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レコンキスタ
PHASE-71
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「無駄だぜ」
そこは火龍の鱗から作られた装備。
いくらサージャスの火球が強力であっても、一切のダメージを負ってはいなかった。
「知ってるよ。氷が邪魔だっただけ」
言うと願望破壊の乙女を片腕だけで構える。
振り上げられた狂乱の乙女に対して穂先は届かない。
急接近されても対処出来る距離だと確信するダイアン。
だが、サージャスは構え続けるだけ。
右手でのみ持ち、左手は暇をもてあましている。
――――と、もてあましていた左手を小さく動かせば、
「だ!?」
ダイアンに衝撃が走る。
何事かと衝撃を受けた方を見れば、自身がサージャスを包囲するために作っていた氷塊が、術者である自分にぶつかってきた。
「なんだよ!?」
突如として襲ってきた自身が唱えた魔法。
瞬時に理解したのは、グリーと行動を共にしていたミッシェルという男が、使用していた武器をサージャスに乗っ取られたという報告があった事を思い出す。
どれだけ実力差が開いているんだと、その時は心底で小馬鹿にしていたダイアン。
「いやはや、あのグリーってのが馬鹿そうだったから、連れも大したことないと思っていたんだがな~」
まさか、自分の魔法すらもジャックされるとは、ショックだったようである。
「でも、動かすのに結構な魔力を使ったから、貴男の魔法は大したものだよ」
「フィローになってねえよ!」
結局のところは実力差があるからジャックされる。擁護されれば虚しくなるだけであった。
フィンガースナップを一つ行い、自身の展開している氷塊をこれ以上ジャックされても困ると解除。
氷塊に氷の壁、女性像がキラキラと砕け、ダイヤモンドダストとなり、殺伐とした戦場を美しく変える。
「で、こいつもだ」
奪われた氷塊は双剣で破壊。
憂いは無くなった――――。とは言いきれない。
結局のところ、サージャスはこれで自由に動けるようになった。
「やってやるさ!」
気合いを口から出すダイアン。
実力差があるからジャックされる。以前、勝てなかった経験もある。
手に持つ双剣の兵仗に、望みを託すように柄を強く握りしめ、サージャスへと向かって驀地する。
赤い軌跡を描きながらの愚直な直進。
「そういう真っ直ぐなところは嫌いじゃない」
「じゃあ、付き合おうぜ。子供は三人は欲しいな」
「だからそれはない」
「涙が出てきそうだ……」
今度こそは狂乱の乙女の能力を見舞い、その隙に一気に勝負を決めると、最高の間合いにて双剣を振ろうとする。
「それはさっき攻略が済んでるよ」
左の食指をダイアンへと向け、
「雹弾」
氷結系の使い手に対して挑発的な魔法。
しかも使用魔法が、こういう達人だらけの場所では些末な魔法と憚られる、初歩の中の初歩である魔法、雹弾だった。
火球よりも先に覚える魔法。
プラムの種サイズからなる氷の球体が、勢いよく指先から放たれる。
――――躱すほどでもない。
無論、生身に当たればただでは済まないが、火龍の鎧の前では意味を成さない魔法。
頭部さえ守っていれば問題ない程度。
「おら!」
気にも留めないと、剣を振り下ろそうとすれば、ギンッと音がダイアンの耳に激しく届く。
同時に振り上げた剣に抵抗を感じれば、次には柄から衝撃が手に伝わってくる。
自らの意思に逆らって、剣を振る腕が下りてこない。
「クソ!」
ならばと、もう一振りを振れば、
「雹弾」
サージャスがまたも唱え、ギンッと同様の音が響く。
「マジかよ……」
振り切ろうとする剣身に向かって、サージャスの魔法が直撃。
衝撃で剣を完全に振る事が出来ない。
十代半ばの少女が見せる必中の魔法技量。
攻略済みなのは、こうやって、自分の動きを制する戦法を思いついたからか。と、感嘆の息を漏らすダイアン。
大魔法では警戒するが、初歩も初歩ならほぼ警戒をしない。だからこそ、攻撃を止められてしまった。
