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トレジャーハントに挑む、三人の公務員

PHASE-24

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「もしもだけど、ここにいる人たち以外で、今からする事を見られてたら、僕たちのこの後が、本当に怖いですよね」
 トレジャーハンターもいたわけだし、目撃者とかいたら困るよね。報告とかされると完全に仕事辞めさせられる……。

「大丈夫。誰も見ていない」

「はあ……?」
 周囲を炯眼で睨んでいたのと関係があったのかな?
 今は表情も穏やかだし。
 でも、その発言で理解できるんですが、ゲイアードさんって、やっぱり素人じゃないですよね? 
 自分から語らない以上は、頭では詮索しても、口にはしませんけども。



「じゃあ、肆號君よんごうくん。体もいい感じでキレてるから、埋めようか」

「ハイ喜んで!」
 うむ、これでいいんだ――。

 ――――!?

「止まって!」

「ンゴ!?」
 ごめんよ。やる気になってたところを制止させて。

「どうしたんだい? やっぱり確保かい」
 違いますよゴートさん。そんな事を口にすると、ンダガランさんが不安な顔になるから言わないでください。

肆號君よんごうくん、僕の乗せてくれる?」

「ハイ喜んで!」
 諸手で水をすくうような所作で、僕の足下に手部を置いてくれる。
 ヒョイと飛び乗ると。

「ゆっくり上まで上げてくれるかな」

「ハイ喜んで!」
 返しのバリエーションが単純だな~。
 ポージングは各勤労君で違うけど、この辺も増やして欲しいね。

「ピート君?」

「ちょっと気になりまして」
 指部分につかまりつつ、体を支えてからゴートさんに返答。
 腕部が可動し、手部が一番高いところまで到達すると、ポシェットから、への字タイプのハンドヘルドを取り出す。

「チャントカウンター? 何に対して使用を?」
 まあ、ゲイアードさん見ててくださいよ。
 
 地滑りで現れたという化石――というか、今は宝石。
 地滑りなら自然と崩れてるはず。
 でも、地滑りが発生したわりには綺麗にこの部分だけがむき出しになっている。
 まるで、この部分だけを上手く切り取って崩した感じだ。
 
 山肌に近づいて目をこらす――――。

「ふむ……」
 これは明らかに手が入ってるな。
 地滑りなら、崩れていない箇所と崩れた箇所を境にして植物の根があった場合、根は露出するものだけど、これは違う。
 
 崩れていない箇所から露出している根は、地滑りを起こした境から、綺麗に切りそろえられているような状態だ。
 自然な地滑りではこうはならない。
 
 境部分にチャントカウンターを近づけてみる――――。
 ピーピーピーと魔力感知および探知の魔石で作られたカウンターが音を出して反応。

「まさか!?」
 いつの間にか僕の横で宙に浮いてるンダガランさんが、カウンターの反応に驚きだ。
 僕は急に横から聞こえてきた声に驚きだ。

「わずかですけど、魔力粒子の痕跡がありますから、何者かの関与が考えられます」
 好きこのんでこんな所にやって来て、しかもこの宝石となった化石を探り当てて、晒している。
 ここまでの事をやってるのに、この宝石を取得していない。
 考えられるのは、これを発見した人物が、子爵様に情報を、もしかしたらガリンペイロとバラクーダにもリークしたと考えられる。
 
 何を目的としてるのか? 宝石となった化石を発見できるだけの探知能力を持っているのか? 
 尚且つ、カグラさんの統治下で、隠密で行動するだけのスキル。

「配下の方で心当たりとかないですよね」

「自信をもって無論と答えられます」

「ですよね」
 忠誠心マックスだもんな。こんな事をするとは考えられない。
 配下の方じゃないと断定するのも愚考だけど、カグラさんとは関係のない第三者の関与のほうが可能性としては高いと思う。
 
 この事は、ちゃんと局長に伝えないとな。
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