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発展と鍛錬
PHASE-1210【増える事は良き事】
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「いやしかし……。勇者殿は他の種族とも手を取り合うという考えをお持ちなのは理解しておりましたが、こんなにもアンデッドが活躍しているとは……。ワイバーンまで飛んでいますし」
馬上から田畑や空を見渡しながら感嘆――ではなく嘆息気味なルーシャンナルさん。
竜騎兵が未だ王都に滞在しているって事は、エンドリュー辺境候もまだいるって事なのかな?
バランド領は極東だから戻るよりも王都に残り、今後の為に王様の側にて助力するって判断なのかもね。
一応、バランド領には三十人からなるS級兵士さん達が残ってくれているから、あの方々を中心としてバランド領の兵達が動いてくれれば、脅威が迫ったとしても問題はないだろう。
ただ、政治方面となると話は別なんだよね。
エンドリュー候が憂いなく王都に残れるのは、領内をしっかりと回せるだけの辣腕家が揃っているって事なんだろうな。
「本当に凄いです……」
頭に入ってくる情報量が多すぎるからか、ルーシャンナルさんは呑まれかかっているご様子。
「ここではこれが当たり前だ。怪訝も度が過ぎれば無礼になる」
と、ここで発するのはカーミルトさん。
ルミナングスさんの部下であり、三百人隊の隊長であるこの方も先発隊に参加してくれている。
ルーシャンナルさんの上役でもあるカーミルトさんは北伐にも参加してくれていたから、各兵科からなるスケルトン達を見た経験もある分、リアクションは二人とは違うものだ。
「心得ましたカーミルト様」
ルーシャンナルさんはここでは自分の常識を上回ることが当然のように有ると判断し、デミタスに操られていた失態を挽回する為にも、王都のルールを直ぐさま理解して俺やこの世界の為に励むと言ってくれる。
頼りになる発言は何度聞いてもありがたいものだ。
そんなルーシャンナルさんの隣を一緒に進むネクレス氏も同様の考えだったのか、ルーシャンナルさんが語る度に小さく首肯していた。
――木壁を潜った辺りからJLTVの助手席に座るベルがウズウズとし始める。
抱っこしているミユキを撫でながら何とか欲求を抑えているといったところか……。
一刻も早く渋声マヨネーズ容器体系の白いケサランパサランに再会したいといったところだろうな。
いやはや――、
「随分と賑やかになっていますね」
王都の防御壁を目にする度に、発展のすさまじさだけを感想として口にすることしか出来ないバリエーションの無さを許していただきたい。
と、対面する人物に心で呟く。
「飾り気のない称賛は何度、耳にしても嬉しいものです」
俺の心の中を読めるんですかね~。
「お帰りなさい主」
「戻りました先生。なんか戻る度に出迎えてくれる人数が多くなっていますね」
「そう言う主も随分と大人数を従えてきましたね。見ればエルフの方々が殆どを占めているご様子。この状況を目にしただけでも、主のエリシュタルト国における活動がどれほどの偉業だったのかが分かるというものです」
「頑張らせていただきました」
今回は本当に個人でかなり頑張ったので、堂々と胸を張ることも出来るというものだ。
対面するイケメン先生は笑顔で俺を称賛。
女なら誰でも惚れてしまう微笑みですわ。
「それにしても増えましたね~」
「そうでしょう」
俺達を出迎えてくれる人数はざっと見ても三百ほど。
王都兵も出迎えてくれるが、少数だ。
大多数は統一性のない装備を身に纏っている。
一見して分かる冒険者然とした者達。
殆どが見ない顔である。
新たにギルドに加入したメンバー達を引き連れての出迎えだった。
黒色級と白色級の認識票が目立つ。
自分たちのトップの顔を覚えさせようという先生の配慮なんだろうね。
会頭とその一行という事で、緊張しつつも興奮も強い新米さん達。今にもこちらに向かって勢いよく接近してきそう。
その新米さん達の先頭に立って制しているのは黄色級の方々。
名前を覚えきれていないのは申し訳ないが、黄色級を首にかけている大半は見覚えがある。
新米さん達と違い、黄色級の方々同様に王都兵の方々も落ち着き払っている。
俺がこの世界に来たばかりの時は敵を前にして逃げ惑っていたけども、王都での鍛錬と様々な戦いを経験してきたことで、歴戦の風格を漂わせた強者なオーラを纏っていた。
しかし、ここまで新米さん達から憧憬の眼差しを向けられると偉くなったと勘違いしてしまうね。
「皆さん出迎えご苦労です」
――もちろん俺じゃなくてコクリコがね。
うん。勘違いしているのはいつものことか。
立派な作りからなる公爵家の馬車から顔を覗かせて出迎えに対して言葉を発せば、新米さん達からワッと声が上がる。
当然ながらコクリコは悦に入る。
新米さん達、騙されちゃ駄目だよ。
コイツは確かに成長もしているけど、今のところ位階はまだ白色級だからね。
君たちとそこまで違いはないよ。
今回の活躍で位階が上がるけども、君たちも頑張れば直ぐに黄色級になれるからね。
なのでそこまで感情まる出しで喜ぶような相手ではないよ。
その後方で停車しているJLTVに乗車している面々にこそ、その感情をぶつけよう。
馬上から田畑や空を見渡しながら感嘆――ではなく嘆息気味なルーシャンナルさん。
竜騎兵が未だ王都に滞在しているって事は、エンドリュー辺境候もまだいるって事なのかな?
