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前準備
PHASE-1429【良い手本】
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「さあ、こちらの動きを超えてみせてくれ。そして強者の証として背後を取ってみてはどうかな?」
――ここまで言われるとな――。
「ブーステッド」
ポツリと呟きそのままアクセルへと繋げる。
お望み通り一瞬にして背後へと回り込み、腰を回し――、
「ふん!」
両腕を振る。
「!?」
木刀による二連撃。
ファースンを纏っていてもお構いなし。
受けた部分をアンリッシュへと変える暇もなく高速の二連撃を叩き込んでやった。
二メートルを超える長身が前方へと勢いよく転がり――素早く立ち上がれば、
「やれば出来るじゃないか」
と、称賛。
「どうも」
「対してこちらは恰好の悪いことだ」
背後を取って見せろと自分で誘っておいて、発言後、直ぐさま攻撃を受けて転がされる。
これはとても恥ずかしい事だとガルム氏は苦笑い。
対して、
「へへん!」
得意げに腕組みをして笑ってみせるのは、顔面朱の盆から戻ったミルモン。
「取ってみせろと言いつつも、背後を簡単に取らせるつもりはなかったんだがな」
これで己と勇者との差が分かったとガルム氏。
「やはり自分よりも強いな」
「まさか」
「いやいや、誇っていいぞ勇者。こう見えて俺は強い方なんだから」
自分の事を強いと言えるだけの裏打ちされた実力は、ことらも理解しているから揶揄することはしない。
俺とは違ってミルモンが挑発でなにか言うかと思ったけども、言わない辺りミルモンもそこは認めているようだ。
「だから謙虚な発言は控えてくれ」
「――なぜです?」
「謙虚でいられると自身の強さに自信が持てなくなってしまうからな。強い勇者と渡り合える自分は強いと自惚れたいんだよ」
そういった意味合いでも勇者が謙虚すぎるのはよくないってことらしい。
謙虚する存在に敗れることがあれば、自信をなくすという。
だから強者には強者然とした立ち振る舞いをしてほしいそうだ。
俺は自分が強者だとは思わないし、常に挑戦者でいたいけども――、
「強者にはなりたいので、ガルム氏の思いに少しでも叶う存在として対峙させてもらいますよ」
「そうか。ならばこちらもそろそろ本腰を入れる!」
「入れなくてもいいんですけど――ねっ!」
入れる前に一気に決めてやろうと、ここでも短くブーステッドを発動。
短時間なら連続使用で発動可能になった有り難い上位ピリア。
アクセルと共にビジョンも発動。
ガルム氏の眼球が忙しなく動くのが見て取れるのは、ブーステッドによる限界突破による恩恵。
背後か左右か――はたまた前方か。
と、思っているご様子。
ガルム氏を習って一足飛びではなく、細かなステップで直線ではなく曲線を描いて接近。
からの――跳躍。
ここも真似させてもらう。
違うのは高さ重視じゃなく、躍りかかるような勢いのある跳躍。
視線がぶつかる程度に留めたもの。
細かな動きから一転して直線による跳躍は、弾丸をイメージ。
高速突撃で仕掛ければ、
「叩き落とす!」
手にした長棒を左右に高速で振り回し始めるガルム氏。
「天破槍嵐!」
継いで発せば、左右に振り回す高速回転の長棒から放たれるのは、視認可能な無数の青い衝撃波。
「おっふっ!?」
体の姿勢制御が難しい空中移動のところを迎撃されてしまった……。
ガルム氏の体に届く前に俺の体は地面に落とされる。
「あいたた……」
って、言えるだけのダメージで済んで良かった。
「大丈夫かい!?」
って、聞いてくるからミルモンも無事で良かった。
素早く立ち上がり構える。
「マスリリースを乱舞したような技ですね」
「その分、威力は落ちるけどな」
「でも迎撃としては十分ですよ。ズキズキと痛みに襲われてますし……」
火龍装備なのにこの痛み。
これが長棒ではなく、普段の巨大なV字からなる穂先の槍だったら威力も上がっていたんだろうな。
何よりも――、
「テンパソウラン――ですか」
翁の静夜の歩法といい、中々に俺の琴線に触れてくるネーミングじゃないか。
――天破槍嵐。
長棒を振り回して纏っているファースンをアンリッシュへと変えて飛ばすって芸当なんだそうな。
ガリオン――やっぱ超えられてるぞ。
と、北側を見ながら心底で伝える。
ファースンとアンリッシュの一対からなるピリアを接近戦闘だけでなく、面制圧からなる遠距離攻撃も可能な能力として向上させている。
こちらが有する遠距離攻撃であるマスリリースで対向したとしても、数の差で押し負ける。
「遠距離攻撃も出来るとなれば、攻め方が難しくなる――だろ?」
「ですね……」
こちらの思考を読み取ってくるよね……。
体に纏う攻防一体のピリア。
こちらはまずそれを剥がしてからでないと直撃を与えられない。
ブーステッドで背後を取り、木刀による二連撃を見舞ったのに、普通に立ってきたからな。
限界突破ありきの攻撃でも耐えてくるオーラアーマーの防御力。
これに加えて纏ったピリアを遠距離攻撃としても使用可能。
――至近戦闘良し!
――遠距離攻撃良し!
――防御良し!
