拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-40

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『邪神すらも容易く倒す私に刃向かうか』

「倒す? 何を言うのか。アレがあの程度で倒せたとでも? そんなに容易いなら、苦労はしとらんと、さっきも言ったであろう」
 魔王さんの発言に、目を見開いて、魔力粒子砲が直撃した地点を見る。
 僕もつられて見れば――――、宙に浮く人影。
 煙が晴れれば、プスプスと体から煙を立ち上らせて、自慢のスーツがボロボロに変わり果てた、うつむいている邪神がそこにいた。

『なんだ? 動かないではないか? 瀕死の状態だな』
 とか余裕こいてるけども、
 ――――邪神の体が震え出す。
 震えに合わせて、戦場にしじまが訪れた。
 戦う人たちの直感なのか、今から何かがおこると思ったようで、邪神の方へと視線が注がれる。
 シーンじゃなくて、キーンって感じの静けさ。
 寒さを覚える静けさだった。
 
 震える邪神に合わせて、大気もピリピリとしはじめ、ついにはドドドドドドっと、強く震えだし、大地も揺さぶられる。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
 突如として邪神が吠えた。

「屈辱! この我が、土塊の操る人形に、スーツを駄目にされるとは! ゆるせん! この大陸ごと消し炭にしてやろうか!」
 あれ? ラスボスがいるよ。
 背後では、空から雷が降り注ぎ、風が吹き荒んでいる。
 揺れる大地、雷、突風と、一気に荒天に変わった。
 怒れる邪神の構図。
 完全にラスボスじゃないか。僕たちが挑まないといけないの、あんたになってしまいそうな構図はやめなさいよ。

「魔王さん。落ち着かせてください」
 頼めば、舌打ちで返してきた。面倒くさいのだろう。
 なので、グリグリの準備をすれば、
「少しは落ち着け。大陸を消し飛ばしてどうする」
 素直にいう事を聞いてくれた。

「すごいですね」
 心底からの発言のカグラさん。
 我が儘な主を僕がしつけているのに、大層、驚いておられました。

「はい、ここでロールさん」
 つーかーとばかりに理解してくださっているロールさん。

「お願いですから、私たちの住む大陸を破壊しないでください。お兄ちゃん」
 お兄様から変更しているところが、ロールさんの妙技だな。

「うむ♪」
 そしてこの上機嫌である。
 先ほどまで荒ぶっていたのに、天候も一気に快晴だ……。
 
 こんなにも不安定な存在だったなら、そりゃ大昔、世界を混乱に陥れるってもんだ。
 本当に迷惑な存在だけども、ここではもっとも頼りにしないといけないからな。
 
 邪神の御業ってのを皆さんに刮目させていただきたいね。
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