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レコンキスタ
PHASE-43
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「ふう!」
快活良く迫れば、サージャスさんへと双剣の剣身が煌めく。
柄にてそれを難なく受け止めた。
「こっちは魔法も使えるようになったよ。いいのかな? 戦いを挑んで」
「よくはねえけどな。流石にびびってるしよ。周り見たら逃げ出したいね」
「だったら挑まなければいい」
「プライドってのがあるんだよ。さっきは相手にされなかったしな」
「でも、ボクのパーティーは手強かったでしょ」
「おお、面倒だったぜ。結局、魔法が使えるようになった連中に囲まれて、分が悪くて逃げ出した」
「一人でボクのパーティーだけじゃなく、他の冒険者も相手にしたことを誇ればいい」
「そりゃどうも」
はずむ会話と共に数合打ち合う、サージャスさんとダイアン。
双剣と氷結魔法の併用に対して、願望破壊の乙女と、火球で対処していく。
自慢の魔法も、魔法が使用出来るようになったサージャスさんを相手にすれば、決定打にはまったく届かない。
「強いったらないね~」
ダイアンの台詞を耳にしたからなのか、
『軍馬よ、いつまでもじゃれるな』
早く、こちらの掩護に来いと言わんばかりのヘルム。
言葉を聞き入れるように、ブラッドシップさんと離れた位置で、大地をゆらしながら戦っていた四脚が、竿立ちみたいになると、前脚にて激しく連続攻撃を浴びせ、続けて体全体から、光の帯を放つ。
捷利嚮導の乙女のような直線的なものではなく、生物のように蛇行した機動で、ブラッドシップさんを全方位から襲った。
流石に効いているようで、動きが鈍くなる。
それでも、流血をしていないのは、あの巨大さと、頑丈な鱗をもっているからだろう。
『ほう、耐えたか。倒れるまで撃ち続けよ』
「まてぇぇぇぇい」
なんだ!? と、皆が声の方へと目を向ければ、
――……何してんですか? 二人して……。
庭園で未だ健在なガボゼが一つ。
その屋根に二人して立ってポージングをし、白衣をたなびかせる、褐色筋肉と、色白細身。
つまりは、タモンさんとブンゴさんが格好をつけている。
『何用かな? 今更そちらのゴーレムを使用したところで、意味は無いよ』
確かに。
いくら戦闘を可能にした状態だとしても、ここでは場違いなような気がする。
フサルクなる破壊してもすぐに元通りになる、サージャスさんクラスの力を有する、人サイズのゴーレムに、相対している魔王軍のお歴々からなる光景。
お呼びじゃない。ヘルムの心境はこれだろう。
「なめないでいただきたいですな。我ら、魔道開発局の実力を!」
「日夜、机にかじりついて昇華させていった技術力を見せてあげましょう」
褐色、細身の順で口を開き、手にした魔石を大地に投げる。
魔石が転がり――、止まったところで、
「「インパクト!」」
二人して口にすると、輝く魔石は勤労君たちへと姿を変える。
ポージングをしつつ現れる。
一体一体で、ポージングが違うのはタモンさんのこだわり。
『ポージングはまあ、どうでもいいが、そのゴーレム達は、この戦いが終わった後に、ちゃんと我々が利用させてもらう』
「無理ですな!」
「なぜならば、貴男が統治する未来など、永劫訪れないのだから」
普段、机の前で研究に没頭したり、書類整理をする立場だからか、ここぞとばかりに目立とうとしている……。
二人とも、自分の行動と発言に陶酔している……。
『はあ……』
相手にしているのが面倒とばかりに嘆息だ。
でも二人はお構いなしにノリノリである。
見ているこっちが恥ずかしいくらいに……。
「ブラッドシップ殿。魔道開発局が生み出した勤労君が掩護します」
ブンゴさんが言えば、
「さあ、我ら開発に携わる者。事務方として、裏方に徹する者たちの思いを体現させよう。たまには表で輝きたい!!」
何を言っているんだタモンさん……。本当に、恥ずかしいよ。視線をそちらに向けたくないくらいに……。
