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トレジャーハントに挑む、三人の公務員
PHASE-25
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「では――――」
故意なものだという事が理解できたところで、肆號君にお願いして、再び眠ってもらう。
自然と祈りの所作をやっていた。
「しかし、いいのかな?」
「なんです? ゴートさん。やっぱりお叱りが怖いですか」
僕も怖いですよ。
「それもあるけど、故意なら証拠として現場保存するべきでは?」
流石は警務局だ。
「第三者が起こしたって事が分かればいいので。探そうにも、隠密でここに来れる人物、もしくは組織。相当の実力を有していると考えられます。まず捕まらないでしょう。保存するより、すでにカグラさん達の勢力によって埋められて厳重に守られてます。ってした方が、こっちも回収できなかったって理由が出来るんで。かなり強引な言い訳ですけども」
「その辺りは我々の方で、この事を知っている者たちに、伝えておきましょう」
「ありがとうございます」
「我々の思いを尊重していただいたピート殿にこそお礼を。カグラ様も喜ぶでしょう」
うむ、カグラさんご本人に会って、お礼を笑顔で言ってもらいたい。
「まあ、炎竜王殿サイドで伝えてくださるなら、助かりますな」
ゴートさんもそれならと、納得してくれたご様子。
強引な内容だけど、理解してくださり助かる。感謝だ。
――――。
「チョイサ、チョイサ――――」
勤労君シリーズは伊達じゃない! 肆號君が綺麗に埋めていってくれてる。
傷が付かないように、柔らかな土で埋めていって、その上から岩や石の混じった土で補強していく。
「いい仕事です」
ンダガランさんもお褒めだ。
「ふぅ……」
張り詰めてたのか、安堵の息を一つ打っている――――?
「疲れてます?」
カグラさんの右腕であるンダガランさんでも疲労を感じる事があるのかな?
「色々とありまして」
ここに立ち入った時から、多忙そうだったもんな。
僕たちだけにかまってはいられないと口にしてたから、てっきりトレジャーハンターが森に入った事が原因だったと思ってたんだけど、そうじゃないみたいだな。
端から、両ギルドを相手にもしてなかったし、何か他に、心を煩わせる原因があるのかな?
「差し支えなければ聞かせてもらえますか。出来る事なら協力しますよ」
「あ……」
ん? 何か言いそうだったけど、口を一文字にして、出る言葉を堰き止めたみたいだ。
それに、一瞬見せた弱々しい表情。こりゃ、本当になんかあったな。
「お気持ちだけで、その言葉だけで救われます」
可愛い笑顔が返ってきた。
でも、その前の表情を見てしまったから、素直に喜べなかった。
――――。
綺麗に埋葬したところで、今一度、お祈りの所作。
「心労もだけど、空腹もね……」
との事。
緊張感あるのかないのか分からんな。ゴートさんって。本当に自然児だ。
ぐぅ~。
ふむん…………。僕も人の事は言えないようである。
恥ずかしい、皆さんの耳朶に届くくらいに大きかったからね。
「詰め所に食事を準備しております」
やったね!
