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矮人と巨人
PHASE-1313【上位悪魔】
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戦きにより静かになったカクエン達の情けない姿。
当然、俺がそう思っているのだから――、
「どうしました? 先ほどまでのにたつきながらの発言やら腰振りは? 完全に我々に恐怖しているようですね」
と、コクリコが挑発。
「困ったものです。こちらはまだ本気も出していないのに。この私に装身具による強化もさせない程度の連中がよくもまあ、なめた事ばかりを口から出したものですよ。ほら、恐怖に支配された表情を兜を取って見せてくださいよ」
継いで更に挑発を続け、点在するカクエンの一人へと向かって強い足取りで一歩踏み出せば、直ぐさま幹の裏側に身を潜める。
「本当に弱いですね~。これでは張り合いがない。これなら三十どころか百いても私一人で十分に対応できます。余裕すぎますよ」
発言に相応しい立ち振る舞いを見せつつも、油断なく構えは解かないコクリコ。
そしてコクリコが言うように、一人でも十分なくらいにコイツ等は弱かった。
カクエン達の動きは、コクリコの言動に完全に呑まれてしまい、こちらに仕掛ける気概どころか戦いを継続させる気も失せているようである。
「コクリコの姉ちゃんが言うように、余裕の勝利だったね」
「ミルモンの力を借りるまでもなかった。勲功爵殿が力を振るうほどじゃなかったよ」
「まあね♪」
「それにしても機嫌が良い」
「当然さ」
ニヤリと悪そうに笑む口から犬歯だけを覗かせる姿は可愛い。
現在カクエン達が抱いている感情――恐怖がこの一帯を支配しているそうで、小悪魔ミルモンにとって、とても心地いい環境のようだ。
左肩で大の字になってから全身で負の感情を堪能しているほどに。
心なしかモチモチのほっぺたが、更にツヤツヤなものへとなっているようだった。
「これだけ萎縮しているとなれば――」
油断は出来ないけど、こちらに楯突くという考えはないと見ていいかな。
ミルモンが相手のネガティブな感情を堪能しているということは、こちらがこの場において主導権を握っているという証拠でもあるわけだしな。
「俺達の前に今後、現れないと誓えば見逃してやるぞ!」
高圧的に発せば、ビクリと体を震わせるカクエン達。
どうしようもない奴等ではあるみたいだけど、無駄な流血を避けられるならそれにこしたことはない。
――……戦いとなれば斬って命を奪うことが当然なものになってきているけども、戦闘に区切りがつけばこちらも流血回避の思考へと切り替えたい。
まだ奪った命に対して罪悪感を覚える事が出来るだけ、救いはあるんだろうな。
奪っていった死に対して深く考えなくなれば、闇堕ち確定だからな。
「さあ返答は? こっちが思いに耽っている間、そこそこの時間を与えたつもりなんだけどな。あ、あとその装備に関しても聞きたいことがあるから説明もするように」
――……。
「返事!」
――……なんで無視なんだよ。
それに、なんでコイツ等こんだけビビり倒しているのに、逃げもせずにこの場に留まっているんだろうな?
やはり目の前の美人、美少女をこのまま残してこの場から立ち去ることが出来ないのだろうか?
生への本能より、性欲による本能が勝っているのか?
