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王都潜入
PHASE-20
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「ぷ――――」
シナンさんがグリーを見て吹き出す。
猫耳美人が笑うと、連鎖するように笑い始める皆さん。
捕らえて自分の側に置こうとしていた女性陣たちに笑われるグリー。
ロールさんも肩を震わせてしまっているが、笑いをこぼさないように堪えながらも、グリーの顔を真っ直ぐに見られなくなっていた。
「なんらよ?」
なんだろう。滑舌の悪さが笑いに拍車をかけるね。
「煙草が吸いやすそうなデザインになったな」
と、二本目を吸い始める整備長が、嘲笑しながらグリーに語りかければ、笑いが大きなものになる。
未だに理解できていないようだ。
ザイオン氏が、地面に転がる白い物を指差してやる。
「男前が上がったな」
と、百人長のなじりで、爆笑に変わる。
「ふぁ?」
歯と言いたかったのかな?
そう言うと、自分の前歯部分に、恐る恐る手で触れた。
上の部分にあるはずの物がなくなっている事に気付いたようだ。
「俺のふぁぁぁぁぁぁぁ!」
すきっ歯になって聞き取りづらくなったよ。
「そこに煙草を挟むんだろ?」
整備長の発言が、本日、最高の爆笑をとった。
しかし、男前でも、歯が一本なくなるだけで、滑稽な顔になるんだからね。
顔のバランスを維持するのって大事なんだな。
しみじと思うよ。
「ふぇめぇぇぇぇぇ!」
テメー! と、言いたいようだ。
ザイオン氏にお怒りのご様子だが、迫力が無いからね。笑われるだけだ。
怒りが収まらないグリーは、亡者をザイオン氏へと差し向けるも、サージャスさんの魔法で即霧散していく。
地団駄を踏んで悔しがる中――――、
「は?」
影がグリーを覆う。見上げれば、ドレークさんが気合いで押し切り、吹っ飛ばしたオーガが、体勢を崩してグリーへと倒れ込んでくる。
「うしょらろ!?」
嘘だろ!? と、言いたいようだ。
まったく! 訳す身にもなってほしいな!
歯を一本無くしたくらいでどんだけ滑舌わるくしてんだよ! ザイオン氏の膝蹴りで歯だけじゃなく、口内がグチャグチャなのか? それはそれで、ざまぁ。
空間移動で難を逃れたみたいだけど、現状、グリーに余裕はなくなっていた。
「とどめだ!」
ドレークさん、倒れ込んだオーガに対して、風翼で頭上をとると、得物である両刃斧を大きく振りかぶって、渾身の力で投擲。
いやいや、物理だから。
「サージャス」
「炎加護」
ご要望にお応えとばかりに、投擲された斧に魔法が使用される。
魔法剣って、利器を自分の手に収めた状態じゃなくても使用可能なんだな。
難しい魔法とされているから、自分以外が手にする利器で維持させるってのは難しいんだろうけど、投擲程度なら問題ないのかもね。
炎を纏った斧は、激しい音を奏でて回転し、オーガを鎧もろとも貫き大爆発。
「オ゛ォォォォォォ」
亡者の断末魔――。って表現もおかしいけど、叫びつつ、細かな粒子になりながら消えていった。
「どうよ!」
得意げに口角を上げるドレークさん。
レンショウに評価をされなかった事が悔しかったんだろうが、そのレンショウも、大きな負荷を受けなくなったムツ氏の奥義によって、二度も宙を舞う事になった。
ムツ氏を相手に、役不足な存在になってしまっていた。
しかも倒したタイミングが、ドレークさんがオーガを倒した直後だったこともあり、ムツ氏の方に皆さんの目が向いてしまった。
決めるところで決められないドレークさんは、面白くないとばかりに唇を尖らせる。その様は焦げたタコのようだ……。
「くふぉが!」
クソが! と、言いたいようだ。
「撤収だ」
「ふぁ!?」
ミッシェルの撤退発言に、歯の抜けたグリーは納得いかないご様子。
シナンさんがグリーを見て吹き出す。
猫耳美人が笑うと、連鎖するように笑い始める皆さん。
捕らえて自分の側に置こうとしていた女性陣たちに笑われるグリー。
ロールさんも肩を震わせてしまっているが、笑いをこぼさないように堪えながらも、グリーの顔を真っ直ぐに見られなくなっていた。
「なんらよ?」
なんだろう。滑舌の悪さが笑いに拍車をかけるね。
「煙草が吸いやすそうなデザインになったな」
と、二本目を吸い始める整備長が、嘲笑しながらグリーに語りかければ、笑いが大きなものになる。
未だに理解できていないようだ。
ザイオン氏が、地面に転がる白い物を指差してやる。
「男前が上がったな」
と、百人長のなじりで、爆笑に変わる。
「ふぁ?」
歯と言いたかったのかな?
