550 / 604
レコンキスタ
PHASE-63
しおりを挟む
「そい!」
出てきた腕を、リューディアが掴み引きずりだせば、亡者が一体ヘイターより出て来る。
「うわ……」
何とも変な感覚にリューディアは囚われる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」
うめき声を上げる亡者。
「元気な朽ち人です~」
などと、冗談を口にするヘイター。
出産のようだと思っていた矢先にヘイターがそう言うから、リューディアは渋面で返しつつ、拳を亡者に見舞えば霧散していく。
「ひどいや! 折角、生まれ出でたのに」
「やめてもらえる。冗談でも全く笑えない」
「ああそう。本当に酷いけどね。ドレインタッチ系の亡者って貴重なのに」
アンデッドのスキルを使用出来る術者を亡者とするのは中々にレアだとの事。
「お前から解放されることが幸せだからな」
「だから勝手に決めない!」
声を荒げるヘイターを合図に、ゲイアードに向かって両親が迫る。
強烈な連撃を行ってくる。
それを捌いていくゲイアード。
体術のレベルの高さは、親譲りとヘイターに見せつけるように。
理解しているヘイターは歯を軋らせ苛立つ。
「はいはい、凄い凄い!」
剣を地に刺し、諸手をゲイアードへと向ければ、
「光輪爆!」
詠唱破棄による大魔法。
天使の輪を巨大化させた光が発生すれば、近接反応のこの魔法は、回避しようとするゲイアードの側で大爆発を起こす。
周囲で戦う冒険者や、亡者にラゴットの勢力もその爆風の衝撃で吹き飛ばされる。
濛々と立ち籠める爆煙が一帯を支配し、視界は最悪である。
「ふぅ~中々にきついね」
亡者を大量召喚しているにもかかわらず、詠唱破棄からの大魔法。おおよそ人間が有している魔力量からすれば、考えられない膨大な魔力使用。
魔力量だけならば、魔王軍の幹部に匹敵するだけの魔力量である。
「きつそうだな」
「やっぱり無傷か……」
直撃の爆発を受けているのに、爆煙が晴れれば、スーツは埃一つ付着していない。
ややずれた眼鏡を整えれば、背筋を真っ直ぐに伸ばした姿勢で佇む。
「その余裕な素振りが不快だね」
「素振り? 余裕そのものだ。お前と違ってな」
「リューディアに、へっぽこ騎士団を使役しているのに、疲れは見せないね」
「私は魔力を一切、皆に使用していないからな」
「意味が分からない。魂を留めるなら、力で押さえつけなくても消費はする」
「ああ、以前はそうだった」
「以前?」
「お前だけが新術を開発したと思わない事だ。自分が出来る事は、他人も出来ると思えないお前はそこで成長が止まっている」
「うるさい! 僕の出来る事を下等な劣等種が出来るかよ!」
「情けない」
「黙れ!」
大音声で叫べば、頭に血が上ったのか、先ほど以上にヘイターの足はふらつき、ついには膝を地につける。
「もう、やめよう……」
切に願う声音のリューディア。
対して、首を左右に振るヘイター。
「実証しないといけない。僕の才能が最高だと」
「ならこい。お前の全てを否定してやる」
「悪役みたいな台詞だね。兄さん」
「命を奪われても尚、奪った相手を心配し、制止を求めているのに聞き入れず、自分を認めさせようと必死になる姿は子供だな」
「だからさ――――、黙れよ!!」
地に刺した剣を手に取り投擲すれば、同時に一足飛びで接近。
背後へと回り込み、ナイフを体から取り出せば、ゲイアード目がけて刺突を行う。
ゲイアードは躱す素振りは見せない。リューディアが結界を展開して攻撃を防いでくれると分かっていた。
弾かれるヘイターの攻撃。
結界に触れた衝撃で腕が上がれば、腹部にゲイアードの蹴撃が入る。
「ぐぅ……」
くの字になったところに、立て続けにゲイアードの拳が顔面に入る。
――――舞う仮面。
とっさに手で顔を隠しつつ距離を取る。
「なんだ? 顔を隠さないと強がれないのか?」
「うるさい!」
興奮した語気のまま、手に黒炎を纏わせれば、次にはそれを放つ。
黒炎はゲイアードの手前で爆発。
その後、連鎖するように大爆発が続く。
爆発が爆発を呼び、徐々に爆発範囲が一定の広さに到達すると、その範囲内で爆発が続いた――――。
出てきた腕を、リューディアが掴み引きずりだせば、亡者が一体ヘイターより出て来る。
「うわ……」
何とも変な感覚にリューディアは囚われる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」
