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集結
PHASE-09
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「タンブラ神殿に目がいくのはいいが、そこに目がいけば、必然的にオルプラにも目が向けられてしまう。それは困る」
勇者パルティナが眠る神殿。
宝物となり得る物があるって事か。
――――宝物――――。
「あ! 兵仗!」
「ヘルムが褒めるだけあって察しがいいの」
「でも、パルティナは兵仗を返したんでしょ」
「表だってはそうなっておる」
なるほど、裏ではその反対の事になっているのか。
つまりは、パルティナは兵仗を持っている。
「あやつは本当に心が清くてな。じゃから、返還で妾を訪れた時、今後おこる災いを考え、パルティナには兵仗を預けたままにしておる。妾が現在ゆうする物と、パルティナへと与えた物がこちらの切り札じゃ。それを他の者の手へと渡すわけにはいかん。厳重にパルティナの魂と共にオルプラで眠っている」
「魂?」
「うむ、しかし、あの神殿は広くてな。パルティナがどこで眠っているのか、それが分からんのよ。古来より死霊魔術師の類いはおる。もし悪しき心の存在が神殿を訪れ、魂が傀儡にされてしまったら……。それを回避する為だったんじゃろう。誰にも気付かれる事のない場所に眠っておる。よって、妾たちも探すのに苦労しているのじゃ」
ほうほう。
伝説の人物の魂。悠久の時を経ても尚、見つける事が出来ないなんてね。
パルティナって人は相当に警戒心が強いんだな。おかげで、盗掘にあってないわけだ。
でもそれが、いまでは面倒を生んでいるよね……。
必要となっている時にこれじゃあね……。
「で、なんでアレインさんはそんなに詳しいんです?」
何となくだけど、関係性は分かってしまった感はある。
魔王さんと親しげだし、魔王さんの事を知っているし。
とりあえず聞いておく。
「私は、カグラ様の配下ですので」
やはり魔王軍の方だったか。
ンダガランさんもそうだったし、詰所の方々に、アレインさん。美人が多いな、カグラさんの所は。
――――オルプラ神殿を守護しているのがアレインさん。
ケルプト山と同様に重要拠点であるから、炎竜王軍が統治しているとの事。
アレインさんは、ンダガランさんと並ぶ幹部の方だそうで、パルパーナ局員の大半はアレインさんの配下だそうだ。
先ほどの排除という物騒な言葉に得心がいった。
盗掘目当ての方々は、アレインさんに倒されていったんだな……。
炎竜王幹部が地方の局長か……。
上の方は繋がってるんだな。
カグラさんが囚われの身となった事で焦燥感に襲われながらも、主を救い出すために、懸命に神殿内の探索を行っているそうで、今回は実りのない経過報告を行いに来たそうだ。
「パンゲア様の事は、出来るだけ大事にはしたくなかったのですが、まさか王都に派手に登場するとは思ってもいませんでした……。そのおかげで、パルパーナには盗掘人が増えるし……」
「アレは救いようのない阿呆じゃからな。阿呆じゃから、後先を考えないのじゃ。じゃから阿呆みたいに世界を牛耳ろうという阿呆な考えを抱くのじゃ。なんといっても阿呆じゃから」
ひでえ言われようだ。
この場に――――、いなくてよかったな…………。とは、言えなくなった……。
あの邪神。遠巻きにこっちの事を窺ってやがる……。
玄関のドアから頭を半分だけ覗かせてる……。
でもって、魔王さんそれに気付いてたんだな。だから聞こえるように阿呆を強調して連呼したんだ。
うわ……、なんだよあの悲しげな表情は……。
ふられても尚、未練たらたらな男みたいな姿がそこにはあった。そいつは邪神だった……。
「無様」
「よう分かっておる」
僕が誰に対して発言したか、魔王さんは理解したようだ。
――――。