ヘルム、嘆息もしなくなってしまった……。それどころか、可哀想な人を見るよな、哀れみの目になっている……。
快活良く迫れば、サージャスさんへと双剣の剣身が煌めく。
柄にてそれを難なく受け止めた。
「こっちは魔法も使えるようになったよ。いいのかな? 戦いを挑んで」
「よくはねえけどな。流石にびびってるしよ。周り見たら逃げ出したいね」
「だったら挑まなければいい」
「プライドってのがあるんだよ。さっきは相手にされなかったしな」
「でも、ボクのパーティーは手強かったでしょ」
「おお、面倒だったぜ。結局、魔法が使えるようになった連中に囲まれて、分が悪くて逃げ出した」
「一人でボクのパーティーだけじゃなく、他の冒険者も相手にしたことを誇ればいい」
「そりゃどうも」
はずむ会話と共に数合打ち合う、サージャスさんとダイアン。
双剣と氷結魔法の併用に対して、願望破壊の乙女と、火球で対処していく。
自慢の魔法も、魔法が使用出来るようになったサージャスさんを相手にすれば、決定打にはまったく届かない。
「強いったらないね~」
ダイアンの台詞を耳にしたからなのか、
『軍馬よ、いつまでもじゃれるな』
早く、こちらの掩護に来いと言わんばかりのヘルム。
言葉を聞き入れるように、ブラッドシップさんと離れた位置で、大地をゆらしながら戦っていた四脚が、竿立ちみたいになると、前脚にて激しく連続攻撃を浴びせ、続けて体全体から、光の帯を放つ。
捷利嚮導の乙女のような直線的なものではなく、生物のように蛇行した機動で、ブラッドシップさんを全方位から襲った。
流石に効いているようで、動きが鈍くなる。
それでも、流血をしていないのは、あの巨大さと、頑丈な鱗をもっているからだろう。
『ほう、耐えたか。倒れるまで撃ち続けよ』
「まてぇぇぇぇい」
なんだ!? と、皆が声の方へと目を向ければ、
――……何してんですか? 二人して……。
庭園で未だ健在なガボゼが一つ。
その屋根に二人して立ってポージングをし、白衣をたなびかせる、褐色筋肉と、色白細身。
つまりは、タモンさんとブンゴさんが格好をつけている。
『何用かな? 今更そちらのゴーレムを使用したところで、意味は無いよ』
確かに。
いくら戦闘を可能にした状態だとしても、ここでは場違いなような気がする。
フサルクなる破壊してもすぐに元通りになる、サージャスさんクラスの力を有する、人サイズのゴーレムに、相対している魔王軍のお歴々からなる光景。
お呼びじゃない。ヘルムの心境はこれだろう。
「なめないでいただきたいですな。我ら、魔道開発局の実力を!」
「日夜、机にかじりついて昇華させていった技術力を見せてあげましょう」
褐色、細身の順で口を開き、手にした魔石を大地に投げる。
魔石が転がり――、止まったところで、
「「インパクト!」」
二人して口にすると、輝く魔石は勤労君たちへと姿を変える。
ポージングをしつつ現れる。
一体一体で、ポージングが違うのはタモンさんのこだわり。
『ポージングはまあ、どうでもいいが、そのゴーレム達は、この戦いが終わった後に、ちゃんと我々が利用させてもらう』
「無理ですな!」
「なぜならば、貴男が統治する未来など、永劫訪れないのだから」
普段、机の前で研究に没頭したり、書類整理をする立場だからか、ここぞとばかりに目立とうとしている……。
二人とも、自分の行動と発言に陶酔している……。
『はあ……』
相手にしているのが面倒とばかりに嘆息だ。
でも二人はお構いなしにノリノリである。
見ているこっちが恥ずかしいくらいに……。
「ブラッドシップ殿。魔道開発局が生み出した勤労君が掩護します」
ブンゴさんが言えば、
「さあ、我ら開発に携わる者。事務方として、裏方に徹する者たちの思いを体現させよう。たまには表で輝きたい!!」
何を言っているんだタモンさん……。本当に、恥ずかしいよ。視線をそちらに向けたくないくらいに……。
ヘルム、嘆息もしなくなってしまった……。それどころか、可哀想な人を見るよな、哀れみの目になっている……。
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