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レコンキスタ

PHASE-21

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「触れれば痛いじゃすまねえよ」
「見れば分かる」
 双剣を動かせば、氷塊が動き、サージャスさんを襲う。
 巧みに躱し、槍で砕いていくも、
「そこは駄目。はずれだ」
 と、ダイアンが笑む。
 足を置いたところで氷地走フロストマインが発動。
 今度のは足を捉える程度のものだ、全体を凍らせるものではない。
 現出している氷塊で、確実なダメージを与えたいからだろう。

「くっそー! 俺たちの希望なんだよ!」
 周囲の戦闘で手の空いた冒険者の方が吠える。
 重厚な鎧には傷が目立つ。前線で盾役として活躍し、現在、後方で小休止だったのだろう。
 希望を守るとばかりに、重量武器のウォーハンマーを振り上げて、ダイアンに向かって走り出す。

「おっそい足だな」
 振り下ろされるハンマーがダイアンへと届くことはない。
 足を氷漬けにされてしまった。
 あちこちにトラップの氷地走フロストマインをしかけているようだ。

「まだまだ!」
 身動きを奪われた味方を踏み台にして、背に隠れていた軽装なシーフの方が、両手にダガーを持ち、投擲。
 口にくわえた残りのダガーを手に持って、斬りかかる。

「あめえ」
 深紅の小手でダガーを払い、双剣で斬る。

「この野郎!」
 斬られて倒れた仲間を目にして、囲っていた冒険者の方々がダイアンに一斉に攻めかかる。

「いや怖いね。本来ならこの状況だと、逃げるけども――――!」
 宙に舞う無数の刺々しい氷塊に加えて、基本魔法の氷塊錐フリーズダガーを迫る方々に見舞えば、バタバタと倒れていく。

「本当に、魔法が使えないのは辛いな。よかったぜ。俺じゃなくて」
 圧倒していくダイアン。強いじゃないか……。
 会食の場にヘルムがいたから本気が出せなかったとか言ってたけど、真実だったな。
 襲撃時は手抜きだったのがよく分かる強さだ。

「さてさて、前線はでっかいのに任せて、美少女ちゃんは俺のお相手を続けてもらう。とりあえず、その槍を渡してもらおうか」

「お断り!」
 仲間がやられてサージャスさんはお怒りだ。

「聞き分けの悪いお嬢ちゃんだ」
 双剣を交差させれば、周囲の氷塊が一斉にサージャスさんを襲う。

「はぁ!」
 気合い十分とばかり発せば、チャクラで氷を破壊。
 迫ってくる氷塊も体に纏ったチャクラを飛ばして破壊した。

「すげーな」
「様々な対処法を知って、実戦で実行」
「変わった勇者だよ」
「褒め言葉として受け取るよ!」
 攻めてくるか。と、双剣を構えるも、
「……はぁ!?」
 サージャスさんの気合い十分なものとは違って、素っ頓狂な声のダイアン。
 眼前からサージャスさんが消えた。
 
 目で追えば、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデへと向かい、暴れ回る巨神に、願望破壊の乙女ラーズグリーズの穂先を見舞う。

「んだ、そりゃ! 折角こっちもとっておきを準備してたのによ!」
 と言えば、腰にぶら下げている、いま手にしている双剣とは違う双剣に目を向けている。
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