うめき声を上げる亡者。
「元気な朽ち人です~」
などと、冗談を口にするヘイター。
出産のようだと思っていた矢先にヘイターがそう言うから、リューディアは渋面で返しつつ、拳を亡者に見舞えば霧散していく。
「ひどいや! 折角、生まれ出でたのに」
「やめてもらえる。冗談でも全く笑えない」
「ああそう。本当に酷いけどね。ドレインタッチ系の亡者って貴重なのに」
アンデッドのスキルを使用出来る術者を亡者とするのは中々にレアだとの事。
「お前から解放されることが幸せだからな」
「だから勝手に決めない!」
声を荒げるヘイターを合図に、ゲイアードに向かって両親が迫る。
強烈な連撃を行ってくる。
それを捌いていくゲイアード。
体術のレベルの高さは、親譲りとヘイターに見せつけるように。
理解しているヘイターは歯を軋らせ苛立つ。
「はいはい、凄い凄い!」
剣を地に刺し、諸手をゲイアードへと向ければ、
「光輪爆!」
詠唱破棄による大魔法。
天使の輪を巨大化させた光が発生すれば、近接反応のこの魔法は、回避しようとするゲイアードの側で大爆発を起こす。
周囲で戦う冒険者や、亡者にラゴットの勢力もその爆風の衝撃で吹き飛ばされる。
濛々と立ち籠める爆煙が一帯を支配し、視界は最悪である。
「ふぅ~中々にきついね」
亡者を大量召喚しているにもかかわらず、詠唱破棄からの大魔法。おおよそ人間が有している魔力量からすれば、考えられない膨大な魔力使用。
魔力量だけならば、魔王軍の幹部に匹敵するだけの魔力量である。
「きつそうだな」
「やっぱり無傷か……」
直撃の爆発を受けているのに、爆煙が晴れれば、スーツは埃一つ付着していない。
ややずれた眼鏡を整えれば、背筋を真っ直ぐに伸ばした姿勢で佇む。
「その余裕な素振りが不快だね」
「素振り? 余裕そのものだ。お前と違ってな」
「リューディアに、へっぽこ騎士団を使役しているのに、疲れは見せないね」
「私は魔力を一切、皆に使用していないからな」
「意味が分からない。魂を留めるなら、力で押さえつけなくても消費はする」
「ああ、以前はそうだった」
「以前?」
「お前だけが新術を開発したと思わない事だ。自分が出来る事は、他人も出来ると思えないお前はそこで成長が止まっている」
「うるさい! 僕の出来る事を下等な劣等種が出来るかよ!」
「情けない」
「黙れ!」
大音声で叫べば、頭に血が上ったのか、先ほど以上にヘイターの足はふらつき、ついには膝を地につける。
「もう、やめよう……」
切に願う声音のリューディア。
対して、首を左右に振るヘイター。
「実証しないといけない。僕の才能が最高だと」
「ならこい。お前の全てを否定してやる」
「悪役みたいな台詞だね。兄さん」
「命を奪われても尚、奪った相手を心配し、制止を求めているのに聞き入れず、自分を認めさせようと必死になる姿は子供だな」
「だからさ――――、黙れよ!!」
地に刺した剣を手に取り投擲すれば、同時に一足飛びで接近。
背後へと回り込み、ナイフを体から取り出せば、ゲイアード目がけて刺突を行う。
ゲイアードは躱す素振りは見せない。リューディアが結界を展開して攻撃を防いでくれると分かっていた。
弾かれるヘイターの攻撃。
結界に触れた衝撃で腕が上がれば、腹部にゲイアードの蹴撃が入る。
「ぐぅ……」
くの字になったところに、立て続けにゲイアードの拳が顔面に入る。
――――舞う仮面。
とっさに手で顔を隠しつつ距離を取る。
「なんだ? 顔を隠さないと強がれないのか?」
「うるさい!」
興奮した語気のまま、手に黒炎を纏わせれば、次にはそれを放つ。
黒炎はゲイアードの手前で爆発。
その後、連鎖するように大爆発が続く。
爆発が爆発を呼び、徐々に爆発範囲が一定の広さに到達すると、その範囲内で爆発が続いた――――。
0
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
ああ、もういらないのね
志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。
それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。
だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥
たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる