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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ
PHASE-54
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――――どうすればこのような世界を容易く創造できてしまうのか。
力の差というよりも、住んでいる世界が違うんだな。
ここの方々からすれば、シズクさんは神に等しい存在だよ。
詠唱どころか、魔法を唱える行為を破棄して、この氷期の世界を可能にしてしまうのだから。
どれだけ頑張ろうが、シズクさんがいる限り、冒険者がここを制する事は不可能だというのが理解できた。
僕だけが無事なのは、シズクさんが守ってくれたという事なんだろう。
完全に我を忘れていたなら。と、考えると――――、僕も死んでいたんだよな……。
よかったよ、少しは理性が残ってくれていて。
「やってしまいました……」
反省は出来るんですね。
「決着がついてしまいましたね……シズクさんの一人勝ちです」
「私も精神面は、まだまだですね。猛反省です」
理解できているならいいんじゃないんですかね。
今後は、皆さんに対しても怒りの感情を抑えて、優しさで導くような存在になってほしいと思っております。
――――とりあえず、下船したい……。
寒い……。
常夏の陽射しが降り注いでいるのに、この氷、溶けないんだぜ……。どれだけ冷たいんだろうか。まったく溶ける気配が無いよ……。
ここでまた、カグラさんの強さを間接的に理解できた。
やはりこの姉妹は、魔王軍幹部の中でも群を抜いている。
別格、別次元、別世界だ。
そら、他の幹部の方々も震え上がるってもんだよ。
――――。
MVPは、幹部を二名倒したマリアンさん。
なぜか、シズクさんを危機から救ったという事で、僕もノミネートされるというやらせがあった。
確実にシズクさんが独断で選んだ結果だという事は、理解している。
僕は頑なに拒否して、マリアンさんがゲット。
ちゃんと評価を受けなければならない人が受けるべきだからね。
そもそも欲しくないし……。
――。
「反省点」
「「はい……」」
蘇った途端に、館の廊下で正座スタイルのイスキさんとドーナさん。
学舎じゃないんだから、廊下じゃなくてもいいんじゃないかな……。
結構な人数がさっきから通ってるんだけど、幹部二名だからね。見て見ぬ振りだけども、視線を感じて恥ずかしいのか、両名、視線下方四十五度凝視である。
「貴女たち、幹部であるけど、このまま心身を向上できないなら、今に下の者達を見上げる立ち位置になってしまうわよ」
「「仰るとおりです」」
息がぴったりとあって反省してますね。
「ピート様もその辺りを気にかけていたわ。戦場経験が浅くても、貴女たちの慢心が見えているの。つまりは単純なのよ。まあ、ピート様が慧眼だというのも有るのだけど」
死んでも次があるからという考え方は、進歩の妨げでしかないからね。
訓戒を述べる事はとても大切だ。
でもって、戦闘経験が浅いという発言で、僕が気を悪くするかもと考えて、気を遣って慧眼って口にしたんだろうけど、気にしないです。
その気遣いを、少しは配下の方々に向けてください。と、いうのが僕からの訓戒です。
お説教タイムだから、横から口を出す空気でもないので、心底で呟くヘタレですけどね……。
「氷竜王軍の軍って、体を成していないと思うのは私だけ? 軍の部分、削除してもいいんじゃないかしら? 氷竜王でいいと思わない?」
ワンマンアーミーで十分なのは確かだよね。
先ほどの光景を目にしたら誰だってそう思うよ。
側近のイスキさんは精神面の成長が第一。
ドーナさんもここぞで違反行為に走ってしまうから精神面が弱い。
二名ともメンタルだね。
「ドレッドノートとガルイルくらいね。付いてこれるのは」
見捨てる感じで言われて、今にも泣きそうな両名。
僕としては、でっかい海魔龍と、おっさんの半漁人だけじゃ華がないから反対だけどね。
ドーナさんは戦闘に関しては問題ないと思う。挑発で相手を自分のペースに持っていけるから、ペースを握れるだけ、戦術に関してはイスキさんより高い。
最後の逃げが今回のルールでは問題だったけど、実戦の中なら問題ない行為だし、そこまで反省するところはないよね。
――……実戦の中なら問題ない行為か……。いや、模擬海戦も生死をかけた実戦だけどさ。
模擬海戦の模擬ってなんだよ! って、突っ込みたくなるよ。
本来は実戦さながらって例えるんだろうけど、実戦なんだよな。ここだと……。
すっごく例えにくいよ!
