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トール師になる
PHASE-1179【次は味方として登場してほしいね】
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「ともあれ、十全であったとしても私はお前に勝てないというのが分かったわ」
「いや、俺じゃないだろう」
「お前が召喚したのだからお前の力でもあるわね」
あ、そこは認めてくれるんだ。
ベルやゲッコーさんを召喚されるのは嫌がってたのにね。
ギャルゲー主人公の家の効果でダメージを与えた事に情けなさを感じていたから、その辺でツッコむことはしないけど。
「でも勝てないって判断するのは早計だと思う」
「私を馬鹿にしないでほしいわね。目にしただけで分かる。アポ・メーカネース・テオス。コレは間違いなく危険」
「だから何だよそのアポなんちゃらって」
「とにかく聖祚はお喜びになる。私もクズを仕留める機会が生まれることに喜べるしね。お前はこの力だけでなく、自身の力も高めるように励みなさい」
――……。
「いや、だからなんで上からなんだよ。お前は俺の師匠か!」
「仇だ」
「あ、はい……。そうでした……」
「仇として歯ごたえがないのも困るもの。強者であるお前を殺す事で司令も喜ぶというもの。せいぜい精進することね」
だからさ……。発言が今後、味方になるような台詞回しなんだよ。
フラグのおっ立て方が、えっぐい富士額の人物みたいなんですけど。
もし仲間になってくれるなら嬉しい限りだけども。
ぶれることのない上から目線の発言なんかは、俺の周囲の美人たちと一緒だからな。
だからそこに一人足されてもなんら問題なし。
と、口にしてしまえば、フランベルジュが今度はしっかりと俺の首に目がけて振られるだろうから……、
「精進するさ」
とだけ返しておく。
「さて、本当にまずい状況になってきたようね」
召喚したのをプレイギアに戻したところで、デミタスが霧に覆われた防御壁側を見つつ後退り。
ダメージが原因で動きには鈍さがある。
残火の回復阻害効果ってのは大したもんだ。
「国を傾け崩壊させることは失敗したが――得るモノも大きかった。アポ・メーカネース・テオス。この存在はしっかりと聖祚へと伝えよう――」
悪そうな笑みを湛え、デミタスはこちらに正面を向けたまま巨木が支配する闇夜の中に溶け込むように消えていく。
「まてまて! その前にリンファさんの居場所を教えろよ!」
「しばらくすれば私の使いが来る。案内してもらえ」
その発言を最後に姿だけでなく完全に気配も消えていった。
闇夜に消えた姿を現在の俺では捕捉することは出来なかった。
長時間のブーステッド使用後って事もあって、ビジョンを使用する事も出来ない状態だからな……。
連戦に次ぐ連戦。でもって最後がデミタスとの一対一による戦い……。
俺の体と集中力は限界だ……。
これに加えて生き残ったという安心感が新たな脱力の原因となり、巨木に体を預けるのも気怠いとばかりに、ズルズルと背中を滑らせて仰臥の姿勢となる。
「もう、何も出ねえよ……」
大きな月と砂金をちりばめたような星々を見つつ声を零す。
「ギィィ……」
心配してくれるゴブリン達の存在はありがたい。
こんな場所にこの状態で一人でいたら心細かったからな。
そして月明かりが大地を照らしてくれるのもありがたい。
月からの自然光が闇による恐怖を取り除いてくれる。
使用できなくなれば分かるってもんだ。どれだけビジョンに頼りっぱなしだったのかということに。
「ギッ!」
「……どうした?」
尖頭器を構える一人のゴブリン。
続くように他も棍棒なんかを構えるけども――直ぐにその行為をやめると片膝をつく。
「恩をしっかりと覚えている出来た連中だな」
「遅いですよ」
「悪いな」
「まさか俺の成長のためにまた遠目から見ていたんですか?」
「いや、今回はそんなことなく急いできたんだがな。まさかの強敵だったようだ」
「分かっていたでしょうに」
「ここまでのやり手とは思っていなかった」
まったくゲッコーさんはなんで笑いながら返してくるのか……。
デミタスが変身していた時から気付いてみたいだからな。
――――俺からの説明を耳にすれば驚く表情に変わる。
リンファさんに化けていたのがデミタスだったからね。
リンファさんの時の実力で判断し、俺だけでも問題ないと考えていたようだ。
「まさか元の姿に戻ると真の力を発揮するなんてな。考えが浅かった事に対しては反省する」
――……うん。反省を伝えられても――ね!
