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驕った創造主
PHASE-1628【言葉遊びが物騒】
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「今度は一斉にやれ!」
「いい加減にせんかブリオレ!」
「さっきからうるせえぞ武具屋! 俺達にろくな武器も売らねえクソ店主が!」
「最低限のもんは売ってやっているだろう。だがこんな所で使用するなら、今後お前達のギルドには武器も防具も売らんと上に伝えるぞ!」
圧のある怒号。
この発言で相対する側は投擲の構えに躊躇。
流石に上の方へと報告されれば決まりが悪いようだ。
「関係ねえ! ここで連中をのしちまえば問題ねえ! こっちは三十人以上いるんだ。向こうはドワーフを除けば五人。女を除いて四人をぶっ殺せば問題ねえ!」
なんともおっかない発言だな。
「これだけ衆目を集めている中でそんな発言をしたら、駆けつけてくるであろう治安維持の兵達が現状を知ることになる。そうなればお前達の立場は悪くなるぞ」
「なるかよガキ! 俺らのことを垂れ込めば、ここの連中は痛い目に遭うからな!」
「おおこわ。脅迫かよ」
わざとらしく両腕をさする。
周囲を見れば、楽しんでいた酒の時間を邪魔されたあげく、自分たちを脅してくるブリオレに冷ややかな視線を皆さん向けている。
萎縮するとかじゃなく、冷ややか。
その視線だけでも、ゴールドポンドの連中の実力が一般の人々からもなめられているってのが分かる。
でも市中の面々から連中がなめられている事よりも、目の前の連中に俺がなめられている事のほうがムカつく。
とくにブリオレ。
ワンパンで白目剥いた分際で、なんで俺の前に堂々と立てるんだよ。
ベッドで丸まって震えて眠ってろよ。
「ガリオンにやられたのは――いないようだけど」
「おい! 俺に殴られたヤツの回復はしてやらなかったのか?」
俺の独白を拾ったガリオン。
金に目がない連中のようだからな。ポーション代わりに雫型金貨を一枚やったけど、あの中の面子がちょろまかしているとも考えられる。
「ちゃんと回復してやった! 震えてこの場にこれねえだけだ!」
ブリオレからそう返ってくる。
「てことは――俺の方が相手に対して恐怖を植え付けられたようだな」
「なにおう!」
俺の心でも読んだかのようだなガリオン!
俺がワンパンでのしたブリオレと、ガリオンがワンパンでのしたモブ。
二人のその後の展開に差があるからか、ガリオンが得意げに俺を見てくる。
「いやいや、雑魚とそれ以下のモブの差だから。調子に乗らないように。そもそもお前より俺の方が強いんだから」
「強さと圧力ってのは違うんだぞ。オルト君」
「ぬぅぅぅ」
つまりは俺にはガリオンのような凄味がないってことか。
そこは認めよう。
だとしても、
「お前もお前でビビってベッドの中で震えてろよブリ雑魚! 俺の威厳にちゃんと忖度しろ馬鹿!」
「何度も何度もふざけた言い様だ!」
「ふざけてんのはお前等だよ。なんだ三十人以上って。その程度で俺達をどうにか出来ると思ってんのか? 今度はちゃんと躾けてやる。二度とふざけた言動が出来ないようにな」
「何が躾だ! 俺がテメーの前でアップを躾けてやる!」
ギルドハウスの時と同様、下半身でしか考えられない発言しか出来ねえな。
本当、頭カクエンだよ……。
「今度は単純な魔法やアイテムで回復できないくらいに痛めつけてやろう。体ではなく精神をな!」
歩みつつ、俺達の先に立つレギラスロウ氏に離れているように促す。
「灸を据えてやってくれ」
そう言ってくれる辺り、俺が目の前の全員を相手にしても負けないってのは分かってくれているようで嬉しいですよ。
そして、
「この場に残ってくれている剛胆なる皆さん。俺達が仕掛けられた側で、致し方なく正当防衛を行使した――という証人になってくださいね」
言ってみれば、ハマードの店先にて酒を楽しんでいた面々は、各々、手に持ったモノを掲げてくれる。
どうやら俺達の方がホームで戦えるようだな。
「そんじゃ、ちょちょいとお掃除しましょうかね」
「待て」
「どうしたアップ」
「私も大概、嫌な思いをしている。そんな中で大人数で来てくれたのだ、私も少しは返しておかないとな」
「お、そうか。じゃあ半分」
「まあ、待て」
なんだよ。
「今度はガリオンかよ」
「俺も暴れさせてもらう」
「それなら自分も。初対面の時より腹に据えかねておりましたので」
ジージーまで続く。
できればワックさんの側にいてほしいんだけどな。
「ミルモン殿がこのことを後で知れば、この場にいなかったことを悔しがる事でしょう」
と、言う辺り、絶対に戦いたいようだ。
最初から好戦的な姿勢だったからな。ミルモンとジージーは。
だがこれだとな。
「四人で戦うとか相手が可哀想すぎるな」
「情なんて持たなくていい連中だろう」
「ガリオン殿の言うとおり。討滅、撃滅、殲滅、駆逐、鏖殺――です」
「いやいや性根を叩き直すだけだぞジージー。命は取らないから」
「必要な時には奪うことも大事です。愚者は放置していれば更なる愚者を生み出す。ならば死を与えるのは必定」
オウ……。
やはりそこは魔王軍の思考。これは本気で命を奪う可能性があるな。
「得物は使っちゃだめだぞ。素手で相手を黙らせるだけだからな」