「去らないならその理由を説明をしろ! ないなら戦闘の継続意思ありとして斬って捨てる!」
恫喝してみれば、
「――こちらが代弁してやろう」
「!?」
突如として頭上からの声と殺気。
「散開!」
シャルナのただ事じゃない声に皆して一斉に散らばり、カクエン達のように木々を利用して身を隠していく。
で、俺がさっきまで立っていた隆起した地面では、派手に土や木の根が木っ端のように舞う光景。
離れた位置でも振動が足の裏から全身に伝わってくる。
――隆起していた大地は大きく抉れ、爆撃なんかで出来る漏斗孔を思わせる。
漏斗孔を作り出した原因が孔の中心に突き刺さっていた。
――大型のバトルアックス――。
長柄から続く両刃斧の刃の部分が、半分ほど大地に埋まっているのが確認できた。
「頭上からの声と投擲か――」
目を細めて上を見やる。
木々に邪魔されてわずかな空しか見る事が出来ないけど、大きな影が宙空に留まっているのが確認できた。
コウモリのような巨大な羽を動かしながら宙空へと留まっているが、徐々に地面の方へと降りてきているようで、大きな影が更に大きなものへとなっていく。
――そして投擲の派手さとは正反対に静かに着地。
「オイラの仲間かな?」
「似ているけど可愛げがない。投擲も姿も」
ミルモンに返しながらも舞い降りた存在から視線はいっさい逸らさないようにする。
明らかに強者なオーラを纏っているので、ちょっとした隙でも見せるなんてことは出来ない。
――身の丈は四メートルほどか。
山羊の頭部を真似たようなフルフェイスの兜と、全身を守るフルプレートは全てが漆黒からなる金属製の防具。
降り立てば、漆黒鎧は自らが投擲したであろう両刃斧の柄をむんずと掴み、軽々と引き抜く。
両刃斧と思っていたが、先端には槍も備わっており、ハルバート的なポールウェポンだった。
ミルモンが仲間と勘違いしてしまうコウモリのような羽に加え、鉤状になった尻尾が漆黒鎧の背後で蠢く。
黒色の尻尾は強靱な筋肉で出来ているようで、それを振り回すだけでも強力な攻撃手段になりそうだった。
「見た目も登場も強者感を漂わせてくるな。で、あんた誰?」
「誰何となれば名乗らせてもらおう」
カクエン達と違って、会話のキャッチボールが出来そうな相手のようだな。
強者特有の余裕ってのが伝わってくる。
「我はヤヤラッタ・ノルティス。グレーターデーモンである」
名と種族を発せば、こっちサイドからざわりと声が上がる。
グレーターデーモンってところでのざわつきが顕著だった。
で、こっちがざわつけば、目の前のヤヤラッタと名乗ったグレーターデーモンは心なしか背筋を伸ばし、胸を張ったように見えた。
こちらのリアクションに気をよくしたようだ。
グレーターデーモンか――。
ゲームなんかでも強敵ポジションでお馴染みのヤツだな。
確かレッサーデーモンとは魔大陸で戦った記憶がある。
大鎌装備でレッドキャップスに所属していたヤツだったな。
あの時はベルとゲッコーさんがいたけど、個人的には面倒にも感じた。
今回はそのレッサーの上位種であるグレーターのお出ましということか。
当然、俺がそう思っているのだから――、
「どうしました? 先ほどまでのにたつきながらの発言やら腰振りは? 完全に我々に恐怖しているようですね」
と、コクリコが挑発。
「困ったものです。こちらはまだ本気も出していないのに。この私に装身具による強化もさせない程度の連中がよくもまあ、なめた事ばかりを口から出したものですよ。ほら、恐怖に支配された表情を兜を取って見せてくださいよ」
継いで更に挑発を続け、点在するカクエンの一人へと向かって強い足取りで一歩踏み出せば、直ぐさま幹の裏側に身を潜める。
「本当に弱いですね~。これでは張り合いがない。これなら三十どころか百いても私一人で十分に対応できます。余裕すぎますよ」
発言に相応しい立ち振る舞いを見せつつも、油断なく構えは解かないコクリコ。
そしてコクリコが言うように、一人でも十分なくらいにコイツ等は弱かった。
カクエン達の動きは、コクリコの言動に完全に呑まれてしまい、こちらに仕掛ける気概どころか戦いを継続させる気も失せているようである。
「コクリコの姉ちゃんが言うように、余裕の勝利だったね」
「ミルモンの力を借りるまでもなかった。勲功爵殿が力を振るうほどじゃなかったよ」
「まあね♪」
「それにしても機嫌が良い」
「当然さ」
ニヤリと悪そうに笑む口から犬歯だけを覗かせる姿は可愛い。
現在カクエン達が抱いている感情――恐怖がこの一帯を支配しているそうで、小悪魔ミルモンにとって、とても心地いい環境のようだ。
左肩で大の字になってから全身で負の感情を堪能しているほどに。
心なしかモチモチのほっぺたが、更にツヤツヤなものへとなっているようだった。
「これだけ萎縮しているとなれば――」
油断は出来ないけど、こちらに楯突くという考えはないと見ていいかな。
ミルモンが相手のネガティブな感情を堪能しているということは、こちらがこの場において主導権を握っているという証拠でもあるわけだしな。
「俺達の前に今後、現れないと誓えば見逃してやるぞ!」
高圧的に発せば、ビクリと体を震わせるカクエン達。
どうしようもない奴等ではあるみたいだけど、無駄な流血を避けられるならそれにこしたことはない。
――……戦いとなれば斬って命を奪うことが当然なものになってきているけども、戦闘に区切りがつけばこちらも流血回避の思考へと切り替えたい。
まだ奪った命に対して罪悪感を覚える事が出来るだけ、救いはあるんだろうな。
奪っていった死に対して深く考えなくなれば、闇堕ち確定だからな。
「さあ返答は? こっちが思いに耽っている間、そこそこの時間を与えたつもりなんだけどな。あ、あとその装備に関しても聞きたいことがあるから説明もするように」
――……。
「返事!」
――……なんで無視なんだよ。
それに、なんでコイツ等こんだけビビり倒しているのに、逃げもせずにこの場に留まっているんだろうな?
