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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ

PHASE-10

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「エクスペンダブルズとタリスマン併用の大魔法だな」
「戦略クラス使えるヤツは使えよ」
「使ったが最後、相手も報復で使用してくるな」
「だな!」
「一瞬で大多数が死んじまうな」
「だな!」
「「「「ハハハハハハハハハハハハハッ」」」」
 笑う所なんてないんですけど? 頭が完全に壊れてるよね。
 魚の目で笑わないでください。お願いしますから。恐怖でしかないんですよソレ。
 
 やっててよかったブートキャンプ。メンタルが未だに保たれてるのも、演習のおかげだと思う。
 あれがなかったら、今ごろ僕は、完全に気が違った姿を衆目にさらしてた事だろう。

「覚悟は出来てる?」

「出来てませんけど」

「へ~。そういう風に返すわりには、口ぶりは冷静だね。いい根性してるよ」
 どうも。ナイゼルさんの時も同じでしたが、単純に思考が追っついていないだけだからね。
 ――――フフ。まあ、思考がに向いてるってのも原因だろうけど。

「本当に根性あるよ……可愛いさのある、やらしい視線は歓迎するっては言ったけども……」
 おやおや、露出しているわりには恥じらいをお持ちのようで、両手で胸部分を隠されてしまった。
 強気なのは態度だけかな? ヘヘヘ――――。
 たまに、おっさんくさくなるな。僕……。

「配給~」

「待ってたぜ。骨しか食ってねえ」
 ここで朝餉だ。
 買い出しから配給まで、ロッケンジーさん達が担当なんだな。
 こんなところで頑張らないで、普通の世界に戻ってもらいたいものだ。
 まだ虹彩がうっすらと残っている分、やり直せますよ。外の世界で。

 ――――朝からは簡単なものだ。
 栄養価の高い携行食。
 問題は……、誰が作ったかだな。拳の二倍ほどある、いびつな球体のドーナツ系の携行食。
 ここのむさくて汚らしい方々の手で、にぎにぎとか考えると、食欲も失われるってもんだよ……。

「ふぅぅぅぅぅぅ」
 なんで食べるだけで、いちいちこんなにも意を決しなければならないのか……。
 口を開いて一口。
 一口運んだだけで、口の中の水分が全部コイツに持って行かれてしまった。
 ボッソボソで、経験した事のない化合物からなる強烈な甘み。
 咀嚼しているのか、そうじゃないのか、甘さで口内の感覚が奪われてるよ。
 ボッソボソと、甘さにより、僕の喉は渇きをうったえてしまう。

「あ~、あ~……」
 まともに声が出やしない……。

「おや? アンデッドにでも転生したのですか?」

「あ~……おはようございます」

「それ、美味くないでしょ。最初は誰もが受け付けないんですよね。まあ、慣れてきますよ」
 こんなものに慣れるまで、ここにいるつもりはないですよ。ナイゼルさん。
 
 夕暮れまでの長期攻防の為に必要な高い栄養価とはいえ、これは無理。
 僕だけ別メニューいしてもらいたい。我が儘なのは重々承知してますけども、これは食べられない……。贅沢とか言われて怒られたとしても無理。
 
 ――――。

「あ~胸焼けがする」
 たった一口でこんなにも苦しむ事になるとは……、ちなみに残してたら、バロニアさんが笑顔でやって来て、〝いらないの? いらないの?〟って言うもんだから、あげると、笑顔で全部たいらげた。
 飲み物を口にせずに食べ尽くしたのを見た時は、ただただ正直に、凄いと感心してしまった。

「水魔龍ドレッドノートを攻略し、Rロバートを占拠。続いてSシュガーUアンクルを占拠。そして、本日の最終目標であるTトミー攻略だ」

「「「「ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」」」」
 ――――なんて?
 皆さん好きですね。毎回、気合い入れる時の発言。
 
 ナイゼルさんの下知のもと、突き進んでいく。
 晴れ晴れとしたした表情だ。死ぬかもしれないのに、それに対する恐怖ってのがないようだ。戦いという信仰の下にいる方々は死兵である。
 殉教するために戦うから、畏れを抱くことなく戦いに身を投じられるんだろうか? 
 そんな人達と行動なんてしたくないよ! 
 こいつら皆、狂ってやがる!
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