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矮人と巨人
PHASE-1347【炎、風、土、雷】
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――今までの刺突と違い、凶悪な風切り音に加えてパチパチといった火花のような音も混ざっている。
聴覚だけでなく視覚でも違いは理解できた。
「雷を穂先に纏わせてるんだな」
「アークフィストという」
名前からして雷系による打撃のような攻撃を行う魔法なんだろうけど、見る限りでは穂先が纏う青白い電撃によって、斬撃範囲と威力が強化されているようである。
この辺は俺も似たようなもんでもあるか。
本来なら炎の柱で対象を呑み込んでダメージを与える上位魔法のブレイズを残火に纏わせてるからな。
ハルダームのパルチザンであるプロトスも同様の仕様なんだろう。
ただ複数の魔法を使用できているから、槍の効果というよりは当人の実力ってことも考えられる。
エンドリュー候のとこの美人征東騎士団団長であるイリーが使用する魔法剣みたいなものかもしれない。
――ふむん。
「その槍の力は凄いな。色々な雷系の魔法が使用できるんだからな」
魔法剣の使い手なのか分からない以上、鎌をかけてみる。
「欠点としては数種類の中位を使用できるということに留まっている。上位は封じ切れていない」
「へ~」
魔法剣の類いじゃないのは今の発言で理解できた。
というか、そういう事を普通に言っちゃうんだな。
手の内を晒しても欠点になり得ないということなのかもしれないけど。
その証拠とばかりに、表情は何かしら含みのある笑みになっているからな。
――なんにせよ。
「そっちに出来ない事をこっちはしてやる。ブレイズ!」
上位魔法であるブレイズを残火へと纏わせ、
「ウィンドスラッシュ」
この森で習得した中位魔法をマラ・ケニタルへと留める。
炎と風を纏わせた二振りでの攻撃も可能になったな。
熟れてくれば、二つを組み合わせての攻撃も可能となるかもしれない。
炎と風による合体技も習得していかないとな。
その為にも――、
「この戦いで更に俺は成長させてもらう」
「よい刀を持っているからといって、自分が強くなったと勘違いしないことだな」
「んなこたあ言われなくても分かってるっての」
俺が力に溺れるなんて事はねえよ。そんなことになったら最強さん達にしばかれるからな。
「こっちの事よりも自分の事を心配しろよ。その槍の力に溺れないことだな」
「ぬかせ! その二振りは絶対に手に入れる」
「だから――絶対に渡さない」
「いや手にする。欲するものは絶対に手にする。戦い勝利し収奪。それが蹂躙王の理念だからな」
「エゴの塊みたいな連中だよ」
分かりきっている事だけどもさ。
「死ね!」
「お断りだね」
巨体による驀地に対してアクセルから側面へと回り込んでの、
「ふん!」
脇腹へと目がけて炎と風の力を纏った二振りでの斬撃。
「斬られてはやれんな!」
柄にて受け止められてしまう。
こちらの斬撃を捌いて直ぐに柄を回転させると、石突き部分にてこちらに仕掛けてくる。
迫る石突きは背を反らせてから回避。
力技だけでなくこういった小手先の攻撃も得意なようで。
姿勢を戻したところで視界に入るのは、相対する方からの連撃。
今度は電撃を纏った穂先での刺突。
残火で受け流せば、炎と電撃がゴウゴウ、バチバチと音を立ててぶつかり合う。
「これはどうだ!」
ここで地面を一踏み。
マッドメンヒルによる攻撃と判断したので、
「おら!」
隆起してくる地面に向かってマラ・ケニタルを振るう。
ウインドスラッシュを纏った斬撃。新技であるスクワッドリーパーにより鋭利な土が力を発揮する前に切り刻んでやった。
「やりおる」
「あ、そういう上からな発言は俺が言うから。だって俺の方が上だからね。顔に触れてみろよ。鼻――曲がってるよ」
「小僧が!」
お怒りの刺突。
二振りで捌いて距離を取る。
逃がすかとばかりに地面から追撃のマッドメンヒルと、直上からアークフォールの二段構え。
下方へは斬撃。上方からのはイグニースで対応。
多方向からの攻撃は御免なので、周囲を見つつ跳躍。
建物の屋根へと着地して一息入れる。
「我が屋敷に立つとは不届きだな」
「壁に穴を空けてる前科もあるから、屋根の上くらいいいだろ」
「叩き落としてやれ」
部下達に命令すれば、鏃と魔法発動のために伸ばした腕が俺へと向けられる。
上下からの同時魔法を防がれたからか、配下にも攻撃を仕掛けるように言ってくる辺り、俺に対して決定打となる攻撃を持ち合わせていないというのが分かる動きだ。
――どのみちその攻撃手段も決定打にはなり得ないけどね。
――お前達の背後、隙だらけだよ。
「ブラストスマッシュ」に「ファイヤーボール」と続く。
二人の声が発せられると、俺に向けて攻撃をしようとした遠距離からの脅威はなくなった。
「突破するのか!? この数を!」
「「当然!!」」
頼りになる格好の良い声だ。
シャルナとコクリコによる魔法は挟撃によるもの。