――――。
空間魔法って便利だな。三日かかった道のりが一瞬だよ。
一週間の予定が半分ですみそうだ。
流石に中腹にある館とはいかないけども、麓にある詰め所は建物としては立派な部類に入る石造り。
一つの岩から造ったって感じだね。継ぎ目がない。魔法的なもので立てた建築物だな。
この森で頼っていたテントとは比べものにならない、守られているという安心感を与えてくれる建物ですな。
風が吹いてもびくともしない。当たり前か。
中に入ると、暗がりがないほどの明かりが、全体に行き届いている。
席が用意されているところには、詰め所とは考えられないくらいに豪奢なシャンデリアがつり下げられている。
灯火の光源は、蝋燭じゃなくて蛍火の魔法が使用されてるみたいだな。
魔法の持続力が長い。即ち、この蛍火を唱えた方は、やり手という事だな。
「探訪には満足かい?」
どうしましたゲイアードさん。この文明の恩恵である建物に感謝しましょうよ。
「あんまり、ジロジロしたり、触ったりするのは失礼だよ」
注意された……。
ゲイアードさんの部屋でも同じ事をやって注意されたのに、学習能力がないな。僕……。
用意された椅子に静かに座って待機だ。
故意なものだという事が理解できたところで、肆號君にお願いして、再び眠ってもらう。
自然と祈りの所作をやっていた。
「しかし、いいのかな?」
「なんです? ゴートさん。やっぱりお叱りが怖いですか」
僕も怖いですよ。
「それもあるけど、故意なら証拠として現場保存するべきでは?」
流石は警務局だ。
「第三者が起こしたって事が分かればいいので。探そうにも、隠密でここに来れる人物、もしくは組織。相当の実力を有していると考えられます。まず捕まらないでしょう。保存するより、すでにカグラさん達の勢力によって埋められて厳重に守られてます。ってした方が、こっちも回収できなかったって理由が出来るんで。かなり強引な言い訳ですけども」
「その辺りは我々の方で、この事を知っている者たちに、伝えておきましょう」
「ありがとうございます」
「我々の思いを尊重していただいたピート殿にこそお礼を。カグラ様も喜ぶでしょう」
うむ、カグラさんご本人に会って、お礼を笑顔で言ってもらいたい。
「まあ、炎竜王殿サイドで伝えてくださるなら、助かりますな」
ゴートさんもそれならと、納得してくれたご様子。
強引な内容だけど、理解してくださり助かる。感謝だ。
――――。
「チョイサ、チョイサ――――」
勤労君シリーズは伊達じゃない! 肆號君が綺麗に埋めていってくれてる。
傷が付かないように、柔らかな土で埋めていって、その上から岩や石の混じった土で補強していく。
「いい仕事です」
ンダガランさんもお褒めだ。
「ふぅ……」
張り詰めてたのか、安堵の息を一つ打っている――――?
「疲れてます?」
カグラさんの右腕であるンダガランさんでも疲労を感じる事があるのかな?
「色々とありまして」
ここに立ち入った時から、多忙そうだったもんな。
僕たちだけにかまってはいられないと口にしてたから、てっきりトレジャーハンターが森に入った事が原因だったと思ってたんだけど、そうじゃないみたいだな。
端から、両ギルドを相手にもしてなかったし、何か他に、心を煩わせる原因があるのかな?
「差し支えなければ聞かせてもらえますか。出来る事なら協力しますよ」
「あ……」
ん? 何か言いそうだったけど、口を一文字にして、出る言葉を堰き止めたみたいだ。
それに、一瞬見せた弱々しい表情。こりゃ、本当になんかあったな。
「お気持ちだけで、その言葉だけで救われます」
可愛い笑顔が返ってきた。
でも、その前の表情を見てしまったから、素直に喜べなかった。
――――。
綺麗に埋葬したところで、今一度、お祈りの所作。
「心労もだけど、空腹もね……」
との事。
緊張感あるのかないのか分からんな。ゴートさんって。本当に自然児だ。
ぐぅ~。
ふむん…………。僕も人の事は言えないようである。
恥ずかしい、皆さんの耳朶に届くくらいに大きかったからね。
「詰め所に食事を準備しております」
やったね!
――――。
空間魔法って便利だな。三日かかった道のりが一瞬だよ。
一週間の予定が半分ですみそうだ。
流石に中腹にある館とはいかないけども、麓にある詰め所は建物としては立派な部類に入る石造り。
一つの岩から造ったって感じだね。継ぎ目がない。魔法的なもので立てた建築物だな。
この森で頼っていたテントとは比べものにならない、守られているという安心感を与えてくれる建物ですな。
風が吹いてもびくともしない。当たり前か。
中に入ると、暗がりがないほどの明かりが、全体に行き届いている。
席が用意されているところには、詰め所とは考えられないくらいに豪奢なシャンデリアがつり下げられている。
灯火の光源は、蝋燭じゃなくて蛍火の魔法が使用されてるみたいだな。
魔法の持続力が長い。即ち、この蛍火を唱えた方は、やり手という事だな。
「探訪には満足かい?」
どうしましたゲイアードさん。この文明の恩恵である建物に感謝しましょうよ。
「あんまり、ジロジロしたり、触ったりするのは失礼だよ」
注意された……。
ゲイアードさんの部屋でも同じ事をやって注意されたのに、学習能力がないな。僕……。
用意された椅子に静かに座って待機だ。
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