まあいい。
追い込まれなければ、ドーナさんに助言も出来る視野の広いイスキさん。
誰しも追い込まれたら視野は狭くなるものだけど、この方の場合、危機に陥っても対応しないからね。
前へ前へをぐっと堪えて、解決策をいくつも作り出せるようになれば、一気に将として成長するタイプなんだろうけどね。
そうなれば、氷竜王軍は更なる戦力の底上げが出来そうだ。
ぐっと堪えて――――、いい言葉だ。
解決策を考えないまま力を振るった結果、僕はこんな所に来ちゃったからね……。
だからこそ、イスキさんの欠点が理解できるつもりです。
力の差というよりも、住んでいる世界が違うんだな。
ここの方々からすれば、シズクさんは神に等しい存在だよ。
詠唱どころか、魔法を唱える行為を破棄して、この氷期の世界を可能にしてしまうのだから。
どれだけ頑張ろうが、シズクさんがいる限り、冒険者がここを制する事は不可能だというのが理解できた。
僕だけが無事なのは、シズクさんが守ってくれたという事なんだろう。
完全に我を忘れていたなら。と、考えると――――、僕も死んでいたんだよな……。
よかったよ、少しは理性が残ってくれていて。
「やってしまいました……」
反省は出来るんですね。
「決着がついてしまいましたね……シズクさんの一人勝ちです」
「私も精神面は、まだまだですね。猛反省です」
理解できているならいいんじゃないんですかね。
今後は、皆さんに対しても怒りの感情を抑えて、優しさで導くような存在になってほしいと思っております。
――――とりあえず、下船したい……。
寒い……。
常夏の陽射しが降り注いでいるのに、この氷、溶けないんだぜ……。どれだけ冷たいんだろうか。まったく溶ける気配が無いよ……。
ここでまた、カグラさんの強さを間接的に理解できた。
やはりこの姉妹は、魔王軍幹部の中でも群を抜いている。
別格、別次元、別世界だ。
そら、他の幹部の方々も震え上がるってもんだよ。
――――。
MVPは、幹部を二名倒したマリアンさん。
なぜか、シズクさんを危機から救ったという事で、僕もノミネートされるというやらせがあった。
確実にシズクさんが独断で選んだ結果だという事は、理解している。
僕は頑なに拒否して、マリアンさんがゲット。
ちゃんと評価を受けなければならない人が受けるべきだからね。
そもそも欲しくないし……。
――。
「反省点」
「「はい……」」
蘇った途端に、館の廊下で正座スタイルのイスキさんとドーナさん。
学舎じゃないんだから、廊下じゃなくてもいいんじゃないかな……。
結構な人数がさっきから通ってるんだけど、幹部二名だからね。見て見ぬ振りだけども、視線を感じて恥ずかしいのか、両名、視線下方四十五度凝視である。
「貴女たち、幹部であるけど、このまま心身を向上できないなら、今に下の者達を見上げる立ち位置になってしまうわよ」
「「仰るとおりです」」
息がぴったりとあって反省してますね。
「ピート様もその辺りを気にかけていたわ。戦場経験が浅くても、貴女たちの慢心が見えているの。つまりは単純なのよ。まあ、ピート様が慧眼だというのも有るのだけど」
死んでも次があるからという考え方は、進歩の妨げでしかないからね。
訓戒を述べる事はとても大切だ。
でもって、戦闘経験が浅いという発言で、僕が気を悪くするかもと考えて、気を遣って慧眼って口にしたんだろうけど、気にしないです。
その気遣いを、少しは配下の方々に向けてください。と、いうのが僕からの訓戒です。
お説教タイムだから、横から口を出す空気でもないので、心底で呟くヘタレですけどね……。
「氷竜王軍の軍って、体を成していないと思うのは私だけ? 軍の部分、削除してもいいんじゃないかしら? 氷竜王でいいと思わない?」
ワンマンアーミーで十分なのは確かだよね。
先ほどの光景を目にしたら誰だってそう思うよ。
側近のイスキさんは精神面の成長が第一。
ドーナさんもここぞで違反行為に走ってしまうから精神面が弱い。
二名ともメンタルだね。
「ドレッドノートとガルイルくらいね。付いてこれるのは」
見捨てる感じで言われて、今にも泣きそうな両名。
僕としては、でっかい海魔龍と、おっさんの半漁人だけじゃ華がないから反対だけどね。
ドーナさんは戦闘に関しては問題ないと思う。挑発で相手を自分のペースに持っていけるから、ペースを握れるだけ、戦術に関してはイスキさんより高い。
最後の逃げが今回のルールでは問題だったけど、実戦の中なら問題ない行為だし、そこまで反省するところはないよね。
――……実戦の中なら問題ない行為か……。いや、模擬海戦も生死をかけた実戦だけどさ。
模擬海戦の模擬ってなんだよ! って、突っ込みたくなるよ。
本来は実戦さながらって例えるんだろうけど、実戦なんだよな。ここだと……。
すっごく例えにくいよ!
まあいい。
追い込まれなければ、ドーナさんに助言も出来る視野の広いイスキさん。
誰しも追い込まれたら視野は狭くなるものだけど、この方の場合、危機に陥っても対応しないからね。
前へ前へをぐっと堪えて、解決策をいくつも作り出せるようになれば、一気に将として成長するタイプなんだろうけどね。
そうなれば、氷竜王軍は更なる戦力の底上げが出来そうだ。
ぐっと堪えて――――、いい言葉だ。
解決策を考えないまま力を振るった結果、僕はこんな所に来ちゃったからね……。
だからこそ、イスキさんの欠点が理解できるつもりです。
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