初歩だろうと、最大の警戒をすべきだったと猛反のダイアン。
そこは火龍の鱗から作られた装備。
いくらサージャスの火球が強力であっても、一切のダメージを負ってはいなかった。
「知ってるよ。氷が邪魔だっただけ」
言うと願望破壊の乙女を片腕だけで構える。
振り上げられた狂乱の乙女に対して穂先は届かない。
急接近されても対処出来る距離だと確信するダイアン。
だが、サージャスは構え続けるだけ。
右手でのみ持ち、左手は暇をもてあましている。
――――と、もてあましていた左手を小さく動かせば、
「だ!?」
ダイアンに衝撃が走る。
何事かと衝撃を受けた方を見れば、自身がサージャスを包囲するために作っていた氷塊が、術者である自分にぶつかってきた。
「なんだよ!?」
突如として襲ってきた自身が唱えた魔法。
瞬時に理解したのは、グリーと行動を共にしていたミッシェルという男が、使用していた武器をサージャスに乗っ取られたという報告があった事を思い出す。
どれだけ実力差が開いているんだと、その時は心底で小馬鹿にしていたダイアン。
「いやはや、あのグリーってのが馬鹿そうだったから、連れも大したことないと思っていたんだがな~」
まさか、自分の魔法すらもジャックされるとは、ショックだったようである。
「でも、動かすのに結構な魔力を使ったから、貴男の魔法は大したものだよ」
「フィローになってねえよ!」
結局のところは実力差があるからジャックされる。擁護されれば虚しくなるだけであった。
フィンガースナップを一つ行い、自身の展開している氷塊をこれ以上ジャックされても困ると解除。
氷塊に氷の壁、女性像がキラキラと砕け、ダイヤモンドダストとなり、殺伐とした戦場を美しく変える。
「で、こいつもだ」
奪われた氷塊は双剣で破壊。
憂いは無くなった――――。とは言いきれない。
結局のところ、サージャスはこれで自由に動けるようになった。
「やってやるさ!」
気合いを口から出すダイアン。
実力差があるからジャックされる。以前、勝てなかった経験もある。
手に持つ双剣の兵仗に、望みを託すように柄を強く握りしめ、サージャスへと向かって驀地する。
赤い軌跡を描きながらの愚直な直進。
「そういう真っ直ぐなところは嫌いじゃない」
「じゃあ、付き合おうぜ。子供は三人は欲しいな」
「だからそれはない」
「涙が出てきそうだ……」
今度こそは狂乱の乙女の能力を見舞い、その隙に一気に勝負を決めると、最高の間合いにて双剣を振ろうとする。
「それはさっき攻略が済んでるよ」
左の食指をダイアンへと向け、
「雹弾」
氷結系の使い手に対して挑発的な魔法。
しかも使用魔法が、こういう達人だらけの場所では些末な魔法と憚られる、初歩の中の初歩である魔法、雹弾だった。
火球よりも先に覚える魔法。
プラムの種サイズからなる氷の球体が、勢いよく指先から放たれる。
――――躱すほどでもない。
無論、生身に当たればただでは済まないが、火龍の鎧の前では意味を成さない魔法。
頭部さえ守っていれば問題ない程度。
「おら!」
気にも留めないと、剣を振り下ろそうとすれば、ギンッと音がダイアンの耳に激しく届く。
同時に振り上げた剣に抵抗を感じれば、次には柄から衝撃が手に伝わってくる。
自らの意思に逆らって、剣を振る腕が下りてこない。
「クソ!」
ならばと、もう一振りを振れば、
「雹弾」
サージャスがまたも唱え、ギンッと同様の音が響く。
「マジかよ……」
振り切ろうとする剣身に向かって、サージャスの魔法が直撃。
衝撃で剣を完全に振る事が出来ない。
十代半ばの少女が見せる必中の魔法技量。
攻略済みなのは、こうやって、自分の動きを制する戦法を思いついたからか。と、感嘆の息を漏らすダイアン。
大魔法では警戒するが、初歩も初歩ならほぼ警戒をしない。だからこそ、攻撃を止められてしまった。
初歩だろうと、最大の警戒をすべきだったと猛反のダイアン。
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