バランド領は極東だから戻るよりも王都に残り、今後の為に王様の側にて助力するって判断なのかもね。
一応、バランド領には三十人からなるS級兵士さん達が残ってくれているから、あの方々を中心としてバランド領の兵達が動いてくれれば、脅威が迫ったとしても問題はないだろう。
ただ、政治方面となると話は別なんだよね。
エンドリュー候が憂いなく王都に残れるのは、領内をしっかりと回せるだけの辣腕家が揃っているって事なんだろうな。
「本当に凄いです……」
頭に入ってくる情報量が多すぎるからか、ルーシャンナルさんは呑まれかかっているご様子。
「ここではこれが当たり前だ。怪訝も度が過ぎれば無礼になる」
と、ここで発するのはカーミルトさん。
ルミナングスさんの部下であり、三百人隊の隊長であるこの方も先発隊に参加してくれている。
ルーシャンナルさんの上役でもあるカーミルトさんは北伐にも参加してくれていたから、各兵科からなるスケルトン達を見た経験もある分、リアクションは二人とは違うものだ。
「心得ましたカーミルト様」
ルーシャンナルさんはここでは自分の常識を上回ることが当然のように有ると判断し、デミタスに操られていた失態を挽回する為にも、王都のルールを直ぐさま理解して俺やこの世界の為に励むと言ってくれる。
頼りになる発言は何度聞いてもありがたいものだ。
そんなルーシャンナルさんの隣を一緒に進むネクレス氏も同様の考えだったのか、ルーシャンナルさんが語る度に小さく首肯していた。
――木壁を潜った辺りからJLTVの助手席に座るベルがウズウズとし始める。
抱っこしているミユキを撫でながら何とか欲求を抑えているといったところか……。
一刻も早く渋声マヨネーズ容器体系の白いケサランパサランに再会したいといったところだろうな。
いやはや――、
「随分と賑やかになっていますね」
王都の防御壁を目にする度に、発展のすさまじさだけを感想として口にすることしか出来ないバリエーションの無さを許していただきたい。
と、対面する人物に心で呟く。
「飾り気のない称賛は何度、耳にしても嬉しいものです」
俺の心の中を読めるんですかね~。
「お帰りなさい主」
「戻りました先生。なんか戻る度に出迎えてくれる人数が多くなっていますね」
「そう言う主も随分と大人数を従えてきましたね。見ればエルフの方々が殆どを占めているご様子。この状況を目にしただけでも、主のエリシュタルト国における活動がどれほどの偉業だったのかが分かるというものです」
「頑張らせていただきました」
今回は本当に個人でかなり頑張ったので、堂々と胸を張ることも出来るというものだ。
対面するイケメン先生は笑顔で俺を称賛。
女なら誰でも惚れてしまう微笑みですわ。
「それにしても増えましたね~」
「そうでしょう」
俺達を出迎えてくれる人数はざっと見ても三百ほど。
王都兵も出迎えてくれるが、少数だ。
大多数は統一性のない装備を身に纏っている。
一見して分かる冒険者然とした者達。
殆どが見ない顔である。
新たにギルドに加入したメンバー達を引き連れての出迎えだった。
黒色級と白色級の認識票が目立つ。
自分たちのトップの顔を覚えさせようという先生の配慮なんだろうね。
会頭とその一行という事で、緊張しつつも興奮も強い新米さん達。今にもこちらに向かって勢いよく接近してきそう。
その新米さん達の先頭に立って制しているのは黄色級の方々。
名前を覚えきれていないのは申し訳ないが、黄色級を首にかけている大半は見覚えがある。
新米さん達と違い、黄色級の方々同様に王都兵の方々も落ち着き払っている。
俺がこの世界に来たばかりの時は敵を前にして逃げ惑っていたけども、王都での鍛錬と様々な戦いを経験してきたことで、歴戦の風格を漂わせた強者なオーラを纏っていた。
しかし、ここまで新米さん達から憧憬の眼差しを向けられると偉くなったと勘違いしてしまうね。
「皆さん出迎えご苦労です」
――もちろん俺じゃなくてコクリコがね。
うん。勘違いしているのはいつものことか。
立派な作りからなる公爵家の馬車から顔を覗かせて出迎えに対して言葉を発せば、新米さん達からワッと声が上がる。
当然ながらコクリコは悦に入る。
新米さん達、騙されちゃ駄目だよ。
コイツは確かに成長もしているけど、今のところ位階はまだ白色級だからね。
君たちとそこまで違いはないよ。
今回の活躍で位階が上がるけども、君たちも頑張れば直ぐに黄色級になれるからね。
なのでそこまで感情まる出しで喜ぶような相手ではないよ。
その後方で停車しているJLTVに乗車している面々にこそ、その感情をぶつけよう。
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