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胎動
PHASE-06
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『おのれ、人間風情が!』
「なんです? 私に手を出そうとでも? 大体、自ら言ったじゃないですか。復活するのやめようかなって」
『ええい! 黙れ! 手を出してほしいなら、そうしてやろうか』
僕は、とりあえずおさえましょう。と、サイドテールの銀髪を揺らし、仁王立ちなロールさんをなだめる。
整備長はアイコンタクトで、もっとやれと伝えてくる。このおっさんいいかげんにしろよ。あんた、びびってただろう! 本当になんかあったらどうするんだ。
邪神サイドは、グラドさんやハッタさんが、猛り狂う黒煙の邪神をなだめていて大変そう。
「いいですか。ここで我々に手を出したらどうなるか」
あの……、ロールさん。私に手を出そうとでも? が、我々に挿げ変わっているのですが……。それは…………、
『どうにもならんわ! 貴様らごときを消したところで!』
ちょっとやめてよ、一緒くたに扱うのよくないよ!
もちろんロールさんが危険にさらされるのはよくないので、ここは年功序列で、整備長に生贄になってもらいましょう。そうしましょう。
「やってみればいいじゃないですか! 条約違反を行えばどうなるか分かってるんですか!」
『どうなるのだ。あ~ん?』
そこらの不良レベルか、邪神って…………。
「勇者御一行に、魔王軍。現在、覇権を争っている方々が、条約違反は敵対行為と判断し、討伐しに来ますよ」
『はははははっ! 片腹痛い。この神である我が恐れる存在などではないわ!』
いや、貴方――。その昔、勇者に封印されたんだろうが……。
まだ、封印とかれてないけど、この邪神が、我の強い神だというのは理解出来たよ。
――我が強いとか、そんなプロファイリングどうでもいいや。
本当にどうしよう。僕たち生きて帰れないような気がする。
邪神が何も出来なかったとしても、信徒の方々に命令をくだせば、それに従うだろうし。
どうしたもんか……。
もしも最後を、こんなところで迎えるんなら、拝み倒して、ロールさんの胸に顔を埋めてから死のう。
『大体、なんなのだ魔王軍とは? 生意気にも我に取って代わって、勇者と相対するとは生意気な! 統括している魔王の名はなんというのだ?』
「ビルギット・ピア・ヴァルバディッシュ氏です」
――…………。
『ふぇ!?』
「ですから、ビルギット・ピア・ヴァルバディッシュ氏です」
二度目は聞き取りやすくするように、ゆっくりと名前を告げるロールさん。
――――――――。
――――なっがい間だよ。なんなのこの静けさは。
滝の音がすっごく癒やしを与えてくれるよ。
『本当か?』
「本当か。――とは?」
『その名が、魔王の名か?』
「そうですよ」
『あれか……カグラとか、その妹のシズクとか、後あれだ――――アンデットの脳筋とが配下にいるのか?』
「脳筋かどうかは分かりませんが、おられます」
さっきまでとは打って変わって、荒々しさが無くなり、まるで借りてきた猫みたいに、大人しくなってしまった邪神。
――――またも森閑が訪れるよ。
『それ、妹や………………』
「「「「ふぁ!?」」」」
その場の皆さんで、見事にシンクロしました――――――。
「なんです? 私に手を出そうとでも? 大体、自ら言ったじゃないですか。復活するのやめようかなって」
『ええい! 黙れ! 手を出してほしいなら、そうしてやろうか』
僕は、とりあえずおさえましょう。と、サイドテールの銀髪を揺らし、仁王立ちなロールさんをなだめる。
整備長はアイコンタクトで、もっとやれと伝えてくる。このおっさんいいかげんにしろよ。あんた、びびってただろう! 本当になんかあったらどうするんだ。
邪神サイドは、グラドさんやハッタさんが、猛り狂う黒煙の邪神をなだめていて大変そう。
「いいですか。ここで我々に手を出したらどうなるか」
あの……、ロールさん。私に手を出そうとでも? が、我々に挿げ変わっているのですが……。それは…………、
『どうにもならんわ! 貴様らごときを消したところで!』
ちょっとやめてよ、一緒くたに扱うのよくないよ!
もちろんロールさんが危険にさらされるのはよくないので、ここは年功序列で、整備長に生贄になってもらいましょう。そうしましょう。
「やってみればいいじゃないですか! 条約違反を行えばどうなるか分かってるんですか!」
『どうなるのだ。あ~ん?』
そこらの不良レベルか、邪神って…………。
「勇者御一行に、魔王軍。現在、覇権を争っている方々が、条約違反は敵対行為と判断し、討伐しに来ますよ」
『はははははっ! 片腹痛い。この神である我が恐れる存在などではないわ!』
いや、貴方――。その昔、勇者に封印されたんだろうが……。
まだ、封印とかれてないけど、この邪神が、我の強い神だというのは理解出来たよ。
――我が強いとか、そんなプロファイリングどうでもいいや。
本当にどうしよう。僕たち生きて帰れないような気がする。
邪神が何も出来なかったとしても、信徒の方々に命令をくだせば、それに従うだろうし。
どうしたもんか……。
もしも最後を、こんなところで迎えるんなら、拝み倒して、ロールさんの胸に顔を埋めてから死のう。
『大体、なんなのだ魔王軍とは? 生意気にも我に取って代わって、勇者と相対するとは生意気な! 統括している魔王の名はなんというのだ?』
「ビルギット・ピア・ヴァルバディッシュ氏です」
――…………。
『ふぇ!?』
「ですから、ビルギット・ピア・ヴァルバディッシュ氏です」
二度目は聞き取りやすくするように、ゆっくりと名前を告げるロールさん。
――――――――。
――――なっがい間だよ。なんなのこの静けさは。
滝の音がすっごく癒やしを与えてくれるよ。
『本当か?』
「本当か。――とは?」
『その名が、魔王の名か?』
「そうですよ」
『あれか……カグラとか、その妹のシズクとか、後あれだ――――アンデットの脳筋とが配下にいるのか?』
「脳筋かどうかは分かりませんが、おられます」
さっきまでとは打って変わって、荒々しさが無くなり、まるで借りてきた猫みたいに、大人しくなってしまった邪神。
――――またも森閑が訪れるよ。
『それ、妹や………………』
「「「「ふぁ!?」」」」
その場の皆さんで、見事にシンクロしました――――――。
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