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トレジャーハントに挑む、三人の公務員

PHASE-23

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「これがあれば無駄な争いが起きそうですし」
 子爵様が腹いせにってのも考えたけど、そこは貴族で爵位持ちだ。したたかさを持つ人物だろう、カグラさんと事を構えてまで欲しいとは思っていないはず。
 だからこそ僕たちを派遣させたんだし。
 争い事は避けるだろう。
 
 それよりも、これを所有していると想定した場合。
 子爵様に対して、欲に溺れた存在が手中に収めたいあまりに、力を行使するかもしれない。
 そうなれば、人同士での争いだ。犠牲者が生まれるのは良くない。
 
 ならば、それを回避する為にも、ここに眠り続けてもらった方がいい。
 両トレジャーハンターギルドの争いが今後の争いの縮図だよ。本隊が動いても諦めてくれるように、存在を知っている方々には、本格的にカグラさんから威圧をしていただければありがたいかな。
 本隊が動くとなれば、カグラさんサイドが本気で潰すと警告すれば諦めると思う。
 戦うとなったら、バラクーダもガリンペイロも壊滅は必死だもの。

「本気なのかい?」
 折角ここまで来ておいて、成果がないとなると、責務はどうするのかと、ゴートさんは王都に戻った後を心配している。
 それに関しては僕も同意見なんだけど…………。

「コレが地表に出現したから争いが発生したわけですし、表にあり続ける以上、どこに存在しても、災いと破壊をもたらしますよ」
 先ほどのいざこざで、一番、地表を破壊したのは僕だけども……、そこは流して、これからの争いを防ぐためと、僕の考えをゴートさんに伝える。

「職務で来たとはいえ、子爵様のステータスに成り下がってしまえば、古龍の魂も浮かばれないか……」
 ステータスか……。
 ゴートさんの言うように、人間サイドのくだらない自尊心の為に利用されるって嫌だろうね。同じ立場なら、僕は嘆くよ。
 発言内容からして、ゴートさんも賛同してくれるのかな?

「よろしいのですか?」
 うわ~。
 安堵したのかな? 凄く柔らかい笑顔を、ンダガランさんが向けてくれる。
 かわいいな~。戦闘時の露出の高い装備じゃないのが残念だけども、ローブ姿も清楚で身持ちが堅そうな感じがいいよね。
 ヘヘヘヘ――――。
 ――……すっごくおっさん臭かった……。反省している。
 
 顔も知らない貪欲子爵様より、ンダガランさんのような美人の好感度を上げた方が得ですよ。

「目」
 一言、ゲイアードさんから指摘。
 どうやら未だにおっさん臭さが残っていたようだ。格好よく例えると残心だね。

「ピート君の言うように埋めるべきだろう。亡骸とはいえ、個人の趣味で晒されるのはよくない」
 優しくオパール化した化石を撫でるゲイアードさんの表情は、ここにきて一番、和らいでいる。

「確か亡骸は、魂が離れてしまった、ただの抜け殻なのでは?」

「ええ、そうです」
 あれ? これ、森に入ったばっかりで、ンダガランさんと言い争っていた時と同じ状況になるんじゃ……。
 僕とゴートさん。ハラハラな状況。
 一触即発なんてないですよね?

「わざわざ別の場所に存在する魂をざわつかせる事もしなくていいでしょう」
 と、ゲイアードさん。

「端から回収する気はなかったのでしょ?」
 ンダガランさんのその質問に、微笑んで返すだけ。
 一触即発じゃなかったから、胸をなで下ろす僕たち。

「自分はもう、皆さんの気持ちに従いますよ。今は心労で倒れそうです」
 本当だよ。またも言い争ったら、最古参位エルダークラスの方々にまた包囲されるのかと思ってたよ……。心臓に悪すぎだよ。

「じゃあ、埋めましょうか」
 これは僕たちで処理した方がいいのかな? 
 それともンダガランさんがしてくれるのか。
 ん~。これを僕たちがやるとなると、子爵様に露呈したら、僕たちの責任が一つ増えるな……。
 まあ、いいけどさ。失敗となった時点でボロクソだろうし。

「僕たちでやりますか!」
 半ば、やけくそで口に出すと、二人とも首肯で返してくれる。

「コレを」

「あ!」
 ンダガランさんの手には、後で回収しようとしていた肆號君よんごうくんの魔石が。
 回収していてくれたんだな。ありがたい。
 傷もないみたいだし、これなら頑張ってくれるな。

 ――。

「インパクト」
 手渡された魔石を大地において一言。
 光と共に土が盛り上がり、サイドリラックスのポージング。
 紛う方なき肆號君よんごうくんだ。
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