――……攻防一体として優秀すぎるピリアだよ……。
中位ピリアも昇華させれば上位やそれ以上になるってのは、ネイコス――魔法と一緒。
目の前の存在。リンやコクリコは良い手本だな。
――ここまで言われるとな――。
「ブーステッド」
ポツリと呟きそのままアクセルへと繋げる。
お望み通り一瞬にして背後へと回り込み、腰を回し――、
「ふん!」
両腕を振る。
「!?」
木刀による二連撃。
ファースンを纏っていてもお構いなし。
受けた部分をアンリッシュへと変える暇もなく高速の二連撃を叩き込んでやった。
二メートルを超える長身が前方へと勢いよく転がり――素早く立ち上がれば、
「やれば出来るじゃないか」
と、称賛。
「どうも」
「対してこちらは恰好の悪いことだ」
背後を取って見せろと自分で誘っておいて、発言後、直ぐさま攻撃を受けて転がされる。
これはとても恥ずかしい事だとガルム氏は苦笑い。
対して、
「へへん!」
得意げに腕組みをして笑ってみせるのは、顔面朱の盆から戻ったミルモン。
「取ってみせろと言いつつも、背後を簡単に取らせるつもりはなかったんだがな」
これで己と勇者との差が分かったとガルム氏。
「やはり自分よりも強いな」
「まさか」
「いやいや、誇っていいぞ勇者。こう見えて俺は強い方なんだから」
自分の事を強いと言えるだけの裏打ちされた実力は、ことらも理解しているから揶揄することはしない。
俺とは違ってミルモンが挑発でなにか言うかと思ったけども、言わない辺りミルモンもそこは認めているようだ。
「だから謙虚な発言は控えてくれ」
「――なぜです?」
「謙虚でいられると自身の強さに自信が持てなくなってしまうからな。強い勇者と渡り合える自分は強いと自惚れたいんだよ」
そういった意味合いでも勇者が謙虚すぎるのはよくないってことらしい。
謙虚する存在に敗れることがあれば、自信をなくすという。
だから強者には強者然とした立ち振る舞いをしてほしいそうだ。
俺は自分が強者だとは思わないし、常に挑戦者でいたいけども――、
「強者にはなりたいので、ガルム氏の思いに少しでも叶う存在として対峙させてもらいますよ」
「そうか。ならばこちらもそろそろ本腰を入れる!」
「入れなくてもいいんですけど――ねっ!」
入れる前に一気に決めてやろうと、ここでも短くブーステッドを発動。
短時間なら連続使用で発動可能になった有り難い上位ピリア。
アクセルと共にビジョンも発動。
ガルム氏の眼球が忙しなく動くのが見て取れるのは、ブーステッドによる限界突破による恩恵。
背後か左右か――はたまた前方か。
と、思っているご様子。
ガルム氏を習って一足飛びではなく、細かなステップで直線ではなく曲線を描いて接近。
からの――跳躍。
ここも真似させてもらう。
違うのは高さ重視じゃなく、躍りかかるような勢いのある跳躍。
視線がぶつかる程度に留めたもの。
細かな動きから一転して直線による跳躍は、弾丸をイメージ。
高速突撃で仕掛ければ、
「叩き落とす!」
手にした長棒を左右に高速で振り回し始めるガルム氏。
「天破槍嵐!」
継いで発せば、左右に振り回す高速回転の長棒から放たれるのは、視認可能な無数の青い衝撃波。
「おっふっ!?」
体の姿勢制御が難しい空中移動のところを迎撃されてしまった……。
ガルム氏の体に届く前に俺の体は地面に落とされる。
「あいたた……」
って、言えるだけのダメージで済んで良かった。
「大丈夫かい!?」
って、聞いてくるからミルモンも無事で良かった。
素早く立ち上がり構える。
「マスリリースを乱舞したような技ですね」
「その分、威力は落ちるけどな」
「でも迎撃としては十分ですよ。ズキズキと痛みに襲われてますし……」
火龍装備なのにこの痛み。
これが長棒ではなく、普段の巨大なV字からなる穂先の槍だったら威力も上がっていたんだろうな。
何よりも――、
「テンパソウラン――ですか」
翁の静夜の歩法といい、中々に俺の琴線に触れてくるネーミングじゃないか。
――天破槍嵐。
長棒を振り回して纏っているファースンをアンリッシュへと変えて飛ばすって芸当なんだそうな。
ガリオン――やっぱ超えられてるぞ。
と、北側を見ながら心底で伝える。
ファースンとアンリッシュの一対からなるピリアを接近戦闘だけでなく、面制圧からなる遠距離攻撃も可能な能力として向上させている。
こちらが有する遠距離攻撃であるマスリリースで対向したとしても、数の差で押し負ける。
「遠距離攻撃も出来るとなれば、攻め方が難しくなる――だろ?」
「ですね……」
こちらの思考を読み取ってくるよね……。
体に纏う攻防一体のピリア。
こちらはまずそれを剥がしてからでないと直撃を与えられない。
ブーステッドで背後を取り、木刀による二連撃を見舞ったのに、普通に立ってきたからな。
限界突破ありきの攻撃でも耐えてくるオーラアーマーの防御力。
これに加えて纏ったピリアを遠距離攻撃としても使用可能。
――至近戦闘良し!
――遠距離攻撃良し!
――防御良し!
――……攻防一体として優秀すぎるピリアだよ……。
中位ピリアも昇華させれば上位やそれ以上になるってのは、ネイコス――魔法と一緒。
目の前の存在。リンやコクリコは良い手本だな。
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