アレインさん。僕たちに正体を明かして、今後も探索に心血を注ぐので、主であるカグラさんの事をよろしくお願いしますと、深々と頭を下げてから、パルパーナへと戻っていった――――。
勇者パルティナが眠る神殿。
宝物となり得る物があるって事か。
――――宝物――――。
「あ! 兵仗!」
「ヘルムが褒めるだけあって察しがいいの」
「でも、パルティナは兵仗を返したんでしょ」
「表だってはそうなっておる」
なるほど、裏ではその反対の事になっているのか。
つまりは、パルティナは兵仗を持っている。
「あやつは本当に心が清くてな。じゃから、返還で妾を訪れた時、今後おこる災いを考え、パルティナには兵仗を預けたままにしておる。妾が現在ゆうする物と、パルティナへと与えた物がこちらの切り札じゃ。それを他の者の手へと渡すわけにはいかん。厳重にパルティナの魂と共にオルプラで眠っている」
「魂?」
「うむ、しかし、あの神殿は広くてな。パルティナがどこで眠っているのか、それが分からんのよ。古来より死霊魔術師の類いはおる。もし悪しき心の存在が神殿を訪れ、魂が傀儡にされてしまったら……。それを回避する為だったんじゃろう。誰にも気付かれる事のない場所に眠っておる。よって、妾たちも探すのに苦労しているのじゃ」
ほうほう。
伝説の人物の魂。悠久の時を経ても尚、見つける事が出来ないなんてね。
パルティナって人は相当に警戒心が強いんだな。おかげで、盗掘にあってないわけだ。
でもそれが、いまでは面倒を生んでいるよね……。
必要となっている時にこれじゃあね……。
「で、なんでアレインさんはそんなに詳しいんです?」
何となくだけど、関係性は分かってしまった感はある。
魔王さんと親しげだし、魔王さんの事を知っているし。
とりあえず聞いておく。
「私は、カグラ様の配下ですので」
やはり魔王軍の方だったか。
ンダガランさんもそうだったし、詰所の方々に、アレインさん。美人が多いな、カグラさんの所は。
――――オルプラ神殿を守護しているのがアレインさん。
ケルプト山と同様に重要拠点であるから、炎竜王軍が統治しているとの事。
アレインさんは、ンダガランさんと並ぶ幹部の方だそうで、パルパーナ局員の大半はアレインさんの配下だそうだ。
先ほどの排除という物騒な言葉に得心がいった。
盗掘目当ての方々は、アレインさんに倒されていったんだな……。
炎竜王幹部が地方の局長か……。
上の方は繋がってるんだな。
カグラさんが囚われの身となった事で焦燥感に襲われながらも、主を救い出すために、懸命に神殿内の探索を行っているそうで、今回は実りのない経過報告を行いに来たそうだ。
「パンゲア様の事は、出来るだけ大事にはしたくなかったのですが、まさか王都に派手に登場するとは思ってもいませんでした……。そのおかげで、パルパーナには盗掘人が増えるし……」
「アレは救いようのない阿呆じゃからな。阿呆じゃから、後先を考えないのじゃ。じゃから阿呆みたいに世界を牛耳ろうという阿呆な考えを抱くのじゃ。なんといっても阿呆じゃから」
ひでえ言われようだ。
この場に――――、いなくてよかったな…………。とは、言えなくなった……。
あの邪神。遠巻きにこっちの事を窺ってやがる……。
玄関のドアから頭を半分だけ覗かせてる……。
でもって、魔王さんそれに気付いてたんだな。だから聞こえるように阿呆を強調して連呼したんだ。
うわ……、なんだよあの悲しげな表情は……。
ふられても尚、未練たらたらな男みたいな姿がそこにはあった。そいつは邪神だった……。
「無様」
「よう分かっておる」
僕が誰に対して発言したか、魔王さんは理解したようだ。
――――。
アレインさん。僕たちに正体を明かして、今後も探索に心血を注ぐので、主であるカグラさんの事をよろしくお願いしますと、深々と頭を下げてから、パルパーナへと戻っていった――――。
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