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ITADAKI-頂-
PHASE-42
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「小生の代わりに矢面に立って頂き、かたじけない」
「いいえ~」
「正直こういうのは苦手で」
「いいですよ~」
さあ! 歓声は僕に任せて、貴男はつつがなく式を続けて下さい。
――。
「見事であったな。将軍様より剣術指南の誘いがあるのだが」
お奉行様から伝えられる内容は凄いものだ。将軍家での剣術指南のお誘いだ。受ければ一生安泰だろうね。
「丁重にお断りします。小生いまだ修行中でして」
「それだけの腕をもっていてもか」
「いえ――この程度でございます。バレンタイン殿が本気になれば太刀打ち出来ませぬ」
「そんな、ボクなんて全然……現に負けてます」
「本気でぶつかれば勝てません」
この場合の本気は魔法有りって事だよね。
そうなんだよね。
サージャスさんはムツ氏と違い魔法が使えるからね。というか、もっとも得意としてるんだよね。
クリネアの中でも飛び抜けた才女の立ち位置で、ホーリーさんもベタ褒め。
同じ回復の大魔法を使用しても、リムさんと違って無詠唱でやってのけるし――。
こうなると、魔法有りきでやってほしいところ。
サージャスさんの場合、それで真の力を発揮するわけだし。
まあ、魔法使えない人からしたら、反側なんて思われるかもしれないけど、魔法も含めて活動するのが、世界平和に勤しむ冒険者であり、勇者一行だからね~。
「それにしても、最後の一撃は見事でした」
「――――ふむん……」
折角サージャスさんが褒めてるのに、その後ろ暗さはなんですかい? 素直に喜べばいいものを、
――まさか、やってはいけない事を試合中にしたとかじゃないでしょうね。
「どうしました?」
うつむきのムツ氏を覗き込んでる。
「あれは――――禁じ手でした」
と、アメジストの瞳を見つめて返答。
「いやはや、急いていたとはいえ、使用するとは修行不足」
継いで反省を述べてる。
そう言えば、使用する前に未完の技とか口にしてたね。未完に縋った時点で、ムツ氏の中では恥じた行為だったようだ。
なら使うなよ! そしたらサージャスさんも死にかける事なかったのに! と、言いたいけど、野暮ったいからやめとこう。
割って入る感じでもないし。
それよりも――――だ、
愉悦に浸らせてくれる歓声が無くなったよ…………。
ムツ氏が元気ない様子だから、それが会場に伝播してしまった。
「追い込まれたとはいえ、禁じ手を使うとは……」
「いいじゃないですか。研鑽して手にした技なんですから」
「そういうなら魔法を使用してもいい事になりますよ。それにまだ未完、研鑽中であって、まだ習得してません」
「魔法はそもそもが禁じ手ですから。身一つの戦いと考えると、禁じ手にする必要はないでしょう」
「ですかね」
「そうですよ」
会話がはずんでるな~。
サージャスさんがペース握ってるって感じだな。
「話を戻しますね。いい一撃でした。差し支えなければ、ご教示願いたいのですが」
「あれには飛電と名を付けています。絶影の――――」
なんやよう分からん話を始めだした。
刀の間合いだけの範囲で相手に対して神速の攻撃を見舞うのが絶影なら、身体全ての力を解放して、それを動きに全て割り振って、速さに特化させた後に、そこから抜刀に繋げる一撃が飛電だそうだ。
絶影を使用した場合でも、体力を大きく消耗するそうだけど、飛電はそれ以上の不可を体にあたえるそうで、現状の体では、自らの速度に耐えきれないとの事で、筋繊維がズタズタになってしまい、回避されようものなら、その後の動きは、平時をおくる程度の一般人レベルくらいに落ちるそうだ。
だからこそ禁じ手か――――。
「じゃあ今も?」
「問題ありません。普通に立って歩くくらいは出来るので」
とは言うものの、そうはいかないとサージャスさんが献身的に回復魔法を使用している。