たった二人による挟撃ってのもおかしな話だけども、戦闘の中心となっている俺とハルダームの立つ場所において敵兵を蹴散らしていく。
聴覚だけでなく視覚でも違いは理解できた。
「雷を穂先に纏わせてるんだな」
「アークフィストという」
名前からして雷系による打撃のような攻撃を行う魔法なんだろうけど、見る限りでは穂先が纏う青白い電撃によって、斬撃範囲と威力が強化されているようである。
この辺は俺も似たようなもんでもあるか。
本来なら炎の柱で対象を呑み込んでダメージを与える上位魔法のブレイズを残火に纏わせてるからな。
ハルダームのパルチザンであるプロトスも同様の仕様なんだろう。
ただ複数の魔法を使用できているから、槍の効果というよりは当人の実力ってことも考えられる。
エンドリュー候のとこの美人征東騎士団団長であるイリーが使用する魔法剣みたいなものかもしれない。
――ふむん。
「その槍の力は凄いな。色々な雷系の魔法が使用できるんだからな」
魔法剣の使い手なのか分からない以上、鎌をかけてみる。
「欠点としては数種類の中位を使用できるということに留まっている。上位は封じ切れていない」
「へ~」
魔法剣の類いじゃないのは今の発言で理解できた。
というか、そういう事を普通に言っちゃうんだな。
手の内を晒しても欠点になり得ないということなのかもしれないけど。
その証拠とばかりに、表情は何かしら含みのある笑みになっているからな。
――なんにせよ。
「そっちに出来ない事をこっちはしてやる。ブレイズ!」
上位魔法であるブレイズを残火へと纏わせ、
「ウィンドスラッシュ」
この森で習得した中位魔法をマラ・ケニタルへと留める。
炎と風を纏わせた二振りでの攻撃も可能になったな。
熟れてくれば、二つを組み合わせての攻撃も可能となるかもしれない。
炎と風による合体技も習得していかないとな。
その為にも――、
「この戦いで更に俺は成長させてもらう」
「よい刀を持っているからといって、自分が強くなったと勘違いしないことだな」
「んなこたあ言われなくても分かってるっての」
俺が力に溺れるなんて事はねえよ。そんなことになったら最強さん達にしばかれるからな。
「こっちの事よりも自分の事を心配しろよ。その槍の力に溺れないことだな」
「ぬかせ! その二振りは絶対に手に入れる」
「だから――絶対に渡さない」
「いや手にする。欲するものは絶対に手にする。戦い勝利し収奪。それが蹂躙王の理念だからな」
「エゴの塊みたいな連中だよ」
分かりきっている事だけどもさ。
「死ね!」
「お断りだね」
巨体による驀地に対してアクセルから側面へと回り込んでの、
「ふん!」
脇腹へと目がけて炎と風の力を纏った二振りでの斬撃。
「斬られてはやれんな!」
柄にて受け止められてしまう。
こちらの斬撃を捌いて直ぐに柄を回転させると、石突き部分にてこちらに仕掛けてくる。
迫る石突きは背を反らせてから回避。
力技だけでなくこういった小手先の攻撃も得意なようで。
姿勢を戻したところで視界に入るのは、相対する方からの連撃。
今度は電撃を纏った穂先での刺突。
残火で受け流せば、炎と電撃がゴウゴウ、バチバチと音を立ててぶつかり合う。
「これはどうだ!」
ここで地面を一踏み。
マッドメンヒルによる攻撃と判断したので、
「おら!」
隆起してくる地面に向かってマラ・ケニタルを振るう。
ウインドスラッシュを纏った斬撃。新技であるスクワッドリーパーにより鋭利な土が力を発揮する前に切り刻んでやった。
「やりおる」
「あ、そういう上からな発言は俺が言うから。だって俺の方が上だからね。顔に触れてみろよ。鼻――曲がってるよ」
「小僧が!」
お怒りの刺突。
二振りで捌いて距離を取る。
逃がすかとばかりに地面から追撃のマッドメンヒルと、直上からアークフォールの二段構え。
下方へは斬撃。上方からのはイグニースで対応。
多方向からの攻撃は御免なので、周囲を見つつ跳躍。
建物の屋根へと着地して一息入れる。
「我が屋敷に立つとは不届きだな」
「壁に穴を空けてる前科もあるから、屋根の上くらいいいだろ」
「叩き落としてやれ」
部下達に命令すれば、鏃と魔法発動のために伸ばした腕が俺へと向けられる。
上下からの同時魔法を防がれたからか、配下にも攻撃を仕掛けるように言ってくる辺り、俺に対して決定打となる攻撃を持ち合わせていないというのが分かる動きだ。
――どのみちその攻撃手段も決定打にはなり得ないけどね。
――お前達の背後、隙だらけだよ。
「ブラストスマッシュ」に「ファイヤーボール」と続く。
二人の声が発せられると、俺に向けて攻撃をしようとした遠距離からの脅威はなくなった。
「突破するのか!? この数を!」
「「当然!!」」
頼りになる格好の良い声だ。
シャルナとコクリコによる魔法は挟撃によるもの。
たった二人による挟撃ってのもおかしな話だけども、戦闘の中心となっている俺とハルダームの立つ場所において敵兵を蹴散らしていく。
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