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トール師になる
PHASE-1167【翁は有名なんだね】
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さて…………、
「困った……」
「でしょうね。お前の命は風前の灯火。いや、私と戦った時点で終わっていたわけだけど」
悪そうな笑みをしっかりと俺に向けてくる。
口が裂けたような不気味な笑みでないのは、余裕がまだないからか?
だとしてもゴブリン達を撥ね除けて、俺を殺すくらい造作もないか。
「と、言いたいけど……」
デミタスから余裕の笑みが消え、一転して苦痛へと変わり片膝をつく。
肩で大きく息をしているとこからするに――、
「ダメージは残っているようだな」
「まったくもって面倒な刀よね……。回復に時間がかかるのだから……」
「え、そうなの?」
「……お前は本当に馬鹿なのだな」
――……やめて、怨敵である俺を可哀想な人を見る目で見ないで……。
それならまだ圧倒的な強者としての嘲笑で蔑まれた方が幾分かましだから……。
発言から察するに――、
「火龍の鱗は伊達じゃないってことか」
この世界の神の如き存在である四大聖龍の中でも長である火龍の力が付与された武器ともなれば、攻撃を受けた対象者は傷を癒やすのに時間がかかる模様。
この世界では回復には魔法やアイテムが存在し、致命傷だろうとも即座に回復させることが可能。
以前、俺がマジョリカと戦った時、死んでもおかしくなかった攻撃を受けたけが、リンとシャルナの二人が使用してくれたアーチヒールのダブルがけで俺は即回復。
直ぐさま戦いに復帰できた。
でも今回のデミタスは違う。
リン以上のネイコスの力を有しているはずの存在であっても回復が上手くいかないのは、残火――火龍の力が回復の阻害をしているようだ。
神具といってもいい武器ともなれば、ダメージを与えた相手には様々な状態異常が発生するようだな。
でも以前、魔大陸の要塞付近で戦った時は、残火でレッドキャップス所属のオーガを斬ったけど、治らないとかってリアクションはなかったような。
あれかな? ブレイズ込み――もしくは深手からの治癒が遅れるって事なのかな?
この辺は検証が必要だけども、検証となると命を奪うって事だからな……。
ともかく――、
「初めて知った」
「本当に呆れるくらいの馬鹿なのだな」
「だから俺をそんな目で見ないで……。自分でも思っているから……」
そもそもが残火の刃を振るって倒してきた相手となると、命を奪ってきた者達ばかり。
だから回復遅延の効果があるなんて知らないのは仕方ないじゃないか……。
「こんな馬鹿に司令がな……」
「あのね。別に俺一人で勝利してないから。俺一人なら間違いなく殺されてたから」
「当然だ」
「敵だったけど、俺はデスベアラーのこと尊敬してたよ」
「黙れ! 貴様に尊敬されても喜ぶも!? ぐぅ……」
「大声を出すから」
体の内部もブレイズによって焼かれ、大きなダメージを受けているわけだから無理をすると死ぬぞ――とは継ぐまい。伏臥で動けない俺が言ってもなんの説得力も無いからな。
「お前が出させたのだ! こんな状態だが殺すのは容易いぞ! 生殺与奪の権利は私が有している」
とか言いつつも体は素直なのか、動けていない。
お陰で俺は救われているけども。
さっきまで立っていた姿は空元気だったようだな。
「だがなぜだ? なぜこのゴブリン達はお前を守ろうとする。食糧を与えた程度だろう。その程度で命を投げ出そうとするものなのか?」
「それは――」
「ギャギャウ」
俺にもよく分からんと返そうとしたらゴブリンが返答していた。
――そこそこ長い間ゴブリンが口を開いてデミタスとやりとりをし、ようやくとばかりに乱杭歯からなる口が閉じる。
「で、なんて?」
「なぜお前のために私が通訳をせねばならない……」
「呆れないで教えてくれよ。さっきは訳してくれたじゃないか」
問えば大きな溜め息。
言うのも面倒くさいと言ったところか。
「プリーズ」
「黙れ」
とか言いながら、再度の嘆息とともに、
「お前がゴブリン達を対等に見てくれたからだそうだ」
「対等?」
「そうだ。食糧を与えるお前たちに対し、エルフは疑問を抱いたそうだな。だがお前たちはゴブリンを対等として見た」
「当たり前だろう」
「!」
「何だよ? こちとらストレンクスンやアクセルはゴブリンのアルスン翁から教わってんだぞ」
「アルスン殿が?」
「あれ、知ってんの?」
「当たり前だ。あの御仁は魔王――前魔王軍にて勇名を馳せた方だからな。そうか――あの御仁から手ほどきを受けるとはな。貴様の亜人に対する見方はそこで変わったようだな」
別段、アルスン翁で見方は変わってないけどね。
ホブゴブリンとの戦いの時、増長した人間が偏見を持って亜人たちを迫害したと聞かされたからな。
それもあって大部分の亜人たちは現魔王に付き従い、人間サイドに敵意を持って戦いを挑んでいるみたいだしな。
俺としては、人間やエルフなどの種族が他種族に対して抱く偏見を変えさせたい。
なので変革を考えて率先垂範を心がけている俺が、姿形が違うからって対等に接しないとかするわけがない。
「困った……」
「でしょうね。お前の命は風前の灯火。いや、私と戦った時点で終わっていたわけだけど」
悪そうな笑みをしっかりと俺に向けてくる。
口が裂けたような不気味な笑みでないのは、余裕がまだないからか?