なんだろうか……、指呼の距離の二人を見てると、嫉妬めいたものが芽生えてくるんですけど……。
「いいえ~」
「正直こういうのは苦手で」
「いいですよ~」
さあ! 歓声は僕に任せて、貴男はつつがなく式を続けて下さい。
――。
「見事であったな。将軍様より剣術指南の誘いがあるのだが」
お奉行様から伝えられる内容は凄いものだ。将軍家での剣術指南のお誘いだ。受ければ一生安泰だろうね。
「丁重にお断りします。小生いまだ修行中でして」
「それだけの腕をもっていてもか」
「いえ――この程度でございます。バレンタイン殿が本気になれば太刀打ち出来ませぬ」
「そんな、ボクなんて全然……現に負けてます」
「本気でぶつかれば勝てません」
この場合の本気は魔法有りって事だよね。
そうなんだよね。
サージャスさんはムツ氏と違い魔法が使えるからね。というか、もっとも得意としてるんだよね。
クリネアの中でも飛び抜けた才女の立ち位置で、ホーリーさんもベタ褒め。
同じ回復の大魔法を使用しても、リムさんと違って無詠唱でやってのけるし――。
こうなると、魔法有りきでやってほしいところ。
サージャスさんの場合、それで真の力を発揮するわけだし。
まあ、魔法使えない人からしたら、反側なんて思われるかもしれないけど、魔法も含めて活動するのが、世界平和に勤しむ冒険者であり、勇者一行だからね~。
「それにしても、最後の一撃は見事でした」
「――――ふむん……」
折角サージャスさんが褒めてるのに、その後ろ暗さはなんですかい? 素直に喜べばいいものを、
――まさか、やってはいけない事を試合中にしたとかじゃないでしょうね。
「どうしました?」
うつむきのムツ氏を覗き込んでる。
「あれは――――禁じ手でした」
と、アメジストの瞳を見つめて返答。
「いやはや、急いていたとはいえ、使用するとは修行不足」
継いで反省を述べてる。
そう言えば、使用する前に未完の技とか口にしてたね。未完に縋った時点で、ムツ氏の中では恥じた行為だったようだ。
なら使うなよ! そしたらサージャスさんも死にかける事なかったのに! と、言いたいけど、野暮ったいからやめとこう。
割って入る感じでもないし。
それよりも――――だ、
愉悦に浸らせてくれる歓声が無くなったよ…………。
ムツ氏が元気ない様子だから、それが会場に伝播してしまった。
「追い込まれたとはいえ、禁じ手を使うとは……」
「いいじゃないですか。研鑽して手にした技なんですから」
「そういうなら魔法を使用してもいい事になりますよ。それにまだ未完、研鑽中であって、まだ習得してません」
「魔法はそもそもが禁じ手ですから。身一つの戦いと考えると、禁じ手にする必要はないでしょう」
「ですかね」
「そうですよ」
会話がはずんでるな~。
サージャスさんがペース握ってるって感じだな。
「話を戻しますね。いい一撃でした。差し支えなければ、ご教示願いたいのですが」
「あれには飛電と名を付けています。絶影の――――」
なんやよう分からん話を始めだした。
刀の間合いだけの範囲で相手に対して神速の攻撃を見舞うのが絶影なら、身体全ての力を解放して、それを動きに全て割り振って、速さに特化させた後に、そこから抜刀に繋げる一撃が飛電だそうだ。
絶影を使用した場合でも、体力を大きく消耗するそうだけど、飛電はそれ以上の不可を体にあたえるそうで、現状の体では、自らの速度に耐えきれないとの事で、筋繊維がズタズタになってしまい、回避されようものなら、その後の動きは、平時をおくる程度の一般人レベルくらいに落ちるそうだ。
だからこそ禁じ手か――――。
「じゃあ今も?」
「問題ありません。普通に立って歩くくらいは出来るので」
とは言うものの、そうはいかないとサージャスさんが献身的に回復魔法を使用している。
なんだろうか……、指呼の距離の二人を見てると、嫉妬めいたものが芽生えてくるんですけど……。
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