拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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公務員が発掘冒険とか……

PHASE-06

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 ファイル片手に第四保管庫に移動。
 
 ――――しかし、えらく減ってるな。
 第四保管庫に入って在庫チェックしてるけども、ここまで減るのは初めての経験だ。
 かなりの量を発注しないといけないな。
 この減り方は異常だね。理由を聞きたくても、おっさんはいない。
 発注の為に保管庫の確認作業が面倒で、外回りって理由で逃げたってのは理解出来た。
 
 ――。

「捗ってる?」
 イエス! こんな保管庫にまで来てくれるなんて。
 いいんですか? 二人っきりですよ。ロールさん。

「必要な数は理解出来たので、後は発注書に記入して、整備長にサインもらうだけですかね」

「仕事、早いね」

「久しぶりだったんですけど、怠惰に過ごさずに頑張ろうと思ってますから」
 貴女との明るい家族計画のために!

「感心、感心」
 褒めてくださりありがたき幸せ。
 じゃあ――、二人っきりですし、ご褒美はエッチな事でお願いします。
 さあ、その唯一の出入り口のドアの内鍵を閉めてください!
 密室を作りましょう。
 ここは防犯上、鍵を使用する錠は外オンリー。内鍵さえ締めてしまえば、外からは鍵がないと入れない。
 そして、その鍵は僕が所持。
 さあ、早く明るい家族計画を!
 僕を大人の男にしていただきたい!!

「お昼だから、一息いれよう」
 へっ――。高望みはしないさ。
 ロールさんとご飯ってだけでも十分なご褒美だもの。

 ――。

「仕事もこなれてきたね」

「まだまだですよ」
 仕事場の席に移動。机をくっつけて、向き合う僕たち。
 普段なら、ここで生意気な! というような痛く冷たい視線が方々ほうぼうから向けられるけども、今回はそこまで感じない。

「魔石の消費が多すぎです」

「仕方ないと思うよ」
 ロールさんの話では、ロールさんの机に堆く積んでいた書類の山も、そのという理由が占めているそうだ。
 各地で修復のための魔石が大量に必要となったのが理由。
 
 原因はエクスペンダブルズ……。
 これを駆け出し卒業組を中心とした御一行が使いまくった結果が、保管庫の現状なのだそうだ。
 酷いものでは、通常魔法の威力底上げで、大魔法クラスの破壊力での損害もあったらしい。
 いかんせん、使い慣れていない物を使用しているもんだから、力加減も理解出来ていないという事もあって、損害の規模はかなりのものだとか。

 各地の局にてストックしていた魔石では対処出来ず、王都整備局にある魔石を各地に分配する事で、こちらの保管庫も枯渇状態。
 
 ロールさんは各地方局での出入の確認に、使用数と方法が不当じゃないかのチェックをしてから、本当に必要としている書類だけを選別して、局長や整備長にサインをしてもらい、ストックの魔石を地方に回す事に従事していた。
 ワギョウから帰って来て、この作業にずっとかかり切りだったそうだ。
 僕なんかの保管庫チェックなんて、難易度ベリーイージーだよ。

「ご苦労様です」
 肩でも揉めるなら揉んであげたいけど、セクハラと周囲が判断するかもだから、邪な気持ちがなくても揉んであげられない。
 ――決して邪な気持ちはない! 決して…………。
 まあ、あるけどね……。
 
 食欲を満たせば邪な気持ちも消えるというもの。
 ご飯にしよう。
 ――――お馴染みの帆布製の肩掛けカバンから取り出したるは、ライ麦パン一つに、チーズ一切れ……。
 へっ、わびしい……。
 出がけにケーシーさんとこで買ったけども、そのケーシーさんからも心配された。

「それで足りるの?」
「足りるようにせねばならないのです。咀嚼を普段の五倍はして、満腹中枢を……」
「倹約してるの?」
「お土産にかなりの出資をしてしまいまして……」
 得心がいってくれたように頷いてくれる。
 
 ケーシーさんやレインちゃん。仕事場に故郷の家族に自分用。
 調子に乗って綺麗だったからといって、切子グラスを結構な数で購入したら今月どころか、来月も再来月も質素倹約しないといけなくなってしまった……。
 そのグラス効果もあったから、ロールさんとこうやって楽しく食事をとっても、周囲からは痛く冷たい視線が普段より少ないわけなんだが……。
 懐は極寒だ……。
 
 もちろん蓄えはある。そこから切り崩せばいい事だけども、それは未来の僕のための物だからね、食べられるだけでありがたい。
 ちょっと前までのサージャスさんに比べれば贅沢だし、ブートキャンプの堅パンハード・タックからしたらご馳走よ。
 そう考えると、ブートキャンプはありがたかったな。
 我慢というスキルを習得する事が出来たもの。
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