリクが食器を片付け、キッチンへ運んでからシャワーを浴びるまでの間――俺は鼻血を抑えることでいっぱいいっぱいだった。
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