だとしてもゴブリン達を撥ね除けて、俺を殺すくらい造作もないか。
「と、言いたいけど……」
デミタスから余裕の笑みが消え、一転して苦痛へと変わり片膝をつく。
肩で大きく息をしているとこからするに――、
「ダメージは残っているようだな」
「まったくもって面倒な刀よね……。回復に時間がかかるのだから……」
「え、そうなの?」
「……お前は本当に馬鹿なのだな」
――……やめて、怨敵である俺を可哀想な人を見る目で見ないで……。
それならまだ圧倒的な強者としての嘲笑で蔑まれた方が幾分かましだから……。
発言から察するに――、
「火龍の鱗は伊達じゃないってことか」
この世界の神の如き存在である四大聖龍の中でも長である火龍の力が付与された武器ともなれば、攻撃を受けた対象者は傷を癒やすのに時間がかかる模様。
この世界では回復には魔法やアイテムが存在し、致命傷だろうとも即座に回復させることが可能。
以前、俺がマジョリカと戦った時、死んでもおかしくなかった攻撃を受けたけが、リンとシャルナの二人が使用してくれたアーチヒールのダブルがけで俺は即回復。
直ぐさま戦いに復帰できた。
でも今回のデミタスは違う。
リン以上のネイコスの力を有しているはずの存在であっても回復が上手くいかないのは、残火――火龍の力が回復の阻害をしているようだ。
神具といってもいい武器ともなれば、ダメージを与えた相手には様々な状態異常が発生するようだな。
でも以前、魔大陸の要塞付近で戦った時は、残火でレッドキャップス所属のオーガを斬ったけど、治らないとかってリアクションはなかったような。
あれかな? ブレイズ込み――もしくは深手からの治癒が遅れるって事なのかな?
この辺は検証が必要だけども、検証となると命を奪うって事だからな……。
ともかく――、
「初めて知った」
「本当に呆れるくらいの馬鹿なのだな」
「だから俺をそんな目で見ないで……。自分でも思っているから……」
そもそもが残火の刃を振るって倒してきた相手となると、命を奪ってきた者達ばかり。
だから回復遅延の効果があるなんて知らないのは仕方ないじゃないか……。
「こんな馬鹿に司令がな……」
「あのね。別に俺一人で勝利してないから。俺一人なら間違いなく殺されてたから」
「当然だ」
「敵だったけど、俺はデスベアラーのこと尊敬してたよ」
「黙れ! 貴様に尊敬されても喜ぶも!? ぐぅ……」
「大声を出すから」
体の内部もブレイズによって焼かれ、大きなダメージを受けているわけだから無理をすると死ぬぞ――とは継ぐまい。伏臥で動けない俺が言ってもなんの説得力も無いからな。
「お前が出させたのだ! こんな状態だが殺すのは容易いぞ! 生殺与奪の権利は私が有している」
とか言いつつも体は素直なのか、動けていない。
お陰で俺は救われているけども。
さっきまで立っていた姿は空元気だったようだな。
「だがなぜだ? なぜこのゴブリン達はお前を守ろうとする。食糧を与えた程度だろう。その程度で命を投げ出そうとするものなのか?」
「それは――」
「ギャギャウ」
俺にもよく分からんと返そうとしたらゴブリンが返答していた。
――そこそこ長い間ゴブリンが口を開いてデミタスとやりとりをし、ようやくとばかりに乱杭歯からなる口が閉じる。
「で、なんて?」
「なぜお前のために私が通訳をせねばならない……」
「呆れないで教えてくれよ。さっきは訳してくれたじゃないか」
問えば大きな溜め息。
言うのも面倒くさいと言ったところか。
「プリーズ」
「黙れ」
とか言いながら、再度の嘆息とともに、
「お前がゴブリン達を対等に見てくれたからだそうだ」
「対等?」
「そうだ。食糧を与えるお前たちに対し、エルフは疑問を抱いたそうだな。だがお前たちはゴブリンを対等として見た」
「当たり前だろう」
「!」
「何だよ? こちとらストレンクスンやアクセルはゴブリンのアルスン翁から教わってんだぞ」
「アルスン殿が?」
「あれ、知ってんの?」
「当たり前だ。あの御仁は魔王――前魔王軍にて勇名を馳せた方だからな。そうか――あの御仁から手ほどきを受けるとはな。貴様の亜人に対する見方はそこで変わったようだな」
別段、アルスン翁で見方は変わってないけどね。
ホブゴブリンとの戦いの時、増長した人間が偏見を持って亜人たちを迫害したと聞かされたからな。
それもあって大部分の亜人たちは現魔王に付き従い、人間サイドに敵意を持って戦いを挑んでいるみたいだしな。
俺としては、人間やエルフなどの種族が他種族に対して抱く偏見を変えさせたい。
なので変革を考えて率先垂範を心がけている俺が、姿形が違うからって対等に接しないとかするわけがない。
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