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王都潜入
PHASE-15
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「――……雲耀疆域の下位魔法……」
光の柱が消え、そこから声がする。
直撃だけど、無事なようで安心するけども、プスプスと白煙を体中から上げて、膝を突いた姿が目に飛び込んでくる。
「流石にこれは効いたみたいだな」
ほくそ笑むグリー。
「大体、わかった……」
笑みなど眼中に無いとばかりに、つと立ち大きく深呼吸を行うサージャスさん。
自信満々だったグリーだったけど、この魔法でも、サージャスさんの心を折る事は出来なかったようだ。
「何が分かったんだよ!」
「貴男の不愉快な魔力稟賦が」
「は?」
何を訳の分からない事をと、首を傾げながら、もう一度ワンドを振り上げる。
「だから、もう分かったから。受けてあげる義理も無い!」
「決定権はお前にはねえよ! サージャス!!」
「貴男には更にない! 蜂群」
サージャスさんが諸手を開いてグリーへと向ければ、赤い小石ほどの塊が無数に現出し、一斉にグリーへと向かっていく。
赤い小石サイズの物体は、蜂のような機動で飛翔し、攻撃対象を見つけたように、グリーを襲い、ザイオン氏を拘束している亡者たちに取り憑く。
グリーは亡者を盾にして、上手く難を逃れていた。
取り憑いた時の衝撃が強かったようで、亡者がザイオン氏から離れた。
「いまです」
サージャスさんの手招きにザイオン氏が頷き、合流して抱きついた。
と、同時に、抱きつかれながらも、フィンガーズナップをサージャスさんが行えば、亡者に取り憑いた小石サイズのものが、ボンッと爆ぜた。
小さいながらも威力は高く、取り憑かれた亡者すべてが霧散した。
「――…………はあ!?」
難を逃れたグリーが素っ頓狂な声を上げる。
グリーだけじゃなく、ミッシェルに、一時戦闘を中断し、状況を眺めていたレンショウ。そして、こちらサイドの皆さんも、驚きで目を丸くしていた。
――――魔法だ。
紛う方なき魔法だった。
「魔法でしたよね」
「うん」
ロールさんと顔を見合わせる。
なぜ急に魔法?
百人長が試しにとばかりに、おもむろに魔法を唱えたけど、何も起こらなかった。
なぜにサージャスさんだけが使えるんだ?
「な、なんなんだよ!」
僕たちの思いを代弁してくれたのがグリーだというのが不愉快だけども、この際、お前を仲介にしてもいいから知りたいね。
「ボクの推測が的中しただけ」
「推測?」
「戒律の乙女の効果」
「は?」
グリーが首を傾げる。
それは僕たちも同様だ。
「この兵仗の能力は魔力遮断。対象となるのは、敵対する者。そして、対象外となるのは戒律の乙女を使用する側の者」
「何を分かりきった事を!」
「そう、分かりきった事。だから簡単。遮断する能力は、個々が有している魔力稟賦だと推測した」
稟賦――――。つまりは持って生まれた特質。
「これは整備局の方々が詳しいんじゃないんですか? 魔力残留から使用者を特定できますよね」
僕たちを見てそう言う。
腰のポーチに入れているチャントカウンターには、魔法使用者の魔力残留を調べる能力もある。
違反者が言い逃れできないように。
で、それが何の関係があるの?
皆は、なぜサージャスさんが魔法を使えたのかが知りたいんですよ。
「グリー。まあまあだった。貴男の雷柱。と言っても、ダメージは言うほどない。ただ――――貴男の魔力稟賦を知るには十分だった」
何を言っているのか、訳が分からない……。
ここに至るまで、皆の気持ちはコレで統一されている。
光の柱が消え、そこから声がする。
直撃だけど、無事なようで安心するけども、プスプスと白煙を体中から上げて、膝を突いた姿が目に飛び込んでくる。
「流石にこれは効いたみたいだな」
ほくそ笑むグリー。
「大体、わかった……」
笑みなど眼中に無いとばかりに、つと立ち大きく深呼吸を行うサージャスさん。
自信満々だったグリーだったけど、この魔法でも、サージャスさんの心を折る事は出来なかったようだ。
「何が分かったんだよ!」
「貴男の不愉快な魔力稟賦が」
「は?」
何を訳の分からない事をと、首を傾げながら、もう一度ワンドを振り上げる。
「だから、もう分かったから。受けてあげる義理も無い!」
「決定権はお前にはねえよ! サージャス!!」
「貴男には更にない! 蜂群」
サージャスさんが諸手を開いてグリーへと向ければ、赤い小石ほどの塊が無数に現出し、一斉にグリーへと向かっていく。
赤い小石サイズの物体は、蜂のような機動で飛翔し、攻撃対象を見つけたように、グリーを襲い、ザイオン氏を拘束している亡者たちに取り憑く。
グリーは亡者を盾にして、上手く難を逃れていた。
取り憑いた時の衝撃が強かったようで、亡者がザイオン氏から離れた。
「いまです」
サージャスさんの手招きにザイオン氏が頷き、合流して抱きついた。
と、同時に、抱きつかれながらも、フィンガーズナップをサージャスさんが行えば、亡者に取り憑いた小石サイズのものが、ボンッと爆ぜた。
小さいながらも威力は高く、取り憑かれた亡者すべてが霧散した。
「――…………はあ!?」
難を逃れたグリーが素っ頓狂な声を上げる。
グリーだけじゃなく、ミッシェルに、一時戦闘を中断し、状況を眺めていたレンショウ。そして、こちらサイドの皆さんも、驚きで目を丸くしていた。
――――魔法だ。
紛う方なき魔法だった。
「魔法でしたよね」
「うん」
ロールさんと顔を見合わせる。
なぜ急に魔法?
百人長が試しにとばかりに、おもむろに魔法を唱えたけど、何も起こらなかった。
なぜにサージャスさんだけが使えるんだ?
「な、なんなんだよ!」
僕たちの思いを代弁してくれたのがグリーだというのが不愉快だけども、この際、お前を仲介にしてもいいから知りたいね。
「ボクの推測が的中しただけ」
「推測?」
「戒律の乙女の効果」
「は?」
グリーが首を傾げる。
それは僕たちも同様だ。
「この兵仗の能力は魔力遮断。対象となるのは、敵対する者。そして、対象外となるのは戒律の乙女を使用する側の者」
「何を分かりきった事を!」
「そう、分かりきった事。だから簡単。遮断する能力は、個々が有している魔力稟賦だと推測した」
稟賦――――。つまりは持って生まれた特質。
「これは整備局の方々が詳しいんじゃないんですか? 魔力残留から使用者を特定できますよね」
僕たちを見てそう言う。
腰のポーチに入れているチャントカウンターには、魔法使用者の魔力残留を調べる能力もある。
違反者が言い逃れできないように。
で、それが何の関係があるの?
皆は、なぜサージャスさんが魔法を使えたのかが知りたいんですよ。
「グリー。まあまあだった。貴男の雷柱。と言っても、ダメージは言うほどない。ただ――――貴男の魔力稟賦を知るには十分だった」
何を言っているのか、訳が分からない……。
ここに至るまで、皆の気持ちはコレで統一されている。
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