「はっきり言って、ぶっ飛ばしてやりたい気分ですよ」
「嬉しい発言だ。俺を殴れるまでに成長してくれれば俺も楽ができるというものだからな。しっかりと俺を殴れる男になってくれ」
そりゃ当分――というか永遠に無理な案件ですね。
ゲッコーさんに本気になられたら、俺ごときは体に触れる事も出来ないでしょうよ。
でも俺の勝ち気な発言が嬉しかったのか、ハリウッディアンからなるヒゲが笑みを湛える。
その笑みだけで強者から認められた感じがして、怒気が抜かれていく俺も単純だよ。
「いや、俺じゃないだろう」
「お前が召喚したのだからお前の力でもあるわね」
あ、そこは認めてくれるんだ。
ベルやゲッコーさんを召喚されるのは嫌がってたのにね。
ギャルゲー主人公の家の効果でダメージを与えた事に情けなさを感じていたから、その辺でツッコむことはしないけど。
「でも勝てないって判断するのは早計だと思う」
「私を馬鹿にしないでほしいわね。目にしただけで分かる。アポ・メーカネース・テオス。コレは間違いなく危険」
「だから何だよそのアポなんちゃらって」
「とにかく聖祚はお喜びになる。私もクズを仕留める機会が生まれることに喜べるしね。お前はこの力だけでなく、自身の力も高めるように励みなさい」
――……。
「いや、だからなんで上からなんだよ。お前は俺の師匠か!」
「仇だ」
「あ、はい……。そうでした……」
「仇として歯ごたえがないのも困るもの。強者であるお前を殺す事で司令も喜ぶというもの。せいぜい精進することね」
だからさ……。発言が今後、味方になるような台詞回しなんだよ。
フラグのおっ立て方が、えっぐい富士額の人物みたいなんですけど。
もし仲間になってくれるなら嬉しい限りだけども。
ぶれることのない上から目線の発言なんかは、俺の周囲の美人たちと一緒だからな。
だからそこに一人足されてもなんら問題なし。
と、口にしてしまえば、フランベルジュが今度はしっかりと俺の首に目がけて振られるだろうから……、
「精進するさ」
とだけ返しておく。
「さて、本当にまずい状況になってきたようね」
召喚したのをプレイギアに戻したところで、デミタスが霧に覆われた防御壁側を見つつ後退り。
ダメージが原因で動きには鈍さがある。
残火の回復阻害効果ってのは大したもんだ。
「国を傾け崩壊させることは失敗したが――得るモノも大きかった。アポ・メーカネース・テオス。この存在はしっかりと聖祚へと伝えよう――」
悪そうな笑みを湛え、デミタスはこちらに正面を向けたまま巨木が支配する闇夜の中に溶け込むように消えていく。
「まてまて! その前にリンファさんの居場所を教えろよ!」
「しばらくすれば私の使いが来る。案内してもらえ」
その発言を最後に姿だけでなく完全に気配も消えていった。
闇夜に消えた姿を現在の俺では捕捉することは出来なかった。
長時間のブーステッド使用後って事もあって、ビジョンを使用する事も出来ない状態だからな……。
連戦に次ぐ連戦。でもって最後がデミタスとの一対一による戦い……。
俺の体と集中力は限界だ……。
これに加えて生き残ったという安心感が新たな脱力の原因となり、巨木に体を預けるのも気怠いとばかりに、ズルズルと背中を滑らせて仰臥の姿勢となる。
「もう、何も出ねえよ……」
大きな月と砂金をちりばめたような星々を見つつ声を零す。
「ギィィ……」
心配してくれるゴブリン達の存在はありがたい。
こんな場所にこの状態で一人でいたら心細かったからな。
そして月明かりが大地を照らしてくれるのもありがたい。
月からの自然光が闇による恐怖を取り除いてくれる。
使用できなくなれば分かるってもんだ。どれだけビジョンに頼りっぱなしだったのかということに。
「ギッ!」
「……どうした?」
尖頭器を構える一人のゴブリン。
続くように他も棍棒なんかを構えるけども――直ぐにその行為をやめると片膝をつく。
「恩をしっかりと覚えている出来た連中だな」
「遅いですよ」
「悪いな」
「まさか俺の成長のためにまた遠目から見ていたんですか?」
「いや、今回はそんなことなく急いできたんだがな。まさかの強敵だったようだ」
「分かっていたでしょうに」
「ここまでのやり手とは思っていなかった」
まったくゲッコーさんはなんで笑いながら返してくるのか……。
デミタスが変身していた時から気付いてみたいだからな。
――――俺からの説明を耳にすれば驚く表情に変わる。
リンファさんに化けていたのがデミタスだったからね。
リンファさんの時の実力で判断し、俺だけでも問題ないと考えていたようだ。
「まさか元の姿に戻ると真の力を発揮するなんてな。考えが浅かった事に対しては反省する」
――……うん。反省を伝えられても――ね!
「はっきり言って、ぶっ飛ばしてやりたい気分ですよ」
「嬉しい発言だ。俺を殴れるまでに成長してくれれば俺も楽ができるというものだからな。しっかりと俺を殴れる男になってくれ」
そりゃ当分――というか永遠に無理な案件ですね。
ゲッコーさんに本気になられたら、俺ごときは体に触れる事も出来ないでしょうよ。
でも俺の勝ち気な発言が嬉しかったのか、ハリウッディアンからなるヒゲが笑みを湛える。
その笑みだけで強者から認められた感じがして、怒気が抜かれていく俺も単純だよ。
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