やはり目の前の美人、美少女をこのまま残してこの場から立ち去ることが出来ないのだろうか?
生への本能より、性欲による本能が勝っているのか?
「去らないならその理由を説明をしろ! ないなら戦闘の継続意思ありとして斬って捨てる!」
恫喝してみれば、
「――こちらが代弁してやろう」
「!?」
突如として頭上からの声と殺気。
「散開!」
シャルナのただ事じゃない声に皆して一斉に散らばり、カクエン達のように木々を利用して身を隠していく。
で、俺がさっきまで立っていた隆起した地面では、派手に土や木の根が木っ端のように舞う光景。
離れた位置でも振動が足の裏から全身に伝わってくる。
――隆起していた大地は大きく抉れ、爆撃なんかで出来る漏斗孔を思わせる。
漏斗孔を作り出した原因が孔の中心に突き刺さっていた。
――大型のバトルアックス――。
長柄から続く両刃斧の刃の部分が、半分ほど大地に埋まっているのが確認できた。
「頭上からの声と投擲か――」
目を細めて上を見やる。
木々に邪魔されてわずかな空しか見る事が出来ないけど、大きな影が宙空に留まっているのが確認できた。
コウモリのような巨大な羽を動かしながら宙空へと留まっているが、徐々に地面の方へと降りてきているようで、大きな影が更に大きなものへとなっていく。
――そして投擲の派手さとは正反対に静かに着地。
「オイラの仲間かな?」
「似ているけど可愛げがない。投擲も姿も」
ミルモンに返しながらも舞い降りた存在から視線はいっさい逸らさないようにする。
明らかに強者なオーラを纏っているので、ちょっとした隙でも見せるなんてことは出来ない。
――身の丈は四メートルほどか。
山羊の頭部を真似たようなフルフェイスの兜と、全身を守るフルプレートは全てが漆黒からなる金属製の防具。
降り立てば、漆黒鎧は自らが投擲したであろう両刃斧の柄をむんずと掴み、軽々と引き抜く。
両刃斧と思っていたが、先端には槍も備わっており、ハルバート的なポールウェポンだった。
ミルモンが仲間と勘違いしてしまうコウモリのような羽に加え、鉤状になった尻尾が漆黒鎧の背後で蠢く。
黒色の尻尾は強靱な筋肉で出来ているようで、それを振り回すだけでも強力な攻撃手段になりそうだった。
「見た目も登場も強者感を漂わせてくるな。で、あんた誰?」
「誰何となれば名乗らせてもらおう」
カクエン達と違って、会話のキャッチボールが出来そうな相手のようだな。
強者特有の余裕ってのが伝わってくる。
「我はヤヤラッタ・ノルティス。グレーターデーモンである」
名と種族を発せば、こっちサイドからざわりと声が上がる。
グレーターデーモンってところでのざわつきが顕著だった。
で、こっちがざわつけば、目の前のヤヤラッタと名乗ったグレーターデーモンは心なしか背筋を伸ばし、胸を張ったように見えた。
こちらのリアクションに気をよくしたようだ。
グレーターデーモンか――。
ゲームなんかでも強敵ポジションでお馴染みのヤツだな。
確かレッサーデーモンとは魔大陸で戦った記憶がある。
大鎌装備でレッドキャップスに所属していたヤツだったな。
あの時はベルとゲッコーさんがいたけど、個人的には面倒にも感じた。
今回はそのレッサーの上位種であるグレーターのお出ましということか。
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