「分かりました。殴殺で鏖殺ですね」
なんて物騒な言葉遊びなんでしょう……。
「いい加減にせんかブリオレ!」
「さっきからうるせえぞ武具屋! 俺達にろくな武器も売らねえクソ店主が!」
「最低限のもんは売ってやっているだろう。だがこんな所で使用するなら、今後お前達のギルドには武器も防具も売らんと上に伝えるぞ!」
圧のある怒号。
この発言で相対する側は投擲の構えに躊躇。
流石に上の方へと報告されれば決まりが悪いようだ。
「関係ねえ! ここで連中をのしちまえば問題ねえ! こっちは三十人以上いるんだ。向こうはドワーフを除けば五人。女を除いて四人をぶっ殺せば問題ねえ!」
なんともおっかない発言だな。
「これだけ衆目を集めている中でそんな発言をしたら、駆けつけてくるであろう治安維持の兵達が現状を知ることになる。そうなればお前達の立場は悪くなるぞ」
「なるかよガキ! 俺らのことを垂れ込めば、ここの連中は痛い目に遭うからな!」
「おおこわ。脅迫かよ」
わざとらしく両腕をさする。
周囲を見れば、楽しんでいた酒の時間を邪魔されたあげく、自分たちを脅してくるブリオレに冷ややかな視線を皆さん向けている。
萎縮するとかじゃなく、冷ややか。
その視線だけでも、ゴールドポンドの連中の実力が一般の人々からもなめられているってのが分かる。
でも市中の面々から連中がなめられている事よりも、目の前の連中に俺がなめられている事のほうがムカつく。
とくにブリオレ。
ワンパンで白目剥いた分際で、なんで俺の前に堂々と立てるんだよ。
ベッドで丸まって震えて眠ってろよ。
「ガリオンにやられたのは――いないようだけど」
「おい! 俺に殴られたヤツの回復はしてやらなかったのか?」
俺の独白を拾ったガリオン。
金に目がない連中のようだからな。ポーション代わりに雫型金貨を一枚やったけど、あの中の面子がちょろまかしているとも考えられる。
「ちゃんと回復してやった! 震えてこの場にこれねえだけだ!」
ブリオレからそう返ってくる。
「てことは――俺の方が相手に対して恐怖を植え付けられたようだな」
「なにおう!」
俺の心でも読んだかのようだなガリオン!
俺がワンパンでのしたブリオレと、ガリオンがワンパンでのしたモブ。
二人のその後の展開に差があるからか、ガリオンが得意げに俺を見てくる。
「いやいや、雑魚とそれ以下のモブの差だから。調子に乗らないように。そもそもお前より俺の方が強いんだから」
「強さと圧力ってのは違うんだぞ。オルト君」
「ぬぅぅぅ」
つまりは俺にはガリオンのような凄味がないってことか。
そこは認めよう。
だとしても、
「お前もお前でビビってベッドの中で震えてろよブリ雑魚! 俺の威厳にちゃんと忖度しろ馬鹿!」
「何度も何度もふざけた言い様だ!」
「ふざけてんのはお前等だよ。なんだ三十人以上って。その程度で俺達をどうにか出来ると思ってんのか? 今度はちゃんと躾けてやる。二度とふざけた言動が出来ないようにな」
「何が躾だ! 俺がテメーの前でアップを躾けてやる!」
ギルドハウスの時と同様、下半身でしか考えられない発言しか出来ねえな。
本当、頭カクエンだよ……。
「今度は単純な魔法やアイテムで回復できないくらいに痛めつけてやろう。体ではなく精神をな!」
歩みつつ、俺達の先に立つレギラスロウ氏に離れているように促す。
「灸を据えてやってくれ」
そう言ってくれる辺り、俺が目の前の全員を相手にしても負けないってのは分かってくれているようで嬉しいですよ。
そして、
「この場に残ってくれている剛胆なる皆さん。俺達が仕掛けられた側で、致し方なく正当防衛を行使した――という証人になってくださいね」
言ってみれば、ハマードの店先にて酒を楽しんでいた面々は、各々、手に持ったモノを掲げてくれる。
どうやら俺達の方がホームで戦えるようだな。
「そんじゃ、ちょちょいとお掃除しましょうかね」
「待て」
「どうしたアップ」
「私も大概、嫌な思いをしている。そんな中で大人数で来てくれたのだ、私も少しは返しておかないとな」
「お、そうか。じゃあ半分」
「まあ、待て」
なんだよ。
「今度はガリオンかよ」
「俺も暴れさせてもらう」
「それなら自分も。初対面の時より腹に据えかねておりましたので」
ジージーまで続く。
できればワックさんの側にいてほしいんだけどな。
「ミルモン殿がこのことを後で知れば、この場にいなかったことを悔しがる事でしょう」
と、言う辺り、絶対に戦いたいようだ。
最初から好戦的な姿勢だったからな。ミルモンとジージーは。
だがこれだとな。
「四人で戦うとか相手が可哀想すぎるな」
「情なんて持たなくていい連中だろう」
「ガリオン殿の言うとおり。討滅、撃滅、殲滅、駆逐、鏖殺――です」
「いやいや性根を叩き直すだけだぞジージー。命は取らないから」
「必要な時には奪うことも大事です。愚者は放置していれば更なる愚者を生み出す。ならば死を与えるのは必定」
オウ……。
やはりそこは魔王軍の思考。これは本気で命を奪う可能性があるな。
「得物は使っちゃだめだぞ。素手で相手を黙らせるだけだからな」
「分かりました。殴殺で鏖殺ですね」
なんて物騒な言葉遊びなんでしょう……。
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