そう言うと、自分の前歯部分に、恐る恐る手で触れた。
上の部分にあるはずの物がなくなっている事に気付いたようだ。
「俺のふぁぁぁぁぁぁぁ!」
すきっ歯になって聞き取りづらくなったよ。
「そこに煙草を挟むんだろ?」
整備長の発言が、本日、最高の爆笑をとった。
しかし、男前でも、歯が一本なくなるだけで、滑稽な顔になるんだからね。
顔のバランスを維持するのって大事なんだな。
しみじと思うよ。
「ふぇめぇぇぇぇぇ!」
テメー! と、言いたいようだ。
ザイオン氏にお怒りのご様子だが、迫力が無いからね。笑われるだけだ。
怒りが収まらないグリーは、亡者をザイオン氏へと差し向けるも、サージャスさんの魔法で即霧散していく。
地団駄を踏んで悔しがる中――――、
「は?」
影がグリーを覆う。見上げれば、ドレークさんが気合いで押し切り、吹っ飛ばしたオーガが、体勢を崩してグリーへと倒れ込んでくる。
「うしょらろ!?」
嘘だろ!? と、言いたいようだ。
まったく! 訳す身にもなってほしいな!
歯を一本無くしたくらいでどんだけ滑舌わるくしてんだよ! ザイオン氏の膝蹴りで歯だけじゃなく、口内がグチャグチャなのか? それはそれで、ざまぁ。
空間移動で難を逃れたみたいだけど、現状、グリーに余裕はなくなっていた。
「とどめだ!」
ドレークさん、倒れ込んだオーガに対して、風翼で頭上をとると、得物である両刃斧を大きく振りかぶって、渾身の力で投擲。
いやいや、物理だから。
「サージャス」
「炎加護」
ご要望にお応えとばかりに、投擲された斧に魔法が使用される。
魔法剣って、利器を自分の手に収めた状態じゃなくても使用可能なんだな。
難しい魔法とされているから、自分以外が手にする利器で維持させるってのは難しいんだろうけど、投擲程度なら問題ないのかもね。
炎を纏った斧は、激しい音を奏でて回転し、オーガを鎧もろとも貫き大爆発。
「オ゛ォォォォォォ」
亡者の断末魔――。って表現もおかしいけど、叫びつつ、細かな粒子になりながら消えていった。
「どうよ!」
得意げに口角を上げるドレークさん。
レンショウに評価をされなかった事が悔しかったんだろうが、そのレンショウも、大きな負荷を受けなくなったムツ氏の奥義によって、二度も宙を舞う事になった。
ムツ氏を相手に、役不足な存在になってしまっていた。
しかも倒したタイミングが、ドレークさんがオーガを倒した直後だったこともあり、ムツ氏の方に皆さんの目が向いてしまった。
決めるところで決められないドレークさんは、面白くないとばかりに唇を尖らせる。その様は焦げたタコのようだ……。
「くふぉが!」
クソが! と、言いたいようだ。
「撤収だ」
「ふぁ!?」
ミッシェルの撤退発言に、歯の抜けたグリーは納得いかないご様子。
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